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#20 イタリア語 事始め(4) どちらの「ウナ」ですか?

 イタリア語入門の扉をけて二カ月目。不定冠詞は、あとに続く名詞が男性名詞・女性名詞かによって変化する。なぜ変化するかの理屈は考えないことにしよう。(きっと、みんながそう使うからという理由しかないと思う。)そもそも、名詞の性とは? これもやはり考えないことにしよう。

E’ un gelato.  それはアイスクリームです。 
E' una pizza.  それはピッツァです。
(※本当はアクセント記号をEの上に重ね書きするのですが、日本語キーボードでの入力方法がわからないので、ここでは便宜上右上にアポストロフィを書き代用します。)

 アイスクリームが男性?ピザが女性? 気にしない、気にしない。大事なのは、冠詞が変化しているところ。女性名詞は語尾がaで終わっているものがあるので、unがunaに代わっていること。語尾がaとなって繰り返し、リズムが良くなる。押韻以外に心地よさを感じるのは、日本語は単語の語尾がほとんど(すべて?)母音で終わるものが多いのに似ているから。イタリア語も若干の発音の違いはあるだろうけれど、語尾の音は日本語に似ていると思う。rの巻き舌音は、ドイツ語に似ていて日本人には違和感を感じる例外を除けば。

 E’は動詞essereが変化したもので、英語のisに似ている。主語は?、イタリア語は丁寧に言うとき以外は、省略されるのが普通なのでない。英語風に書くと、 Is an icecream. となる。疑問文?と思うかもしれないが、イタリア語では、肯定文と疑問文は語の並びは変化せず、語尾に?をつけて発音の音の高さ(ピッチ)を上げれば疑問文になる。アァ恐ろしい、ぼーっと聞いていたら質問されたことを気づかずにいそうな言語ということ。簡単化になることより、相手がこちらの返事待ちがどうかが最後にならないと分からないという仕掛けがここにある。

 そういえば、日本語にもこれに似たところがある。「○○ではありません。」と、文末で否定文に突然になる。当たり前に感じるけれど、ほかの言語では、文頭の方でNOTなどの否定を表す言葉が出てきて、否定文ですよと最初に宣言をしてくれているので、最後で肯定文と思っていたのが否定文にひっくり返ることはない。日本語も、ぼぉーっと聞いていることが許されない言語と言える。

 ところで、「UNA KOWA」というかゆみ・虫刺されなどの薬が市販されている。一瞬、「これもイタリア語?」と思ったがウェブで検索してみると、日本語でした。昔、まだ電話が普及しないころ”電報”という通信システムがあった。映画などで、「電報でーす。」と配達員の方が家に便りを伝えに来るアレです。郵便に例えると、一般手紙は昼間しか配達されないですが、速達郵便は休日や時間外でも配達されていると思います。1976年までは電報にも、”特急便”電報があったそうで、それを「ウナ電」と呼んだそうです。決してウナギが運んでくる電報ではありません。英語の緊急urgentを電信(和文モールス信号)にあてると「ウナ」に相当したので、電報に「ウナ」と書かれてあると時間外配達されたとのこと。1968年(私3歳)に発売の虫刺され薬は、「すぐに効く興和株式会社のかゆみ止め薬」という意味を込めて「ウナ コーワ」という名称を付けたそうです。絶妙ですね。イタリア語のようです。響きが美しい。Bella!

 「ウナ」と聞いて、イタリア語と日本語の両方が浮かぶ人は、60代以上の人だと思う。ちなみにKowaをウェブ検索してもイタリア語の意味は見当たりませんでした。もし、イタリアの方に”UNA KOWA”と言って何を思うか聞いてみたいところです。いつか質問する機会が来るまでに、もう少しイタリア語の会話に近づかなければ。


 「ゆっくり、じっくり、イタリア語」
 NHKイタリア語入門テキストタイトル

 

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