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【小説・詩】まとめ

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小説、短編小説、詩、ショートショートなどをまとめたモノです。
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記事一覧

ショートショート【我がままでごめんね…】

 「やっぱり一緒にいない方が良かったんだよ…」  泣きながら言う君はソファーから立ち上がり「サヨナラ…」と呟き出て行った。  それから数日後。  チャイムが鳴り、ドアを開けるとうつろな顔をした君がいた。  喧嘩してから久しぶりに見る君は大人っぽくて変わって無いのは僕だけなのかな…。  「あのね…」と、切り出し呟く君の声が懐かしくて何故か嬉しかった。  いくら好きで一緒にいても、いつかは別れがやってくるってこんな状況の事を言うんだろうな…って、息のつまりそうなこの雰囲気にいる

小説【桜ハラハラ】

 ピンクの花ビラ舞い降る、晴天。  彼女は、約束の場所で桜の木を見上げ、もし、このハラハラ舞う桜の花ビラを捕まえられたら彼はきっとここへ来てくれると信じ、花ビラを捕まえようと子供のように無邪気に何度も手を合わせる。  彼は、約束の場所に向かいながら、もしあの桜の木の下に彼女が来ていたら…と、伝えなければいけない台詞を、どたんばで真っ白にならないように頭の中で何度も繰り返した。  自分で近づいて行くのに、行きたくないようなそんなジレンマに押しつぶされそうな彼を救ったのは…。

詩【螺子/ネジ】

『螺子』 いつも、いつも 良いことがあっても、雨が降っても 嫌なことがあっても、雪が降っても 必ず巻いていた螺子 ずっと巻いて行こうと決めていた螺子 いつの間にか、巻くことに疲れて 君の螺子を巻かなくなったのは僕 いつの間にか、他の誰かに 君の螺子を巻かせてしまったのは僕 僕の螺子を巻いても 君の歯車が噛み合わなくなった事にさえ 僕は気づかず、すれ違ったまま 君は僕のとは違う螺子を見つけていた 後悔する前に気づけば良かったんだ… ---と後悔する僕。 詩『ネジ』

詩【君を好きで、嫌いになった理由】

僕が君を、好きになったのは 君の耳が聞こえるからじゃない 君の目が見えるからじゃない 君が君でいようとするから 好きになったんだよ。 僕が君を、嫌いになったのは 君の耳が聞こえないからじゃない 君の目が見えないからじゃない 君が君でいようとしないから 嫌いになったんだよ。 ※以上です。 良いなぁと思ったら❤お願いします!

詩【リズム】

悲しくても 楽しくても 願って無くても 願っていても 必ず日は昇り 必ず日は沈む ただ当たり前の一日が始まり ただ当たり前の一日が終わる ただそれだけのリズム… 当たり前すぎて気づかない君の優しさ 当たり前すぎて気づかない君の寂しさ 君が居た当たり前のリズム… 当たり前のように動いてたはずなのに 遅れて時を刻む 電池切れのアナログ時計みたいに 調子が狂ってしまう 君が居ない不自然なリズム… 良いなぁと思ったら❤お願いします! stand.fmでハチママさんが演じてく

詩【何故】

何故、涙が出るのだろう… 何故、貴方は隣に居ないのだろう… 特別でも無く ただそれがいつもと変わりなく始まり 終わるだけなのに 何故、貴方はそこに居ないのだろう… 何故、貴方は側に居ないのだろう… ※良いなぁと思ったら❤お願いします!

小説【もしもって思う事ない?】

「もしもって思う事ない?」  僕は少し離れてダンボールから食器を出す、晴香に言った。 「ん…、どういう意味で?」  晴香は手を休める事はなかった。 「だから、もしも、あの時、あの瞬間、あの場所で自分はこうしていれば違った結果になったんじゃないかって、やつ…」 「あぁ、そういう事…。あるよ。あの頃、ちゃんと言っておけば良かったなって思う事。でも、何で?」 「いや俺さ、ふとした瞬間、何の関係もない時に、もしもあの時、こう行動していれば、こんな事を言っていればって思う事があ

小説【私の日常】

冬に近い寒い朝。 「ハァーー」 吐く息は白く、 首に巻いたマフラーをなびかせ、 私は自転車をこいでいた。 信号が青になるのを待っている間、 息で手を温め再びペダルをこぎ始めた。 ペダルをこぐ足を邪魔するように、 制服のスカートがまとわり付いて、 邪魔くさくて重く感じた。 「ハァ、ハァ、ハァ…」 やっとの思いで橋を越えると…。 あなたは照れ臭そうに待っていた。 たぶん私の顔は、 たどり着くまでずっと、 ほころんでいただろう。 「おはよう」と、 あのいつもの優しいあ

詩【不謹慎だけど綺麗だ何て思って、ゴメン…】

赤く腫れた頬を押さえながら 君は「ゴメン…」と 涙交じりの精一杯の声 僕はただ知りたかったんだ 何が嘘で、何が言分けで 何が本当で、何が真実なのか 君の口から聞きたかったんだ 目尻に溜まった涙が 瞬きをした瞬間こぼれ落ち 腫れた頬を痛々しく濡らす 強がりで意地っ張りな 君が見せた泣き顔は 不謹慎だけど 綺麗だ何て思って、ゴメン 止まない雨の様に泣きじゃくる君を 本当は直ぐに抱きしめたいのに 倒れそうな君の体を支えてあげたいのに 身体が動こうとしない 君を拒絶していた

詩【気付かないふり】

「出逢わなきゃ良かったんだよ…」 呟く君に僕は何を言えば良い? 無口になって俯く君に 僕は何をしてあげれば良い? 言いたい事を言い合えず ただ幸せになろうとしていた、僕ら いつの間にか、心離れて行く音に 気づかないふりしていたんだね 別れを先に言い出したのは君なのに 言いたい事沢山あったのに、何で泣くんだよ 慰める事も、抱きしめる事も出来ず ただ、立ちすくむ僕を、君は軽蔑したかな 別れてからずっと思ってたんだ 君が誰かと幸せでいて欲しいって そんな事考えられるようにな

小説【ずっとなんて居てくれないくせに…】

まえがき 最初に。 登場人物の年齢、 背格好等の描写はあえてありません。 読んでいて、 中高生をイメージしても良いし、 会社員をイメージしても良いし、 読み手に任せます。 これから、沢山の人と巡り逢って、 その人を好きになるかもしれないけど、 今はそんな事よりも君と、 過ごした時間の方が大切だと思うんだ。 どれだけの年月が過ぎても、 きっと君の事を忘れないよ…。 君と過ごした時間を、 大切に思い出したいから…。        *   * 昼間の公園内。 噴水が威勢

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小説【女の子×ルージュ】

 学校帰り、100円ショップで  真っ赤なルージュを買った。  これからデートに行くわけでは無い。  ただ何となく買って見た。  大人になりたい分けじゃない。  だからと言って、  子供でいたい分けでも無い。  家に帰り鏡の前に座った。  鏡の中の自分は…、  落ち着いているようだ。  これから何をされるのか、  まだ分かって無いらしい。  鏡の中の自分は、  不愉快に思うかしら、  それとも気に入ってくれる?  今まで化粧一つした事無いこの顔に、  真っ赤なルージュは似

小説【女の子×休息】

 私はいつも駅前の駐輪場に自転車を停め、そこからバスに乗り換えて学校に通っていた。  毎日毎日同じコトの繰り返し…。  何故か、そんな自分が他人のように思えてしかたなかった。  いつものように駐輪場に自転車を停め、コンビニで弁当を買い、バスを待ち、そのまま吸い込まれるようにバスに乗れば良いのに、その時足は動いてくれなかった…。  バスは行ってしまい、残された私は、軽く空を見上げ、いつの間にか自転車に乗っていた。  そこでやっと私は気づいた。  あっ学校サボっちゃった…。

小説【女の子×手紙】

 私は学校から帰って来るとポストに入っていた郵便物の束を持ち玄関のドアを開けた。  誰も居ない部屋に帰る…。  『お帰り』なんてここ数年聞いた覚えが無い気がする…。  郵便物の中から自分宛の手紙を取り出すと後はダイニングテーブルに置き自分の部屋に向かった。  重苦しさのある制服を脱ぎ、着替えると受験勉強をする前に手紙を書いた。  いつもと同じ文を…。  『今あなたは元気ですか?   今あなたは幸せですか?』と。  ただこの二行だけを。  それから七時まで勉強