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【味菜便り】日本の農業は本当にSDGsに向かっているのだろうか。


こんにちは。放牧豚の味菜自然村 一人村長の林拓生です。
お肉をご購入いただける準備が整いましたので味菜便り書きました。

※味菜便りとは
最近、味菜自然村に起こったことや、感じたこと、子供のことなど、
味菜自然豚共同購入の個人会員さん(無料会員登録はこちら)へ向けて綴るお便りです。

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味菜便り
2023年 4月8日

皆様、大変お待たせしまして申し訳ありませんでした。
ようやく豚が出荷できるサイズまで成長しました。
前回のお便りを送った後、皆様からたくさんのお見舞いのメッセージ等をいただきました。本当に沢山の会員様から支えられているなと実感しました。農業はやはりお客様と直接つながるのが一番で、味菜自然村も理想の形に近づいているなと嬉しく思いました。
皆様、いつも本当にありがとうございます。

味菜自然村ではウグイスの声も聞くようになり、冬の寒さももう終わりになりつつあり、春を感じられる季節となりました。私はもちろん、豚さんたちも待ち望んでいたはずです。2月、3月は出産ラッシュがあり、今は21頭の子豚が走り回っています。

前回お便りで書きました、11月末に生まれて、やむを得ず私がミルクで育てた母豚候補の子豚もまん丸大きくなりました。(上の写真もこの子です。毎日ナデナデをせがみにきます。)
内緒の話ですが、今のところ放し飼いしています。本気のほったらかし。といいましても遠くに行くことなく、近場をうろちょろしているだけですが。自由を満喫し、猫たちを蹴散らし、あちこち荒らして回っていますが、もうそろそろ限界です。近いうちに小屋の中に入れようと思っています。独裁政権ももう終わりです(笑)

敷地内どこへでも仲良しのニャンと共に行き放題
悪い顔しています

 さて最近巷を騒がせている昆虫食の件について個人的な意見を書きたいと思います。私は昆虫食は賛成というか反対する理由がないなと思っています。
私が小学生の頃に習ったのは世界の人口は約60億人でしたが、現在ではそれが80億人を超えています。地球温暖化も加速し、いずれ必ずやってくると言われている食糧難の時代のために昆虫に目をつけたことは凄いと思いますし、時代の流れとしては仕方ないことなのかなと感じます。子育てもそうですが、昔は当たり前だったり、常識だったりしたことが今では見直されたりしています。時代は常に動いていますし、変化しています。自分達の中の常識も考え直さないといけないかな。日本人ならではなのか、「出る杭は打たれる」じゃないですが、どうしても自分の考えと違ったら叩いたり、自分の考えを押し付けたりします。メジャーな考えだけが正解だけではなく、マイナーな考えにも正解はあると私は思っています。それに需要があれば残りますし、需要がなければなくなっていく話なので、過剰に反応しなくてもいいのかなと思います。
私がここ味菜自然村に来た時の話ですが、当時は大学生でした。お隣におじいちゃんが住んでいました。90歳のおじいちゃんで、父も百姓のイロハをおじいちゃんに教わっていましたし、私もすごくかわいがってもらいました。そのおじいちゃんは毎年夏になると「おーい。ご馳走持ってきたぞ」と言って、葉っぱのお皿にまん丸に太ったくさぎな虫といって臭木(くさぎ)という木の芯を食べて成長する幼虫を持ってきてくれていました。昔はそうやって幼虫も食べていたんでしょうね。今でもハチノコやイナゴは一部の地域でも食べる習慣が残っていますよね。おじいちゃんがもってくるくさぎな虫はサイズ的にちょっと気が引けるので、父と一緒に小さめのをとって来て食べたことがあります。味はというと…、まぁ美味しいです…、味覚的には。正直、視覚的にかなり厳しめでした。そんな経験もあり、昆虫食は時代の流れで、ありかなと感じています。


それよりも考えてもらいたいのが、家畜の殺処分です。
この冬、鳥インフルエンザにより殺処分された鶏が1600万羽以上になっています。ほんの数羽死んで、鳥インフルエンザ陽性とされただけで健康な鶏も全部殺処分。豚も同じです。
食糧難になっても殺処分はやめないのでしょうか?
国は殺処分はやめないのでたんぱく質を補うために虫食べましょうと言っているのでしょうか?
そもそも日本が推奨しているゲージ飼いの鶏は時代遅れなのです。日本が推奨しているバタリーケージといって鶏が身動きできないようなケージはヨーロッパでは廃止されており、その上のもう少し広く、巣箱や止まり木を備えた「エンリッチドケージ」もヨーロッパでは2027年には禁止するという計画だそうです。ニュージーランド、オーストラリアも身動き取れないバタリーゲージを近い将来禁止するそうです。世界でそんな動きが起こっている中、日本は話題にすら上がりません。
さらに牛乳廃棄問題。国は農業の大規模化を後押しして、そして今では多すぎになったからと過剰になった牛乳を廃棄して、そのうえ牛を処分すれば15万の助成金をだすという日本。お母さん牛が牛乳がでるまでにどれだけの日数と努力とお金がかかっているのか。農家にしてみれば牛をそのまま飼っていても資料高騰で赤字が続く上に牛乳は廃棄で、処分すれば助成金はもらえるものの、ゼロからのスタートで、しかも一生懸命育ててやっと大きくなった元気な牛を処分しないといけないという気持ちの葛藤。どちらを選択しても「苦」しかありません。日本は生き物を工場で生産された製品と同じように考えてるとしか思えません。
食料自給率が30~40%の日本。本当に世界で食糧難になった時、世界の国々は自国の人を守るのに必死になるはずです。日本まで食料が回ってくるのか疑問に思います。昆虫食に大きな助成金、補助金を出すのもいいですが、荒地化している中山間地を利用していけるように、殺処分や廃棄の問題にも真剣に考え、食料自給率をあげるのが先なのではないかと思います。味菜自然村も国の言う通りにしないと万が一が起きたときに補助金がでないよと脅されます。そうやって農家さんは選択肢をなくしていき、国の言うとおりになってしまうんでしょうね。食糧難になるだろうから昆虫食を進めるのではなく、根本的なことを考えて欲しいなと思います。
長崎県でも餌代の高騰でどんどん畜産を辞めている農家さんが続出しています。SDGsの時代に農業だけ持続可能な形にできないのは悲しいですね。農業の未来を真剣に考えてくれる素晴らしいリーダーが現れて欲しいですね。

ちょっと熱く語り、暗い話になりましたので、最期は子供達の話でほっこりしてもらいたいなと思います。3月19日は娘の卒園式でした。早いもので4月からは小学生です。同じ小学校に行く子は男の子一人で、みんな違う学校に行きます。人見知りな娘ですが、小学生になるのがめちゃくちゃ楽しみみたいで、みんなと違う学校に行くことはそこまで気にしていなく、そこはなんだかホッとします。
私視点ですが、普段仕事でイベントに参加できない私が卒園式に来ていることが嬉しいように感じました。まだまだ甘えん坊で、息子と私のお膝の上の奪い合いです。片方のお膝に息子を座らせ、もう片方に娘を座らせていますが、まるで修行僧のようです。いつまで甘えてきてくれるのでしょうね。
息子は4月から年中さんです。ダンスするのが大好き。常に体を動かして。この子も甘えん坊さんで、小さい頃はあまりなかったのですが、最近は抱っこしてもらいたがりになっています。もしかしたら、本当は甘えたかったけど、お姉ちゃんに遠慮してたのかな?それが最近は競争意識が芽生えて、お姉ちゃんにも負けずにお膝の争奪戦だったりに繋がっているのかな?

今回のお肉の発送予定日は4月18日、25日、5月2日を予定しております。仕事の都合でずれることもありますので、ご了承ください。どうぞよろしくお願い申し上げます。
                                  味菜自然村 村長 林拓生

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