1.拷問

今回の彼女への依頼はテスラ製薬という大手の製薬会社の調査である。表向きは優良な企業であるが裏では非人道的な人体実験を行い、身体改造やドラッグの開発などを行なっていると噂されていた。その実態を調査し、証拠とともに報告せよとの依頼だ。

今回の依頼は公安案件である。公安案件とは正規のルートで調査に限界を感じた公安が裏社会に依頼するというものであり、暗黙の了解で殺しが許可されている。

彼女は親の地盤を引き継いで以降、殺しの依頼も避けることなく受けてきた。親から受け継いだ仕事を自分の代で断たせる訳にはいかないという使命感からだ。初めて人を殺めた時は罪悪感と恐怖に苛まれたが、任務をこなしていくうちにそれらは次第に嗜虐性へと変容していった。とりわけ彼女は殺しに関しては道具を使わず、自らの肉体のみで相手を絞殺するか窒息死させることを手段としていた。その方が証拠が残りにくいからだ。そのスタイルから彼女はいつしか裏社会で「蛇」と呼ばれるようになっていた。


夜。彼女はテスラ製薬研究所幹部の村田という男と接触を試みる。公安から入手したデータによると、彼は若くして研究所のチーフを任せられるほどの有能な人材であるが、自信家で好色な一面もあるという。彼女は村田の行きつけのバーに先回りし、彼が入店した時に目につくであろう席に座る。

村田が来る。彼女は村田と目を合わせると微笑みながら小さく会釈をする。すると村田は彼女に近づき隣に座っていいかと訪ねる。「かかった。」彼女はそれを快く引き受けた体裁で了承すると、そこからはいとも簡単に流れを作ってしまった。
村田の話に興味を示し、さりげなく好意を表すと、村田自身はスマートと思っているであろう慣れた口調で自宅へと招いた。

村田の自宅は都内でも一等地のタワーマンションの上階であった。彼女が部屋に入ると村田はすかさずキスをし、そのまま貪るように女の唇に吸い付く。女もそれに応えるように抵抗の意思はない反応をする。

2人はそのままベッドへと倒れ込み激しく求め合うように絡み合う。

「シャワーぐらい浴びましょう?」

女がそう尋ねると村田は

「そんなもの必要ないだろう。」

と答えた。
いつもならターゲットがシャワーを浴びているうちに尋問の準備を進めていたところであるが、今回の様にターゲットが思い通りに動かないことはこれまでも多々あった。そんな時、彼女は己の肉体のみを使って尋問を行うのであった。

仕方ないとなし崩し的に服を脱がされ、女性らしいレースのショーツが露わになる。

「唆るぜ。」

品性の感じられない呟きと共に村田も服を脱ぎだし、トランクス1枚の姿になり、女に覆い被さる。その瞬間

ガシッ

女の太股が村田の胴を挟む。

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