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『白いパズルから学んだこと』学ビ舎いろはに007

こんにちは! 藍澤誠/Jの先生です。

数年前、図工仲間のミズノッチと下町の紙工場を見学に行ったときに、「白いパズル」と出会いました。 ※紙工場へ行った日のレポはこちら↓

白いパズルとは「製品になる前の、絵がついていない文字通り真っ白なパズル」です。この純白のキャンパスに好きな絵を描けば、オリジナルパズルが手軽に作れる・・・工場からのお土産として、100ピースの白パズルを6セットくらいもらいました。

結論から言うとこれは最高のプレゼントになって、楽しい工作ライフを送ることができたのですが、今回はその件ではなく・・・

まだ白いパズルが3セット分、手つかずで塾の棚にあったある日のこと

私はあろうことか、この白いパズルを3セット、まとめて高い位置から落下させ、思いっきりバラバラにしてしまったのです。

想像してみてください。
上に掲げたような絵がないパズルが3セット、まぜこぜで床に散らばっている惨状を。。。

まったく絵がないパズルを、3セット分修復するのはとてもとてもとても大変でした。こんなこと私以外にできる人はいるんでしょうか(※そもそも落とすようなウカツな人がいません)。

一つ一つのパーツの形状はとても似ています。しかもそのパーツは3つあるパズルの、どのセットに収まるのかは不明というハードなシチュエーション

そのとき私は気づきました。

すべてを戻すのに必要なのは「白いパズルに個性を見出す能力」だということに。

パズルは似ていますが、よく見ると形が少しずつ違います。

写真のピースの上の段と下の段のピースではぜんぜん違うのは分かりますが、下の段のピースは互いにそっくりです。

しかし・・・よーーーく観ると、頭の形や肩の形(ピースを擬人化すると識別しやすくなる)が少しだけ違うのがわかると思います。個性が見えてくるのです。右側はちょっとだけ元気がなくて怒っているっぽい。そしてパズルをつなぎ合わせる空間の形(手と足の間の空間)もよく見覚えると、上の段のピースが下の段2つを手を広げて受け入れようとしていることが見抜けます。

普通のパズルって基本的に、1000ピースのようなよほど難しいものでない限り、絵を見て組み立てていくことができます。しかし白いパズルではそうはいかない。パズル自体の形をよく見て大まかな分類し、さらによく観察して個性を見抜く必要があります。

そして感動的だったのは、どのピースにもちゃんと場所があり、上下左右に、そのピースを受け入れてくれるぴったりのピースがいるということ。白いピースを受け入れてくれる、ぴったりの別の真っ白いピース。孤独で個性を見出されていなかったそれぞれが、本質的な部分で結びついたときの感動はとても大きかったです(※大げさですみません!)。

最初は絶望的な惨状、これ以上無意味な行為って地球上にある? と思うような修復作業を、何時間もかけて延々と繰り返しているうちに、私は自然と自分がやっている塾の仕事と重ね合わせていました。

目に見えてすぐにわかる特徴ではなく、その下にある完全に真っ白な部分の、よく目を凝らさなくては見えないその子の本質的な有り様に、自分は目を向けているのかな。

個性の一方で、みんなに共通している部分と、その共通部分のすごく細かい差異に注目しているのかな。

一人一人を受け入れるのにぴったりの、これしかないという形状に自分自身やシステムを、その都度面倒くさがらずに調節しようとしているのかな。

相手に寄り添うことができているかを問い直す良い機会になったし、ここは自分の場所!ここだと自分の力を発揮できる!と思ってもらえるような場にしなくちゃと改めて思った藍澤誠/Jの先生でした。

8に続く

◎001~010

001『鳥の種類は書くべきか? 小学生への文章指導で注意すること(1)
002『文章指導を丸投げしない 小学生への文章指導で注意すること(2)』
003『保健室よりも音楽室』
004『ぴったりの塾を探すのではなく、ぴったりの親になろう――オーダーメイドの服みたい 小学生への文章指導で注意すること(3)』
005『ためらわないという点で平等』
006 『暴力を受けていても塾をやめなかった』


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