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読了記録12「怪しくて 妖しくて」阿刀田高

 怪しくてを読んだ。以前も阿刀田の短編集を読んだが、今回も良かった。一体どこからこんなに面白いものが出てくるのか。  12編が入っているとは思えないほどすいすいと読んでしまえるほど読みやすい。文字通り気づけば読み終わっているような作品だ。 「くちなしの便り」が一番良かった。

    • 読了記録11「チャイルド」井上雅彦 監修

       チャイルドを読んだ。子供に関するホラーのオムニバス形式で20人ほどの作家の作品が載っている。  26年前の書籍ではあるが、古臭さは全く無く濃密なホラーを存分に味わうことが出来る。一部に漫画や詩のようになっているところもあるが基本的には短編集である。  どれも珠玉と言っていい作品群であったが、「夢の果実」が一番良かったように思う。人身御供に子供が使われることは多いが、それをファンタジーに書き上げている。綺麗なファンタジーに包んでも、匂い立つ恐怖の香りが素晴らしい。

      • 読了記録10「空の青さを知る人よ」額賀 澪

         空青を読んだ。ちょっと物足りなかった。映画をノベライズしたものであって、映画の原作ではないからしょうがないのかもしれない。  映画は既に観ていたので内容は知っていたが、文章に直すとここまで味が薄くなるとは思わなかった。面白いことは面白い、内容も奇抜というわけではなく、ちゃんと王道に則って、基本骨子を抑えて書かれている。それでも物足りない。すごく、物足りない。ガンダーラが特にそうだが、歌詞を書いても知っている人は読者には少数派ではないだろうか。そういうちょっとづつのソレジャ

        • 観了記録16「湖の女たち」

           湖を見た。どろっとした話だった。すごいどろどろとしたどろどろだった。2時間半とは思えない濃厚さと濃い味つけだった。そして2時間半は飛ぶように過ぎていった。  とある老人ホームで老人が死亡したことから話は始まる。鬱屈とした不満を抱えたまま仕事をしている若い刑事と介護士の鮮烈な出会いが事件を大きく動かしていく、なんてことは無い。話の中心はこの二人にあることは間違いない。でもその二人は事態を動かすことはない。あくまで渦に巻き込まれて絡みついた水草であって渦を動かす力は無いし、渦

        読了記録12「怪しくて 妖しくて」阿刀田高

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          10本
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          読了記録09「新世界より 上 中 下」貴志祐介

           新世界よりを読み終わった。なんか、すごかった。内容もさることながら、あの内容であの分量で読みやすさを一切落とさないどころか読みやすすぎて一気に読み切れてしまった。たぶんいつもの倍以上のスピードで読んだ。  退化した文明と発達した超能力の世界の中の話である。主人公である「私」の私小説だが、中身は昔を懐かしむ思い出の残滓ではなく、主人公が駆け抜けた文字通りの必死の過去である。  圧倒するような量とそれをものともせずに読ませる文章力はそうそうあるものではないだろう。

          読了記録09「新世界より 上 中 下」貴志祐介

          観了記録15「猿の惑星 キングダム」

           猿を見てきた。とりあえず猿ではなくエイプという呼び方にずいぶんとこだわりを感じた。檻にいるのは猿で進化したからエイプなのか。  冒頭数十秒で設定が叩きつけられたが、いっそ清々しい。シーザーとやらもなんで猿が溢れたのかも説明もそれでいいのかとは思いつつも、理由には十分な量だったので、妙技を感じた。  シリーズ完全新作ではあるが、要するに猿の惑星シーズン2なので、シーズン1を見ていないといまいちわからないところが多い。王であるプロキシマスが人類を滅ぼすために頑張るが、余計な

          観了記録15「猿の惑星 キングダム」

          観了記録14「GODZILLA×KONG 新たなる帝国」

           ゴジコンを見た。凄まじい怪獣アクションを見た。シリーズを一つも見ていないので、よくわからない設定が多かったがゴジラとコングの勢いで押し切られた。  恐らくだが、作品の中で発された言葉よりも、タイタン達の咆哮や鳴き声のほうが多かった。  ゴジラとコングのことを説明しなければいけない以上、そのことにも時間を割かなければいけないのはわかるが、それにしても長く感じた。特にコングが長い。地下世界に一人で住んでいるということの説明にどれだけ尺を使うのか、と思いながら見ていた。何なら途

          観了記録14「GODZILLA×KONG 新たなる帝国」

          観了記録13「コードギアス 奪還のロゼ」

           ギアスを見てきた。また新しいコードギアスが見られるとずっと待っていた。残念ながら公開初日には行けなかったが次の日には行けたのでよし。  内容的には順当に時間が進んでいるが、主人公はルルからロゼになっており、今まで通り、ロボットバトルというよりギアスにまつわる話になっている。  正直なところ、話が面白いとか歌がどうこうとかそれ以前の文句がある。文句である、内容以前の不満を強く感じた。映画の構成が一時間半ではなく、三話仕立てのアニメを連続上映しているのである。総集編ならばま

          観了記録13「コードギアス 奪還のロゼ」

          観了記録12「トラペジウム」

           前から気になっていたトラを見てきた。アイドルに憧れた、というよりも憑かれたような少女の話だった。  どうしてもアイドルになりたいがために住んでいる地域の東西南北から美少女を集めて、という絵を描く。そしてうまいことメディアに載って、というサクセスストーリーを思い描き、多少の紆余や曲折はありつつも実際にうまく運ぶ姿は時折狂気を滲ませていたものの、素直に凄いと思いながら見ていた。  事前のPVとかではアイドルを目指す物語だと読めたのでそこに対する谷があるのかと思ったら、何のこと

          観了記録12「トラペジウム」

          読了記録08「仄暗い水の底から」鈴木光司

           仄暗いを読み終わった。もともと映画を見たことがあったのであのホラーを読めると思って読んだが、そんなことはなく、よもや短編集だとは思わなかった。  映画は家族愛で締めるストーリーではあるが歴としたホラー映画だった。心胆寒からしめる激烈な、それはもう仄暗いホラーであったが原作はだいぶ様子が変わる。  映画のもとになったストーリーは一話に入っているが、前半は似ているが後半は映画のようなホラー展開は無い。おそらく何かがあるだろうと言って話が終わる。  全編を通して言えることだ

          読了記録08「仄暗い水の底から」鈴木光司

          観了記録11「ヴィーガンズ・ハム」

           前から気になっていたハムを観た。コメディに寄っているという話は聞いていたが想像以上にコメディだった。ただ、かなり面白い。評判通りの面白さだった。飛行機の中で見たが、笑いを堪えるのが必死だった。夜のフライトで隣の客が笑いを堪える姿はちょっとホラーだったかもしれない。隣の人、ごめん。  一応ホラーコメディではあるが、内容的には九割コメディだった。ブラックジョークの数々がすごい。妻のジョークがやばい。イギリス人と京都人をかけ合わせたらたぶんああいうのが産まれる。そっちのほうが恐

          観了記録11「ヴィーガンズ・ハム」

          観了記録10「ミッション15」

           ミッション15を観た。すごく、良かった。とても良かった。デスフロアも好きなのでこういう閉鎖空間のホラー系が好きなのかもしれない。でもどのみちホラーは大体好きだから何とも言えない。きさらぎ駅みたいな、ギャグ描写入れられるのは好きじゃないけど。 でもどうせ見る。見てから監督見て舌打ちする。リゾートバイトの時も舌打ちした。そろそろ監督の名前を閻魔帳に書き入れるべき。  PTSDの治療の帰りのエレベーターが急に止まり、助けを待っていると、外が騒がしい。近くにミサイルが撃ち込まれた

          観了記録10「ミッション15」

          読了記録07「パプリカ」筒井康隆

           パプリカを読んだ。映画のほうはずいぶん前に見たことがあったので原作を読んだ。面白い、とは思う。だが映画抜きで見るにはだいぶ難しい。  内容的には映画と違う点も多い。映画の見てるだけで酔うようなあの風景はなかったように感じる。夢が現実に侵食してくるという点は一緒だが、あんな派手なパレードは無かった。むしろ夢が現実に出てくることはパプリカと副理事長たちの政争の副産物であって、メインではない。政争の副産物で死んだ人はたまったものではないだろうが。  内容的にはD.C.ミニを巡

          読了記録07「パプリカ」筒井康隆

          読了記録06「パンドラの箱」 畠山栄治郎

           パンドラの箱を読んだ。何となく図書館で見つけて読んだが、大層面白かった。いや、別にエンタメ的な内容ではないし、重めの内容ではあるものの、読んで沈むように引き込まれ、一気に読んでしまった。  自殺しようとしていた中学生を助けたところから始まるのだが、元刑事の現牧師である主人公の微妙に一般とはずれた感覚で事件に向き合っていくのが読んでいて手を止めさせなかった。  聖書に関係する一節はわからないことが多かったが、警察と牧師の違いとして「理解したものを信じる」と「信じたものを理

          読了記録06「パンドラの箱」 畠山栄治郎

          読了記録05「西の魔女が死んだ」

           西魔女を読んだ。久しぶりにこんなに温かい物語を読んだ。好みの関係上、こういう心温まる作品というのはあまり手に取らないので、ジャケ買いした後に気づいた。しかも映画までやっていたらしい。いや、見ないが。  シンプルな行きて帰る物語であった。新しい環境にうまく馴染めなかった主人公が一時的に少し離れた祖母の家で過ごした二週間ほどの小さな冒険の話である。  二週間ほどの休息を経て新しいが学校に慣れた、というわけではないが、己の中で折り合いをつけ、新しい友達も見つけ、新しい生活に入っ

          読了記録05「西の魔女が死んだ」

          観了記録09「ゾンビスクール」

           ゾンビスクールを見た。youtubeで配給元が上げているのだからいい時代になったものである。サブスクに入らずとも映画の本編が見れる時代。素晴らしき哉。  ゾンビと一口に言っても様々な種類がある。バイオのようなアクション系から、アイアムアヒーローのようなただ生き残ることに賭ける一般人であったりと色々だ。その中でもこれはギャグコメディーになる。いや、一応ゾンビなのでホラーコメディーか。概要欄にもそう書いてあった気がする。  別にゾンビ映画を網羅しているわけではないが、これは

          観了記録09「ゾンビスクール」