この話を語ってくれた人の、ひいおばあさんの体験談。 昭和のごく初めごろ、「化かされ上手」と呼ばれていた、彼女の大叔父の話だという。 彼は独り身の、いわゆる【ガラクタ道楽】であり、方々で色んな中古品を買い漁っていた。年を取ってから目覚めた趣味のせいか、裕福でありながら別に目利きなわけでは無い。要するに非常にいいカモということで、粗悪な品や贋作などを掴まされ放題であった。 では、化かされ上手とは……。 そんな彼のありさまをただ揶揄したものかと言えば、もっと直接
「いやなァ、やっぱり飲みすぎはダメだよ! ウン、酒はダメ! ダメだよ飲まれちゃ!」 そう言って己が禿げ頭をぴしゃぴしゃと叩く、還暦すぎのAさん。 元消防隊員だという彼は、少し前までしこたまお酒を飲んだ後、夜の地元を徘徊するのを趣味としていた。 「季節の変わり目にパーッと飲んで歩き回るのが気持ち良かったンだ。 我ながら、迷惑なジイさんだよなァ」 少し涼しくなってきた、とある晩夏の深夜だったという。 いつものように火照った頬を冷まそうと緩やかな夜風を受けながら歩
「なんというか、夢の様な話なんだよ」 小学校時代のトラウマなのだ、と、話の提供を申し出てくれたCさんは、対面した席でそのように話を切り出した。 「といっても…… もちろんいい意味でじゃなくって、あの── 悪夢、だよな。 あれは何だったんだ、って、今だに考えるよ。 でも、……言葉にできないな、当時のクラス連中に確かめてもいいんだけど、まあ……多分、合ってる。 お互いに触れたがらないんだよ」 陰鬱な顔でそのように語りながら、 「でも君は、『そういうもの』のほうが