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80. 材料4人分で作るカレーは4人分できるのか? 問題

「AIR SPICEの基本のチキンカレー、4人分って書いてますが、3人分しかできません」

このサービスを始めたばかりのころ、この手の問合せをごくたまにいただくことがあった。どうしてだろう……? いつも不思議だった。何度も試作を繰り返してレシピ化しているから、4人分と書いている以上、4人分できるものと思っている。原因があるとしたら、ふたつ。
一つは、煮込み時に水分を飛ばしすぎている可能性がある。要するに煮詰まって総量が減っているのだ。もう一つは、つい多めに盛り付けてしまう。前者は、まあ、味が濃縮されて濃くなるわけだから、それはそれでより濃厚なチキンカレーを味わえているということだろう。後者はバカみたいな理由だが、意外とこちらのほうが多いような気がしていた。

僕は、1人分のカレーの量は、200mlを目安にしている。90mlレードルですり切り2杯ちょっとくらい。このくらいがレストランでカレーを食べるときの量だ。ちなみにココイチは、(非公式DATAなので正確ではないが)普通盛りが、「ライス=300g」、「カレー=220g」らしい。試しに水をカップに200ml入れて計量してみると、192gだった。カップに入れたときの誤差を考えれば、「1g=1ml」。やはり、90mlレードル2杯ちょっと程度となる。
ところが、自宅でカレーを作る場合、自分のさじ加減(レードル加減)で盛り付けるから、つい多めに持ってしまう傾向にある。4人分のカレーの総量でいえば、900mlあれば十分なのだけれど、1人分300mlほど気前よく盛り付けてしまうことがあるから、その場合、900mlからとれるのは、ぴったり3人分となる。

そんなこんなを考察しつつも、900mlはできるはずのチキンカレーのレシピ表記を僕は、「4人分」から「3~4人分」と変更することにした。このほうが作った人の混乱も少なくてすむだろう。この1人分のカレーがどの量なのか問題は意外と大事だと思っている。イベントの時、僕は、50人分のカレーを仕込むなら最低10リットル、100人分のカレーを仕込むなら最低 20リットルを準備する。そんな計算の時も重宝する。

たとえば、今月のAIR SPICEのテーマである「ココナッツの彩り豆カレー」を試作開発しているとき、こんな感じで進めている。まずは、適当に目分量で材料とスパイスを準備し、作ってみると、1500mlもできてしまった。7人分以上のカレーができあがることになる。これはいけない。出来上がった豆カレーを200ml計量してみると、たまたまなのか、水とほぼ同じ重さだった。これであれば、「1人分=200ml(200g)」という前提でレシピの調整ができる。そこから調整に入るのだ。

水400mlを150~200mlに、ミックスビーンズ 固形量330gを200gに、スイートコーン 固形量120gを100gに、いんげん30本(150g)を20本(100g)に変更し、もう一度作ってみる。総量にして、500g分の材料を減らしたことになる。結果、1リットルを切る量のカレーが仕上がった。そこから、レシピの作り方部分の表記を修正して加熱の具合を調整し、最終的に4人分はできあがる“はず”のレシピに仕上げる。その上で、「3~4人分」と表記するのだ。

カレーを自宅で作って楽しむときには、いくつかのことを気にしたい。材料を準備するときには、できれば計量する。月に一度など定期的に作る時には鍋はできるだけ同じものを使って、仕上がりの量(このあたりまでというイメージ)を頭にインプットする。作る時には脱水加減を気にする。炒める段階ではできるだけ脱水し、煮込むときには加える水分量を少なめにスタートして足りなければ途中で足す。
盛り付けるときには……。まあ、好きなだけの量を盛り付けて心行くまで食べるのがいいと思う。

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