見出し画像

#36 黒いダイア

”石炭”は別名,”黒いダイア”と以前は呼ばれていました.産業を支える大事なエネルギー(火力)の中心です.地球の植物などの化石の一部は石炭,石油,天然ガスとして,まさに生物としては”死んでも”,エネルギー源としては”生き続け”ています.とても価値が高いので,いわばダイアモンドのようなものとも言えます.
 さて,「ダイアモンドは,炭素原子が”ダイアモンド構造”の物質です.」 この説明は,何も説明していないようですが,実はしっかり説明しています.「炭素原子が”ダイアモンド構造”していないモノ」があります. 同じ炭素原子からできていても,結晶構造が違うのは,黒鉛(グラファイト)やカーボンナノチューブ・フラーレンと呼ばれる材料です(これらを同素体 どうそたい と呼びます.)

  ダイアモンドも石炭も,どちらも炭素からできています.(厳密には,石炭はたくさんの不純物が含まれていますが.)そう考えると,”黒いダイア”というネーミング,なかなかセンスがあると思えてきます.単に「貴重なもの」というだけでなく,「同じ炭素でできている”親戚”」ともいえるのです.

 石炭はかたまり・ブロックのままでは,マッチの炎では,簡単に火をつけることができません.しかし,例えば石炭が粉末になると,とたんに反応しやすくなり爆発をします.いまでも時々”粉じん爆発”の痛ましいニュースが流れることがありますが,粉末は意外と怖いものです.

 中学生のころに観たアニメで”スペース・コブラ”という”サイコガン”を持つ主人公が,石炭の代わりにダイアを燃やして蒸気機関車を走らせるというシーンがありました.石炭と同じ炭素からできているダイアモンドに火を付けたければ,どうすればよいのでしょうか? 「えっつ? 粉々にする??」 そうですね,もしできるのなら燃えるかもしれません.でも,ダイアモンドって,簡単には加工ができません.なぜなら,”一番硬いもの”だからです.ダイアを削るのは,ダイアの粉を使います.では,その粉はどうやって作る?? おそらく一番最初は,ダイアとダイアを互いに押しつけて加工します. しかし現代では,ダイアも人工合成できます.”ええっ!”驚きすよネ.楽しそうですよネ.これを聞いたら「材料工学」勉強したくなりますよネ. はい,私の教室で授業していますので,是非ご入学ください.お待ちしております. (文字数1000文字)