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VO2maxゾーンって何だ?①

「VO2maxを叩く」
「もうVO2max超えてる」

色んなところに出てくる用語「VO2max」。

5-10分ほどの短い時間キープできるパワーという意味合いは間違いないけれど、今一つピンとこない。

そんな方に向けて私なりの解釈を書いてみようと思います。



まずは一般的な意味合いを

私のVO2maxが58で、彼のVO2maxは65らしいと聞けば、きっと彼の方がFTPは高くてヒルクライムは早いだろうなと想像できますよね。

最大酸素摂取量は有酸素運動能力を反映し、長時間の最大限下の運動持久力を決める重要な要素である。

wikipediaより

wikipediaが教えてくれるように、VO2max(最大酸素摂取量)は有酸素能力にとって大事な指標。

だからこそ、この数値を上げることがトレーニングの目的の一つでもあったりします。

ロードバイク関連のyoutubeを見ていてると、

「ヒルクライムも近いからVO2maxを叩く!」

「今日はVO2maxメニューを行った」

「VO2max(トレーニング)きつい!」

といった感じで使われているのを耳にすることがあります。

その時にどことなく感じる「VO2maxって何ぞや?」感をスポーツ科学的な視点で説明してみようというのがこの記事になります。


「VO2max」ゾーンの強度を継続するとVO2maxに至る

VO2maxゾーンの意味するところを一文で表すと、こうなります。

たとえば3分間の全力走を行えば、徐々に体に取り込んでいる酸素量=酸素摂取量(VO2)は増えていって2分30秒ほど経過したところでほぼVO2maxになります(下図の黒丸)。

こういった感じで、スタート直後からいきなりVO2maxになるのではなくて徐々にVO2maxになっていきます。

パワーによってVO2maxに到達する時間は変わってきますが、VO2maxゾーンのパワーであればこのように酸素摂取量は最大(VO2max)に達します。

VO2maxトレーニングは酸素摂取量が最大(VO2max)の90%以上の時間をいかに確保できるかが大切だとされていますので、

「VO2maxを叩く!」のイメージは3分間全力走で言えば後半の90秒ほどが実際にVO2maxを叩いている時間帯になりそうです。


VO2maxゾーン以下ではVO2maxにはならない

一方VO2maxゾーン以下では、そのパワーを継続しても酸素の取り込み量がVO2maxにはなりません。

例えばFTPパワーを継続していると、終盤はかなりハードになりますよね。脚も辛いし、もうそろそろ限界だ。。

この時もちろん息も辛いし心拍数も90%以上になっているでしょうから、酸素摂取量もVO2maxに近づいているのではと感じます。

しかし実際はVO2maxの73%ほどの酸素摂取量で横ばいが続きます(下図)。

呼吸数や換気量は増えるのですが、体に取り込んでいる酸素の量は変わってはいないのです。

ということで、zwiftのゾーン分布でいうところのVO2maxとLTゾーンの大きな違いは、そのパワーを継続していった場合に酸素摂取量がVO2maxまで増えていくかどうかを分けていると言えそうです。


おわりに

VO2max系のメニューは辛い。。

そう、それは仕方のないことです。辛くないと、体はVO2maxを使おうとしてくれません。。

むしろかなり辛いときこそ、VO2maxを叩けています。

VO2maxを叩ければ、最大下(FTPなど)のパワー領域も高まることは様々な研究からもお墨付きです。

脚を止めずに頑張ってくださいね!!

次回はVO2maxゾーンについて、速筋線維の動員という視点で記事を書こうと考えています。

また読みに来てくださいね。

最後までお読みくださり、ありがとうございました。

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参考文献

Vanhatalo, A., Poole, D. C., Dimenna, F. J., Bailey, S. J., & Jones, A. M. (2011). Muscle fiber recruitment and the slow component of O2uptake:constant work rate vs. all-out sprint exercise. Am J Physiol Regul Integr Comp Physiol, 300, 700–707. https://doi.org/10.1152/ajpregu.00761.2010.-The

Baron, B., Noakes, T. D., Dekerle, J., Moullan, F., Robin, S., Matran, R., & Pelayo, P. (2008). Why does exercise terminate at the maximal lactate steady state intensity? British Journal of Sports Medicine, 42(10), 528–533. https://doi.org/10.1136/bjsm.2007.040444


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