見出し画像

言葉の暴力

韓国語に比べて日本語には悪口が少ない、と言われる。たしかに、韓国には罵倒語のバリエーションが多い。言葉自体を使って相手を罵倒する文化なのだろう。そんな言葉はテレビではピー音になり、ヤクザ映画は言葉のせいでレイティングが高くなる。韓国に長く住んでいれば汚い言葉が聞き取れるようになるが、その汚さはひどく、日本語のゴミ人間、カス野郎、クソババアなんて言葉が可愛く見えるほどだ。韓国でキ○ガイにあたる単語は罵倒語ですらなく、日常的な微笑ましい単語だ。たまに若い男性同士が楽しく話しているのが耳に入ってきて、耳を傾けてみるとそれが罵倒語のみで成立しているなんてこともある。それが一種のカッコ良さみたいに思っちゃう年頃なのだろう。まあ、いい年したおじさんとかおばあさん(悪口ばあさんと呼ばれる人が町に一人はいる)とかが汚い言葉で罵っているのは聞くにたえない。
こういう文化だからか、コールセンターの人が一方的に口撃を受けて病んでしまう人がいるそうだ。客に罵倒されてもコールセンターの人は仕事だから反撃できない。それで最近ではどんなコールセンターに電話をかけてもこんなアナウンスが流れる。「電話の向こうの相手は誰かの大切な家族です。言葉による暴力やセクハラは○○法第○条により罰せられます」みたいな。
それほど切実な問題なのだろう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?