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星屑コンピレーション後夜祭⑨りん

こんばんはこんにちはおはようございます!
創作処 愛染屋の総合演出、露木 凛です。

2022年10月15日16日に上演しました【星屑コンピレーション】は、愛染屋にとって実にまる3年ぶりの本公演でした。
ご来場くださった沢山のお客さま、応援してくださった沢山の皆さまには感謝が尽きません!Twitter始め、SNSでの感想も大変嬉しく受け止めております🌟🌟🌟
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さて、わたしによる後夜祭の最終回です!
わたしは演出(劇の方向性を決める係)と原案(ストーリーの大まかなプラン出し)とチラシなどの広報媒体デザイン、などなど色々兼任しておりましたので、今回は3本目の短編【蠍の心臓】について、お話しますね☺️

【1.Circle of Lifeとわすれられないおくりもの】
Circle of Life=生命の環 これはライオンキングで学んだ言葉です。
ムファサは小さいシンバに食物連鎖について語っていましたが、作品を通して観れば、『食べる=命の繋がり』の連鎖のみならず、『父と子の想いの繋がり』もまた、生命の環ですよね。食物連鎖ほど直接的な繋がりではなく、目で見ることもかなわない『絆』もCircle of Lifeと呼んでいいと思っています。

わすれられないおくりもの これは小学生のときに国語の教科書で学んだ物語です。

作・絵:スーザン・バーレイ訳:小川 仁央

の、絵本です。
導入部分軽〜く説明しますと

年老いたアナグマは、とても賢くて誰からも頼りにされる存在。困っている友達を誰でも助ける優しさを持ち、知らないことはないというほどの物知りです。
自分がもうすぐ寿命で死ぬことも知っていました。
それでも、アナグマは死ぬことを恐れてはいません。自分が死んで体がなくなっても、心が残ることを知っていたからです。
ただ気掛かりなのは、残していく友達のこと——

登場人物(動物?)は年老いたアナグマじいさんとその友だちのたくさんの動物たち。中でもモグラはアナグマじいさんをとても慕っていて、死を受け入れられないで冬をこしますが……みたいな感じです。
Circle of Lifeの精神面を、よりハッキリ描いているような、優しさに溢れた絵本です。

今回蠍の心臓を創作するにあたって、この2つは外せないわたしの原点でした。(しかし脚本担当のゆかには、Circle of Lifeについては伝えていない)

【2.祖父との別れ】
わたしは、母方の祖父がめちゃくちゃ大好きでした。
母はとても複雑な家庭で育ち、唯一の肉親が祖父だったんですね。まぁはんぶん血の繋がった妹(わたしの叔母)は存命ですが。祖母は初孫のわたしをそれはそれは可愛がってくれましたが、母への当たりはキツかったように思います。
また、直接的ではないにしろ、祖父を死へ導いた祖母への恨みは未だに消えることはありません。

祖父との想い出は、本当にたくさんあって、実父と折り合いの悪いわたしにとっては、年に2回(夏休みと冬休み)会える年の離れた父のような存在でした。遊園地や動物園、旅行に散歩、とにかく楽しい想い出ばかりです。受験期には、東京にある祖父宅へ泊まり込み、朝は心配して試験会場まで着いてきてくれた事もあります。

そんな祖父の最期の姿を、わたしも母もみることは叶いませんでした。遺骨も、ありません。お墓には愛用していたメガネと腕時計を入れた骨壷が収まっています。

わたしは、祖父が自ら遺影にと用意した写真を自宅に置いています。形見分けで、骨壷に収まっているメガネと共にあったメガネ拭きと、祖父が愛用していたループタイも譲り受けました。

サソリのじいさんは、わたしにとって大好きで大好きで堪らなかった祖父を投影しています。衣装にループタイを取り入れたのも、おじいさんと言えば、ですぐ思いついた我が祖父の普段の装いからでした。

今でも、祖父のことを想い出すと、幸せな気持ちと共に後悔や寂しさが込み上げてきて、涙が止まりません。これを書きながらも、めそめそしています。
鷲のや白鳥のは、想い出を糧にして前に進んでいますが、わたしはまだ、しばらく足踏みをしている予感がします。

ただ、このたくさんの想い出を積み重ねてきた事実は、何があっても変わらない財産であり、祖父からもらった宝物なので、辛い時に思い返せばいつでもそこに祖父がいます。きっと、大切な人との別れは、そういう『支え』として自分の中に生きていると変わらない存在感を遺してくれるんだと思います。

【3.ハッピーエンドについて】
この、大切な人との別れの話を、わたしが何故ハッピーエンドと言ってはばからないのか、ここまで読んでくださったらわかっていただけましたか?

別れそのものは、つらく、寂しく、悲しいものです。
突然であろうと、別れのために準備する時間があろうと、それ自体は紛れもない事実です。

しかし、それでも、遺されたものには『明日』がおとずれます。否が応でも、大切な人のいない毎日が未来に続いているのです。
その日々をどうやって過ごしたらいいのか、悲しみに暮れて悩んだ時に思い出して欲しいのが、大切な人と過ごした日々だと、わたしは思っています。

その人と過ごしたときの
楽しい思い出、生活の知恵、どうでもいい話、喧嘩したこと、理解できないこと、共感したこと
などなど、心の中には確かにその日々が遺っていて、そのひとつひとつが『明日』の道標になるんだと思います。

そして、その道標をわたしが別の誰かに伝えた時、大切な人の想いは、わたし以外の誰かの中でも生きていくことになるんです。
【1.】の、Circle of Lifeです。

わたしにとって、遺されて、生きていく限り、ずっと、その大切な人とともにあって、既に居ないその人の想いを伝えていくことが出来る。という事が救いであり、ハッピーエンドなんです。

舞台を創ること以外にも創作がしたい、これまで舞台で表現してきた物語や世界をもっと知っていただきたい、楽しんでいただきたい……そんな思いから始めたnoteです。 細々と更新しておりますが、少しでも楽しいをお届けできていれば幸いです。 もしよろしければ、サポートよろしくお願いします!