【お茶七不思議4】どうして、お茶碗をくるくる回すの?
茶道をやっていると言うと「お茶碗、くるくる回すんだよね~」とよく言われます。
さらに「どうして回すの?」と聞かれます。
その答えは、お茶碗には正面があるから。
答えになっとらん!お叱りの声が聞こえそうです。
答えに対する突っ込みポイントは以下のふたつでしょうか?
1:茶碗の正面って何?
2:正面があるとして、それがなぜ回す理由になるのか?
順に説明します。
1:茶碗の正面って何?
茶碗には、正面があるんです。
きれいな絵柄が一部にあるような茶碗だと、正面があるというのがわかりやすいですね。
きれいな絵柄が正面です。
一方で、絵柄などなく正面が分かりにくいお茶碗もたくさんあります。
釉薬のかかり具合など、たしかに違いはあるけれど、
だからといってどこが正面なのかわからないもの。
そもそもどこから見ても全く同じにしか見えないもの。
そういったものは、お茶碗を裏返すとある刻印の位置で判断します。
刻印が左になるようにお茶碗を持つと、そこがそのお茶碗の正面です。
お茶碗の作り手がお茶碗の正面を定めて刻印を押しているのです。
お茶碗の柄や刻印からも判断できますが、客の立場であれば、自分に向けられた面が正面と言えます。
お茶を点ててくれる亭主は、一番美しい面を正面として
客に向けてお茶を出してくれるからです。
2:正面があるとして、それがなぜ回す理由になるのか?
茶碗に正面があるのは、わかったと。
では、なぜそれが茶碗を回す理由になるのでしょうか?
まず、茶碗を回さずに飲むとどうなるか。
正面に口をつけて、正面から飲むことになります。
一方、茶碗を回すことで、正面を避けて、飲むことが出来ます。
次に、なぜ、正面から飲まず、正面を避けて飲むのかということですよね。
なんでですかね?
お茶をはじめたころ、先生に
「お茶碗には正面があるのよ。飲むときは正面を避けて飲むのよ」
といわれ、それ以上の疑問をもたずに、そうなんだと受け入れてしまいました。
それから何年かして、外国の方に、「なぜ正面から飲んではいけないのか?」と聞かれ、必死にその場で考えて「茶碗への敬意」などと答えましたが、
「物に敬意を払うというのは、さっぱりわからない」と言われてしまいました。
それから、私なりに考えました。
その日の茶事、茶会のためにお茶碗などのお道具を選んでくれた亭主のおもてなしの心が、茶碗にも宿っていると考え、その思いへ敬意が
正面に口を付けることを遠慮させるのかなといまのところ考えています。
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さて、正面を避けて飲むということですが、具体的にはこういうことです。
正面が自分の方を向いているときに、時計で言うと3時のところから頂きます。
3時のところが自分の前に来るように、時計回しに45度×2回、回します。
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オロジノフゼイオトコノマ お茶でのあいさつ
お茶のお稽古では、呪文のような言葉によく出会います。
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