週刊ダイヤモンド201201-倒産危険度ランキン1位_10位

倒産危険度ランキング 1位〜10位 [2013年1月]

好評いただいている、週刊ダイヤモンドの倒産危険度ランキング上位会社のその後を検証するシリーズ。今回は2013年1月に刊行された号に掲載されたランキングを見ていきます。

Youtubeでも解説しています。動画とこちらのnoteでそれぞれ補完しあっていますので、是非動画もご覧ください。

それでは早速いってみましょう。順位は下記のような感じです。

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1位 ジアース

不動産のオークションサイト事業で設立された会社です。経営危機に陥った後、2013年にドン・キホーテグループの傘下になり、ドンキ物件の管理を主たる事業として行うことになりました。さらに、祖業である不動産情報事業から2015年に撤退しています。こうしたことが功を奏して上場維持はもとより、業績も好調のようです。

2位 インスパイアー 

もともとフォーバルの子会社としてセキュリティ系の機材を販売する会社とし設立されました。TOBにより親会社が変わりましたが、監査報酬を払えなかったり、不正会計を行ったりと問題行動ばかり。2014年に上場廃止となり、2015年に破産しました。

セキュリティ機材の販売をしていたようですが、大塚商会などの大手がいる市場です。自社製品を高粗利で売れるのでなければ業績が厳しくなるのは見えています。販売に伴うコンサルティングなどの付加価値がつけられなかったのではないかと思います。危険度に入った時点で10年連続赤字だったようですが、打開策を打つのが遅かったのでしょう。(最も打った打開策が、監査報酬未払いや不正会計だったのかもしれません。)

3位 コネクトホールディングス(現 ジー・スリーホールディングス)

携帯電話向けソフトの開発をするために設立されました。上場した後には、渋谷などにリアル店舗を持つ若い女性向け雑貨店を営むSBYを子会社化しています。さらに祖業の携帯向けソフト開発事業は売却。今はSBYの他に、太陽光パネル事業やファーストフード事業を行っています。

上場維持をしていますが、一体何のコンセプトで何を目指している会社かが全くわからない会社です。G3という社名の由来は、Global、Great、Groupからとっているようですが、単に経営者の自己満足のために存在しているような会社にしか見えません。

そもそも上場していることの意味を考えるべきかな、というのが個人的な感想です。

4位 ワールド・ロジ

花王出身者で作った3PLの会社です。2013年に事業再生ADRを試みますが、失敗に終わります。債務免除などを債権者にお願いしたようです。

M&Aで急激に事業を拡大したようですが、管理体制が追いつかなかったようです。赤字事業は売却したようですが、そもそも3PLという事業自体が労働集約型産業なので時すでに遅し、、、でしょうか。

5位 YAMATO

元は、イーディコンドライブという会社で設立し、不正コピー防止技術を販売していました。上場後に純粋持株会社体制になり、元のイーディコンドライブは一子会社になったと思われます。そのイーディコンドライブはまだ存続するのですが、持株会社の方は虚偽記載などで上場廃止になります。

最終的にやっていた事業は焼肉店ですから、上場を維持するため(つまり時価総額を高く維持するため)だけに事業を無駄に拡大したのかなぁと思います。

また証券取引所から改善命令を受けていたにも関わらず、経理担当者が辞めたとかで進捗できなかったようです。完全に舐めているとしか思えませんね。会社を経営する人間がこうした倫理観で仕事をしていたらダメです。

6位 イー・キャッシュ(現 パス)

社名から想像できる通り、決済代行業務で設立されました。マザーズ上場後は旅行の会社をMAして事業の中核に据えました。今は祖業の決済代行を完全に撤退し、女性向け化粧品の通販事業とブロックチェーン事業の2つを営んでいます。売り上げ・収益ともに女性向け化粧品がメインで8割〜9割りを占めています。ブロックチェーン事業は元議員との関係とかをアピールしていますが、実績は上がっていません。

女性向け通販は後からM&Aにより取得した会社の事業です。倒産危険度にランクんする会社でよくあるケースですが、売上高や時価総額を維持するためだけに本業とは異なる事業に手を出しているパターンです。

結局何をやりたい会社なのでしょうか・・・ホームページには会社のビジョンも書かれていませんでした。

7位 ゲートウェイ・ホールディングス(石山Gateway Holdings)

危険度にランクインした後に、山梨のミネラルウォーターを扱う会社の社長が救済(?)し、石山Gateway Holdingsとなりました。しかしこのミネラルウォーターの会社がマルチ商法の疑いがあったり、景品表示法違反で改善措置命令を受けていたりと、問題のある会社でした。

2014年に粉飾決算が発覚し、そのまま破産しています。

結局この会社も何をやりたい会社なのかが不明でした。

8位 プリンシパル・コーポレーション(現 グローバルアジアホールディングス)

昭和4年に漁網糸・縫糸の製造販売業として、豊国産業という名で創業します。昭和4年というと1929年で、世界恐慌が発生した年です。1963年に店頭公開していますが、これもまた歴史を感じます。2005年に経営陣が変わると事業内容を大幅に変更し、天然資源開発投資会社になります。そのタイミングで大きく増資しており、純資産が約20億円から約300億円へと大幅に増えています。調達した資金はイギリスとアメリカの会社の買収に使われています。ちなみにその頃の会社はアイビーダイワです。

さらに2010年に食品卸・小売の会社を完全子会社にし、食品事業に転換します。この頃の財務状況は非常に厳しく、2010年3月期の連結売上は6億弱です。食品事業に転換が完了した2011年3月期の連結売上は15億ですから天然資源開発投資事業がいかに振るっていなかったがよくわかります。有価証券報告書のセグメント別売上を見ても一目瞭然です。

2011年に社名をプリンシパルコーポレーションに変更して飲食店への営業力を生かしてか、LED販売事業や店舗支援システム事業を手掛けます。しかしこれはうまくいっていなかったようです。そもそもLED自体、2011年ごろは比較的高かったのですがその後どんどん値下がりしていますし、単価が安い割に長寿なので、販売し続けなければ売上をあげられません。単価が高いうちは工事代を含めてレンタル、あるいはリースにするなんていう会社もありましたが、利益が低いですね。光通信出身の会社がやりそうな感じの事業です。

2013年からはデジタルメディア&マーケティング事業を開始し、事業の中核に据えています。テクノメディアという子会社でこの事業をやっていたようですが、今はそのホームページもありません。(テクノメディアで検索すると、CD-ROMなどのコピーの会社が出てきますがこれとは別です)

いろいろ事業を転換した後、結局2015年に上場廃止となります。しかし会社自体は、グローバルアジアホールディングスという商号で今もあります。最後の有価証券報告書である2015年3月期の決算では、連結売上が約4億5千万円で訴訟損失引当金を8千万も積んでいます。営業赤字は4億9千万というからすごいです。

厳しい状況が続いていると思います。

9位 アクロディア

2004年に携帯端末向けソフトの開発会社として 設立され、2006年にマザーズ上場です。IoTに強みを持っており、直近ではセンサー内蔵サッカーボールの開発なんかを行っています。

一時、フィンランドや韓国、アメリカなど、海外への進出に旺盛でした。フィンランドは2011年に撤退していますが、その辺りで財務的に厳しい状態になったのかもしれません。

現在も上場を維持していますが、金型製造会社や渋谷肉横丁など、ソフトウェアとは無関係の事業もいくつか持っており、グラグラしている感じです。。。

10位 インデックス

1995年に設立され、2004年にジャスダック上場。しかし2013年に民事再生を申請しました。セガがスポンサーになっています。

この会社はM&Aによる会社の売り買いに奔走し、最終的には粉飾(循環取引)に走るという、上場という麻薬に振り回された会社と言っていいでしょう。

結局ビジョンなき上場が招いた不幸です。

まとめ

最後にまとめてみます。プリンシパルコーポレーションが調べごたえがあり、思わず長めに書いてしまいました。

倒産危険度にランクインし、その後復活する会社と倒産する会社にはそれぞれ特徴があるように思えます。

復活する会社は、コア事業に経営資源を集中することに注力します。その際にはやはり、会社の存在意義を再認識することでしょう。一方でそのまま破産してしまう会社は、コア事業が弱かったり構造的に収益性が低かったりします。さらに会社としての存在意義が不明瞭であるケースが多く、時価総額を維持するためだけの企業買収を繰り返し、上場という麻薬漬けになっている状態になる傾向にあります。その結果粉飾決算に走る例も少なくありません。

経営にはやはりまず第一にモラルを求めるべきであり、それを体現するのがVisionなのだと、改めて強く認識しました。

最後までお付き合いいだだきましてありがとうございます。本格的な財務分析はいれていませんが、多くのスキをいただけましたら、今後は有価証券報告書を読みあさってより深い考察をしていきたいと思います。

皆様のお役に立てるよう日々邁進してまいります!