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#229 「英語の不思議」が解けた日

”なぜ?”の明確な答えがない?

 身の回りには実に多い.例えば,”なぜ人間は「なぜ」と考えるのか?” もうこれは,ナゼがナゼを呼ぶ,まるでナゾがナゾを呼ぶ謎々になりそう.(笑)
 思い返しても,日本語を会話するために特別に”勉強した”という記憶は,ほとんどありません.学校に通い始める前に,母国語を周りの大人の会話から真似(まね)する事から,学ぶので自覚はありません.「学ぶ」は「真似ぶ」に由来すると国語の授業で学びました.
 さて,外国語を学ぶときには,普段使う機会のない”不自然な言葉”と格闘することになります.

”なぜ,三人称単数形だけsがつくのか?”

 なんとなく疑問に思っていること,誰も今まで明解な答えを教えてくれた方に出会ったことがありませんでした.いつも,それらしい説明はありました.「こういうものだから,,,,」と言われると,「”なぜ”の質問は受け付けませんよ」と言われるのと同じに思えます.分かりやすく,「わかりません」と答えてくれる方も時々いました.「三人称と他のものを区別できるように,現在形だとわかるように」と言われると,「sでなくても良いのでは?その時,主語は省略できるのでは?」と別の質問が頭にいつも浮かびました.とりあえず使いこなすには,理屈は不要なので,いつもこの答えは先送りにして57歳まで日々を過ごしてきました.これは,賢い選択だと思います.

教養

 私がいつも自問しているのは,「理由がわかることだけ勉強いしていると,勉強の範囲が狭くなるから,まずは勉強することが,学習の王道です.」全くその通りです.
 教養は,ビタミンと同じなので,必ず必要とは限りませんが,それがないと将来きっと困ります.何より,楽しくありません(笑).まさに,「無用の用」です.

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本との出会い

 図書館には,いろいろな本があります.また最近では,Webで検索すると以前よりすぐに良書と出会う事が出来ます.英語に関する素朴な疑問の数々に,明解に答えてくれたのが一冊の本でした.
「英語の「何故?」に答える 初めての英語史」堀田 隆一,研究者 (2016)
英語の歴史を分かりやすく解説しながら,「なぜ三人称単数形だけsがつくのか?」「発音と綴りがなぜ違うのか?」などが,まさに”目からうろこ(鱗)”という感じで,長年の頭の中の疑問が消え去りました.

イタリア語との出会い 

 コロナ禍の影響が出始めた頃から,趣味で始めたイタリア語基礎のNHKラジオ(インターネット)学習の過程で,英語の何故を解くヒントを今までに感じていました.

  • ”不規則活用”の方が本来で,他の”一般的”活用の方が省略で簡単化した歴史的にまだ日が浅い”新参者”(と言っても何世紀も経てはいるけれど)

  • 人称や単複で語尾が活用することで主語が省略できない言語は,活用が簡単だけれど主語がその代わり省略できない.

  • ギリシア語やラテン語に由来する言葉が多い.アルファベット(文字)が不足していると,Jなどの新たな文字を”当(あ)て字”することでズレを解消.

  • 数世紀という長い時間で使い方がゆっくり,しかし広範囲で変化

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日本語からもヒント

 考えてみれば,イタリア語をかじり始める前から,この事は日本語を「国語」の授業で聴いていた頃から,そのヒントはやはりありました.(恥ずかしながら,外国語を勉強しないと日本語の個性について,当たり前すぎて考えることをしませんでした.たぶん,母国語だけ学んでいたら,その個性は気づかないのが普通でしょうが,,)
 例えば,日本語でも同様な例として,

  • 表意文字の漢字と,表音文字の平仮名・カタカナは,時代の変化でのつづり字と発音とのズレを埋めるために使われている.その名残が,例えば,「こんにち今日は.」「私

  • 文字と読みは時間的にずれている.文字は中国から漢の時代に輸入されて「かんじ 漢字」と呼び,発音は呉の時代の発音なので,現代の中国発音とは違う.(呉音漢字)

  • 外来語と母国語の発音が混在して利用することがある.例えば,湯桶(ゆ とう)読み,重箱(じゅう ばこ)読み.

  • 誤用も広まると,そちらが正しい使い方に代わる
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  • 簡略化と複雑化は,歴史上繰り返す.例えば,55音と言いながら,ワ行の文字は消失(例えば,ゑ ヱ)
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勉強の「楽しみ」のステップ

  1. 与えられた問題に,答えられる

  2. 解いた回答を,評価できる

  3. 問題を作る事が出来る

 どんな勉強をしていても,まずは,褒められること,あるいは他人より少しでも出来ることが,次も勉強しようかと思うための”燃料源”だと思います.
 例えば,解答付きの問題集で解いた問題の答えを自分で採点して,正解の問題があれば,「よくできた」と自分で自分を褒めるのも当然含まれます.
 簡単な問題ばかり解いていると,喜びを感じる”感度”がやや鈍くなるので,少し難しい問題に徐々に向かっていき,難問を何問か解けるようになると,「わかった」と思えてきます.
 ”答え”がとりあえず出てきても,そこにたどり着くまでの考え方がいろいろあると,どれが一番簡単か,明解か,ミスが少ないか,”美しいか”などと自分で採点(評価)することが次第にできるようになります.解く前の予想通りに,解き方に納得した答えが出ると,「よくわかった」と思えてきます.
 採点される側から,採点する側,そして出題側になると,別の楽しみがあります.何を解くべきか,まだわからないことを解いてみよう,面白いことを考えよう,という段階になると,「たのしい」と思えてきます.
#107 勉強の仕方(その1)|伊藤明|note
#14 3つの”ハンコ期”|伊藤明|note

 英語との”なぜ”を先送りしてきた長い時間が,たった一冊との出会いから氷解したことは,まさに今,ステップ2にたどり着いた気がします.(まだ,英語に関してはステップ3は遠い,たぶんたどり着けません.)
 学生時代に教えられた,提供された課題を問いいる時間は,人生の中では基本を学ぶための重要な時間です.それを過ぎてから,卒業してからの時間の方が,とっても大切なんだなぁーと,最近やっと思い始めたこの頃です.
#4 ”大人の勉強”|伊藤明|note

<写真> 愛知県常滑市にある世界のタイル博物館でスマホで撮影した1枚.メソポタミア文明の”装飾壁の原点”.まさに,モザイク状に5500年前からの人類の叡智が積み重なっている壁を見て,言葉や文明・技術に思いをはせた楽しい時間でした.