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きまぐれに

いつも通勤途中に眺めているとある山が雪を被っていた。その山が雪をまとった姿は初めて見たので、幻想的でいたく感動してしまった。と同時に懐かしさも感じた。私の地元は360度高い山々に囲まれていて、似たような景色に慣れ親しんでいたからだと思う。こっちでは、山でも雪がすぐに溶けてしまうから不思議だ。

地元の自然を思うと、やっぱりふるさとは好きだなと思う。わけあって地元に帰るのはしんどいことが多いのだけど、自然は好き。あの山々に囲まれた空気に年に一回は触れたくなる。今住んでいる場所はとても好きだけど、山が少ない。でもその代わりパーッとひらけていて空が広くて、それはそれで私の精神に良い影響を及ぼしているんだと思う。ここにいると、狭い圏内で生活をしていても閉塞的にならない気がするんだ。

なんだか、自然に触れたい欲求が高まってきた。海もいいよね。海は本当に滅多に見ることはないけれど、たまに近くに行ける機会があると、その波を眺めながら音に耳を澄ませるだけで心が洗われていく感じがして好きだ。ぼーっとしてしまう。ゆらゆら。

よく考えたら、藤原さくらの曲の中で一番好きなのも、「Waver」という曲だった。何も考えずゆらゆら揺られることができる。

ゆらゆらゆらゆら。

ふと思うけど、人間、がっちりしていなくてもいいんだよね。きっと。ピリピリと気を張らずに、時には無為な時間に揺られて深く息を吸うこと、皆できているのかな。自分よりも常に気を張って過ごしているであろう人を見ているとそう思う。すごいよ皆、本当に。頑張っていて。

ただ世の中は色々がせわしなさすぎる。たまにそのせわしなさに自分も乗れているなと感じることもあるよ。でもやっぱり、もっとのんびりと生きたいよ。何を言っているんだろう。別に酔っているわけではない。何を書いている訳でもない。

私は、時には脇目も振らずに何かに必死になり、頻繁に寄り道し、きまぐれに休んで生きている。

縫い目のようにわずかに存在する自分の息のしやすい空間を、ただうまーく見つけて辿っていく。それだけ。

あ。自然に触れよう。

春になったらどこかへ行ってしまう鴨達とお話がしたい。



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