「イージーピージージャパニージー(レモンスクイージー)」『アーミー・オブ・ザ・デッド』:創作のためのボキャブラ講義25

本日のテーマ

題材

「そこまでくれば、後はもう持ってきた金をヘリに積み込んで、夕日に向かって飛ぶだけだ! すべては……核爆弾が発射される一日前に終わる。イージーピージージャパニージーだ」
「すみません。もうそういう言い方はしません。今は、レモンスクイージーと」

(本編36分ごろ)

意味

イージーピージージャパニージー Easy peasy Japanese-y
 とても簡単なことである様を表すスラング。韻を踏んでいるもので、ジャパニージーの代わりに「イージーピージーレモンスクイージー」と言う場合も。


解説

作品解説

 米軍がなにか重要な物資をコンテナに積んで輸送していた。何を運んでいるのやら知らないが、退屈な任務。つい気を許した隙に、対向車が車線をはみ出しているのに気づかず追突。コンテナから荷物が飛び出してしまう。それはまさかのゾンビで、兵士を襲って仲間を増やした彼らは近くの街……ラスベガスを襲撃する。

 ゾンビパニックになったラスベガスはコンテナの壁で封鎖。主人公のスコットはかつてそこで戦い、国防長官をベガスから脱出させた実績を持っている。その腕を見込んだ政府の要人ブライ田中は、ベガスに残る大金を盗み出す計画を彼に持ちかけた。制限時間は、政府が核弾頭でベガスを浄化するまでの96時間。

 ジョージ・A・ロメロの有名作『ゾンビ』をリメイクした作品『ドーン・オブ・ザ・デッド』を物した監督、ザック・スナイダーが挑んだベガスのカジノ強盗×ゾンビものという触れ込みの作品である。タイトルもそれにちなんだのだろう。

 なぜか社会性を持つ本作のゾンビことシャンブラーの存在、ゲーム的なミッション要素、さながら『オーシャンズ』シリーズのようなカジノ強盗と意欲的な部分は目につくが、個人的にゾンビ映画としてはテンプレ的なドラマ展開がやや退屈な作品だった。とはいえ番外編が作られた解錠師のディーターの仕事まわりの描写なども面白い、評価の難しい作品でもある。

 本日のテーマは作戦説明パート。真田広之演じるブライ田中が一通りの作戦を説明し、最後に格好つけてスラングを発する場面だ。「イージーピージージャパニージー」。ところが解錠師ディータいわくあまりこういう言い方はしないと言うが……。

韻を踏むスラング

 この語句で重要なのは前半の「イージーピージー」の部分で、これによって「超簡単、楽勝」という意味を付与している。後にジャパニージーとつこうが「レモンスクイージー」とつこうがさしたる意味はないようだ。

 このブログによると他にも映画中でこの手のスラングが用いられる場面は多いが、ジャパニージーは少ないようだ。ブライ田中が真田広之なのであえてジャパニージーの方を使ったのだろう。

作品情報

『アーミー・オブ・ザ・デッド』(2021年ネットフリックス配信)


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