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#171 サンタ ルチア〜♪

サンタ・ルチアと聞けば、中学校?の音楽教科書で見たナポリ民謡の歌しか知りませんでした。サンタルチア港に立って伸びやかな歌声で歌う陽気なイタリア人の姿が頭に浮かんできます。仏教徒である私は、NHKの海外旅行番組を見るまで港の名前の由来となった、もう一つの”シチリアのルチア” 聖人ルチアについては全く知りませんでした。

ベネチアからシラクーサへの鉄道番組

 NHK BS番組でヨーロッパを縦断する5回番組の最終回は、コロナ禍の秋に撮影したイタリア半島の鉄道旅行番組でした。

”今回はコロナ感染が少しおさまっていた秋の旅。最終回を誘うのは、光の聖女サンタ・ルチア。ベネチアで出会い、シラクーサで再会。”

 例えばアマルフィ海岸では観光客の姿はなく、現地の人も皆マスク姿でインタビューに応じていて、コロナの終息が待ち遠しいと答えていました。いつかイタリアに行きたいなーと思っている私にとっては、憧れの車窓の景色を自分が見ている姿を想像しながらじっと見ていました。

サンタ ルチア駅

 ベネチアに、聖人ルチア(サンタ ルチア)のミイラが保管されてある教会があり駅名となっていました。彼女はシチリア島のシラクーサで生まれたキリスト教徒で、当時の激しい弾圧に抵抗し殉教したそうです。ラテン語で「光」を意味する"lux"が名前Luciaの由来となったのは、両目を取られても目が見えたという話に関係しているようです。(ちなみに、光強度を表す単位はこの”lux” ルクスです。)サンタ ルチアとは、もし日本語に訳すと「聖人 光」(あるいは「光 聖人」)とでもなるでしょうか? 光、目、未来を見通す、真実を見通す、迷える人を導く などなどの意味があるのかなと、想像したりします。ナポリの船乗りさんたちが自分たちの安全を守ってくれる「守護聖人」として崇(あが)めて港の名前にしたのではと想像します。さらにウェブで調べてみると、サンタ ルチアへの信仰はイタリアにとどまらず、北欧まで広がっているようです。

故郷に帰れないサンタ ルチア

 イタリアも当然昔の日本同様、国土全体が統一国家として運営されていたわけはなく、各地方に権力者がいて”小競り合い”の時代が長くあったようです。NHKの番組では、”やんわり”と表現していましたが、サンタ  ルチアの生まれ故郷のシチリア島のシラクーサからはミイラ(遺体)の返還要求がなされているようですが、実現されていません。まるでエジプトから運び出された史跡を大英博物館など外国博物館が返還拒否しているのと同じに感じました。

シチリア島カターニアのサンタ アガタ

 NHKEテレで俳優の小関くんが担当していたイタリア語入門を観ていた時には、同じくキリスト教が弾圧されていた頃に殉教した聖女アガタについて番組内で紹介されていました。両方の乳房を切り落とされたという話が伝わっています。それに因んでカターニア名物のお菓子には、女性の乳房に似たLa cassatella di sant'Agata があリます。サンタ アガタの受けた拷問の話を聞いた後にそのお菓子を食べること、自分にはできるかなぁー と思えます。もし周りのみんなが、エトナ山の噴火から守ってくれる守護聖人に感謝しながら美味しそうに食べていたら、多分一緒に食べれそうですが、、、。

知った後では、、、

 サンタ ルチアの殉教の話を知らないつい最近までは、サンタ ルチアー♪と陽気な歌だと思っていました。少なくても、その歴史背景に辛いエピソードがあるとは夢にも思っていませんでした。ですから、La cassatella di sant'Agataが目の前に出されて女性の乳房に似せたお菓子ですよと言われたら、恥ずかしながらも周りのみんなと一緒に食べていることだろうなと想像します。もしその機会が来たら、お菓子の甘さだけではなく、シチリア、イタリアの歴史の中の”酸っぱい”味も感じるかな?(一体いつ行ける機会が来るだろうか?もしかしたら来ない?日本で「聖アガタのcassatella」食べれる場所ってあるのでしょうか??

 ナポリ民謡のサンタ ルチア、久しぶりに聞いてみたら、ナポリに浮かぶ船の上でお客さんに楽しそうに歌う船乗りさんが、静かな波に揺られる船の上で歌う姿が浮かんできました。 当然、Luxをたくさん浴びて、、、。