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#27 イタリア語 事始め(6) ウナヅキはどちら?

ウナヅキは,頷きのことです.遠隔授業が始まり,教員の私もNHKラジオ講座でイタリア語の門を叩いてもうすぐ二か月が過ぎます.

 ”否定疑問文”懐かしい響きです.普段の日本語の会話で聞いたたことがない,文法の言葉です.イタリア語では,性別によって名詞の語尾が変化するものが多いので,次の二通りの疑問文の場合があります.主語のあなた"tu"は省略され,肯定文の終わりに疑問符を付けて語尾を上げて質問すれば疑問文になり,頭に”Non”を付ければ否定疑問文が完成.

”Non sei italiano?” イタリア人ではないですよね?(男性に聞く場合)
”Non sei italiana?” イタリア人ではないですよね?(女性に聞く場合)

 答えるときには,主語の”わたし”ioが省略されるのですが,ここで英語でもあった「Yes/No」問題が発生します.

”No, nono sono italiano.” はい,イタリア人ではありません.(男性の答え)
”No, nono sono italiana.” はい,イタリア人ではありません.(女性の答え)

 ”No”を”イイエ”と日本語に訳すと,普段使う日本語と違ったニュアンスになります.日本人は,質問文の肯定・否定をたずねます.一方,外国語では,答えの動詞の肯定・否定をたずねます(今のところ,例外を知りません.あるかも.)

 具体的には,「あなたはイタリア人ではナイですよね?」「イイエ,イタリア人ではナイです.」この会話を日本語ですると違和感があります.一体どっちなんだろう?と思うはずです.あるいは否定疑問文に対して,「ハイ,イタリア人です.」と答えが返ってきたら,こちらの質問をちゃんと聞いているのかな?と思うでしょう.

 さて,人と人のコミュニケーションで一番使われているのは何でしょうか? ”コトバ?” いやいや,そんな人類の歴史で ”ほんのツイ最近” 発明したものは,たぶん10%以下の内容しか伝えられていないといわっれています.(本によっては,数%とも) ”言葉にならないもの” です.例えば,身振り(みぶり)です.首を縦に振る・横に振る は,まずわかりやすい身振りです.なんとなく,重力の方向に首を動かす(縦に振る)のは楽ですから,下向きに首を振るのは”同意”や”了承”の意味として用いる文化が多いと思います.上向きに動かすのはエネルギーを使いますが,下向きをなども繰り返すために仕方なく上にも動くんだと思います.(個人的に思っているだけです.)二番目に楽なのが,首を左右に振る動作.こちらを”否定”や”拒否”に使う文かが多いと思います.「首を斜めに動かす?」なぁんて,関節の構造からしてかなり難しく,首周りの筋肉痛になりそうで,簡単なジェスチャー(みぶり)の中に不自然な動きはありません.

 話を否定疑問文戻すと,日本人が首を縦に振っているときは,「ハイ」の場合です.昔知り合いが米国に滞在していたとき,あの「否定疑問文」の質問をされたことがあり「○○ではナイですよね?」に対して,受験英語で習ったように「イイエ,○○ではナイです.」と英語で答えたそうです.しかし,コトバより先に見についた”身振り”は,そうは簡単に変更できません.会話では英語流に「イイエ」と言っておきながら,否定文の内容が正しいので日本流に「ハイ」を意味する首を縦に振る動作をしたそうです.相手の外国の方は,答えがYesなのかNoなのか分からず困ったそうです.否定疑問文に対して,コトバ(口)と身振り(頭)の両方が同時に対応できるのが,本当に学習が”身に付いた”証(あかし)だと思います.これは時間をかけて繰り返しするしかないでしょう.こういう技術を何というか知っていますか? 「口頭テクニック」と言います.  お後がよろしいようで.

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