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拝啓 これから入学するあなたへ

プロローグ

拝啓

気がついたら道端の桜の木も花を咲かせる季節となりました。

この度はご入学おめでとうございます。

あなたは現役・浪人の2年間でいくつかの大学を受験しましたが、あなたを受け入れてくれた大学は地元の国立大学である"高知大学"だけでしたね。

あなたは悔しさのあまり仮面浪人をする予定みたいですが、夏にはきっぱりとやめる覚悟ができます。それまで、いい復習だと思って高校の内容も勉強すると良いかと思います。もっというとおだきんさんに紹介してもらったファインマン物理学のI巻でも読んでおくといいのではないでしょうか。

ファインマン物理学 I巻 力学。

これからの4年間で行動の指針になる言葉は、高校時代に2人の恩師から言われた言葉です。何かあるたびに思い出すと良いでしょう。

結局はやる気の問題
高校3年間あなたの担任だった池田先生からの言葉。

地に足着いたことをしなさい
吹奏楽部・音楽部の顧問だった川田先生からの言葉。

あなたの中学校からの友人である中島くん曰く、あなたは入学前に「大学を卒業するまでに論文を3本書く」と言うらしいです。まあ、論文を出すとか出さないとかは置いておいて地に足着いたことを地道に頑張ってください。

これからの4年間は、かなり苦しいものとなると思いますがこれらの言葉を胸に刻んで頑張ってください。

学部1年

あなたが入学する高知大学には、アドバイザー教員というシステムがあります。簡単にいうと、担任みたいなものです。あなたのアドバイザー教員になる飯田先生にはこれからの4年間でかなりお世話になると思います。とても頼りになる先生なので困ったらその都度、相談をしてみると良いでしょう。また、入学1週間後にその飯田先生に「24時間使うことができる部屋はありますか?」と質問し、「理工学部学生・院生自習室」を紹介してもらいます。そこは、あなたの4年間で1番重要な場所と言っても過言ではありません。毎日通い、毎日そこで思考し続けると良いでしょう。

大学の自習室。あなたはここで、寝泊まりをしながら学問と向き合う4年間を過ごします。

入学してしばらくすると高校時代の友人であるFくんから数物セミナーという団体の夏合宿に誘われると思います。ぜひ参加してみると良いかと思います。ただし、分野選びには気をつけましょう。夏までにがんばる大きな目標を作るからと言って「場の量子論」を選択してはいけませんよ。そこからの数ヶ月が地獄のような日々になるので….。

夏休みになってもあなたは、大学の自習室に通い続けていますね。あれほど、場の量子論は選択するなと言ったのに勢いで選択したのではないでしょうか。あなたがこの夏に挑戦する本は「場の量子論(ワインバーグ著)」です。言わずと知れた名著の1冊です。あなたは何もわからず頭を抱え、涙することもあるかと思いますが、1文1文をきちんと読んでいくと良いかと思います。

夏休みには、中島くんの模試に付き添ってあなたが浪人時代を過ごした京都に行くことになるかと思います。そして、その後、大阪にて阪大におられる尾田先生と飲みに行く機会ができます。その頃には、成人していると思うので安心してお酒を飲んできてください。お酒の席で尾田先生に本当は阪大に行きたかったこと、仮面浪人を考えていることを話しますが次のような言葉をかけてもらえると思います。

そんなことをしている暇があったら、早期卒業とかなんでも使って早く院生として僕のとこに来なさい
ビアガーデンでビールを片手に持つ尾田先生からの言葉。
(尾田先生からは、「私はあなたの先生ではないのでおだきんさんと呼びなさい」とも言われるかと思います。)

あなたはこの言葉をもらってから初めてきちんと大学の物理学と向き合うことを決めると思います。頑張ってください。

大阪の地で飲む高知の日本酒。多分、安芸虎を飲むことになるかと思います。
この時は、つらそうにちびちびと飲むと思いますが、
4年も経てばグイッと1口で飲み干すようになりそうですね。

夏の終わり頃には、数物セミナーの夏合宿に参加します。これまででも十分ワインバーグに苦しめられたと思いますが、合宿期間中も苦しめられそうですね。良い経験なのでたくさん「苦しめられて→考えて」を繰り返すと良いでしょう。誰も学部1年生のあなたがワインバーグをきちんと読めているとは思いません。それはあなた自身もそうでしょう。1つだけ大事なことを言います。なんか1つでも先輩たちが知らないことを喋ってやるんだ。教科書に書いてないことを喋ってやるんだという意志を持ってください。そのもがき方がその後の学生生活にもきっと役に立ちます。また、合宿では大事な出会いもあると思います。ファインマンの話で盛り上がるとまとんさん生物物理の話をしてくれるあじさいさんです。ファインマンを読んでいた伏線がここで回収されます。この2人とは、これから先いろんな場面で議論をしたり、情報を教えてもらったりとお世話になるので楽しみにしていてください。

移動途中の新幹線の様子。奥の人間がワインバーグを読むあなたです。

さて、夏が終わると高知大学でも自主ゼミがしたくなってくることでしょう。あなたは居ても立っても居られなくなり高知自主ゼミ栽培サークルCEEDという団体を設立します。この団体は忽ち大きくなり、一時期は1週間に10個以上の自主ゼミが立つようになります。また、この団体はあなたの大学生活の中心となるので楽しんで続けると良いかと思います。

自主ゼミの発表をするTくん。1人しかいなかった自習室に活気がでてくることでしょう。

冬には各々が勉強したり、興味を持っていることを話すセミナーを対面で開くことになります。そのほか、毎月部会みたいなものをきちんと資料を作った上で開いたりとかなり組織だって運営することになるでしょう。準備は大変ですが、そういった地道な活動こそが誰かに認められる鍵となると思います。頑張ってください。

セミナーで発表するあなた。あなたは、数物セミナーの夏合宿であじさいさんに教えてもらった生物物理学にどハマりしていきます。
当時謎の流行を見せていたペスキンしゃぶしゃぶを試みるあなた。
全く文脈関係ないが高校の同窓会でゼミを始めるあなたとFくん。

春にも同じくセミナーを開催しようと計画するのですが、新型コロナウイルスの急速な拡大によりCEEDのセミナーどころか数多くのイベントが中止を余儀なくされることになるかと思います。ここでただ悔しがって居てもしかたありません。対面がダメならオンラインで、さらに、別大学も巻き込んでやろうと気合を入れ直してあなたは新たな団体を設立します。それが、オンラインゼミ掲示板です。この団体を通して、あなたはコミュニティ運営の様々なスキルを身につけていきます。もしかすると「私はあなたよりこの団体を導くのに向いている。だから、この団体を譲ってほしい。」という旨のDMが届くかもしれません。折れてはいけません。きちんと、自分の意思を貫き通してください。

新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、休館を余儀なくされるひろめ市場。

この頃から、とまとんさんにおすすめされたVTuberの戌神ころねさんの配信を追いかけるようになります。これがのちの活動で重要な鍵を握ることになりますが、今は何も考えずにゲームを直向きに楽しみ続ける彼女の姿に魅了されていてください。このころから、ファンアートを描き始めることになります。どこで何が活かされるかわかりませんから、楽しんで絵を描いてみると良いかと思います。結構いい線までいけるといいですね。毎日クロッキーとかするといいんじゃないでしょうか。

摩訶魔訶をクリアされる戌神ころねさん。
はじめて描いたファンアート。「無限に素粒子」という言葉は、配信中に戌神ころねさんが発言されていた言葉だったように思います。

学部2年

学部2年生になってからは、全ての授業がオンラインになります。1年生のときに立てた団体の運営とゼミの発表にだけ力を入れ、それ以外の時間は絵の勉強に時間を使うことになるかもしれません。しかし、そこで後々重要なスキルだったり、人との出会いも生まれます。特にプロの漫画家の方にイラストを通してフォローされることになるかと思います。実は、この方に将来自分が開く科学のイベントに参加してもらう機会が生まれます。そのときに、市民科学とは何なのか?ということを考える1つの答えを見つけることができます。どこで何がどう繋がるかは誰にもわかりません、とりあえず毎日のクロッキーは欠かさず頑張ると良いかと思います。また、物理もしっかりとゼミ発表と授業を中心に頑張ってください。

とまとんさんの立ち絵。Live2D用にパーツ分けまでします。

夏から秋にかけては様々なことがあると思います。

まず、いつもと同じようにTwitterをみていると田島先生アウトリーチ活動のお手伝いを募集している旨のツイートが流れてくることでしょう。即座にDMを送ると良いかと思います。これがあなたのこれからの運命を大きく変える出来事になります。

次に、「CEED第1回オンラインセミナー」の開催です。このイベントでは、VTuberの配信で流れるコメントのようなものがあったら面白いだろうと思い、Twitterのハッシュタグ機能を全面的に使うことを試みます。この取り組みは、CEED独特の文化を生んでいくのでぜひ今後も試行錯誤してみてはいかがでしょうか。

そして、統合型ゼミコミュニティの設立です。これは、高知大学、名古屋大学、富山大学のゼミサークルで共同で1つ大きなオンラインコミュニティを作ろうとあなたが呼びかけて設立します。このコミュニティを通して、あなたは輝かしい実績と共に人とコミュニティを運営することの大変さを学ぶこととなります。多くの経験と挫折を味わうことになるかと思います。時には、全ての活動を投げ出したくなる時もあるかと思いますし、精神的に疲れ果て何事も手がつかなくなる時期も来るかと思います。無理だけはしないようにしてください。そして、人を巻き込むということを学ぶと良いかと思います。

統合型ゼミコミュニティの初期案。

秋になると、田島先生のもとで本格的にアウトリーチ活動のお手伝いをするようになると思います。その中で、「科学を伝える」ということときちんと向き合うようになります。また、それと並行して、田島先生に研究の機会を与えてもらえることでしょう。あなたは素粒子物理学が勉強したくて大学に入りましたが、物性物理学の研究を始めることになるかと思います。そして、忽ち物性物理学の奥深さに魅了されていくことでしょう。素粒子物理学とは完全にここで決別することになるのでしょうか。実は、そんなことないので安心してください。あなたの憧れた南部先生の研究とシナジーがあることを実はすることになります。激アツですよ。

アウトリーチ活動の様子。コントラバスを弾くのがあなたです。
南部先生が生前使っていたデスクに座る高校3年生のあなた。

冬からは、本格的に研究が始まり、田島先生のお家で寝泊まりすることになります。実は、2本の論文執筆が同時にスタートします。願ってもない機会でしょう。そのうち、1つは英語原稿です。ですので、英語は学部1年生から継続して勉強するようにしてください。クリスマスまでに計算を終え、年内に第1稿を仕上げることになります。かなりハードな数ヶ月が過ぎます。初めて研究者として、過ごす数ヶ月です。この経験は、後にかなり重要となるので大変だと思いますがしっかりと乗り越えてください。応援しています。

年が明けると論文について、議論したり修正したりすることが増えてきます。そして、以下の2本の論文を提出することになります。

レフェリーからのコメントは、必ずしも良いものではなく、時には辛辣なものもあるかと思います。そして、それをみて落ち込むこともあるかと思います。辛いと思いますが頑張ってください。

春には、CEEDのオンラインセミナーと初めての学会発表があります。こちらも手を抜かずに頑張ってください。

学部3年

学部3年生では、これまで立ち上げてきたコミュニティをさらに発展させる年となります。ここまでは、割と身内が中心だったイベントたちは次第に大きくなり、CEEDは1回のオンラインセミナーで20-30テーマの講演が、統合ゼミでは、数十個のゼミが進行するようになります。しかし、あなたはまだ人を巻き込むというのが苦手なようですね。

4月、「CEED第4回オンラインセミナー」を終えた頃にこれから先の大きな発展をサポートしてくれるBさんと出会います。自分の活動にアドバイスを、そして、協力をしてくれるBさんのおかげでこれからの半年から1年でいろいろな活動が急速に進むことになるかと思います。Bさんへの感謝を忘れず、そして、無理をかけないようにしてください。

5月には、数物セミナーの運営の1人として、そして、CEEDの代表としてお互いの団体のコラボイベントとしての合同セミナーを開くことになるかと思います。ここでは人に仕事を任せるということを学ぶかと思います。このスキルは非常に重要なのできちんと習得してください。

夏になると、「CEED第5回・第6回オンラインセミナー」を1ヶ月間行うというとてつもないイベントを開催することになります。このイベントを通して、CEEDは全国規模のオンラインイベントとなっていくことでしょう。すこしずつあなたの中には責任という文字が浮かんでくるかと思います。大事なのはあなた自身が楽しいかです。参加登録が150件を超えることになっても自分が楽しいものをつくるという姿勢で頑張ってください。

このイベントを開催している期間中に高知大学理工学部のOB会である南溟会にこれまでの活動が表彰されることになるでしょう。さらには、この頃には学部の教授会でもあなたの団体の話が出るようになります。これらはあなたのこれまでの活動の積み重ねの成果でしょう。おめでとうございます。

CEEDのイベントが終わると夏の学会登壇があります。あなたは、2テーマで登壇することになるかと思います。こちらもきちんと前々から準備をして臨むと良いかと思います。

南溟会に表彰されるあなた。
文脈とは関係ないが笑顔でブランコを漕ぐあなた。

秋は、特に大きなイベントはありませんがその代わりに授業に熱心に取り組むと良いでしょう。特に西岡先生が担当されている固体物理学ではゼミ形式に近い授業ができると思うので楽しいと思いますよ。

年末年始には、「裏CEED1st」という年越しの科学イベントを開きます。あまり人が集まらないかもなあと思うかもしれませんが講演、聴講ともにあなたの予想以上に集まります。楽しみにしていてください。

学部4年

4年生に気がついたらなってしまいます。

あなたは、大学入試の後期の面接にて「4 年間は自分にとっては短いものになる。だからこそ、1 秒も無駄にできないんだ。」と言ったと思います。その通りになります。

4年生では、大学院試というかなり大きなイベントがありますが、あなたは夏にある低温物理学の国際会議に参加するために院試の選択肢がかなり狭まることになるでしょう。なんでかというと、国際会議の日程と一般的な大学院入試の日程がもろかぶりだからです。どちらに重きを置くか迷うことになると思いますがあなたは国際会議に参加することを決め、大学院入試は高知大学の推薦入試を受けることを決めます。良い選択かと思います。

推薦入試では、なんと受けるコースで過去の合格者がゼロということを知ることになります。とりあえず、あなたのこれまでやってきたことを信じて入試に挑まれると良いかと思います。

大学院入試が終わるとあなたはいろんなコミュニティに参加することになります。

まずは、日本科学振興協会JAASです。こちらは、CEEDや統合ゼミの活動について「第1回総会・キックオフミーティング」にて発表したことがきっかけで参加することになります。大人たちがアクティブに動いている様子をみることができるかなり刺激的なコミュニティなのでいろいろと見て回ると良いかと思います。

さらに、JAASの人間として当時JAASが共同でいろいろと活動をしていた学生団体BEASTとの橋渡しという名目で学生団体BEASTに参加することになります。これまで1人で、しかも、団体のトップとしてコミュニティを回すことが多かったあなたにとってBEASTは、とても大きな刺激となることでしょう。

この頃、あなたの精神は度々ボロボロにくずれていくことになります。逃げないことだけが正義ではありません。無理だと思った時は逃げてください。こうした精神的な疲労の中、昔からの夢であった研究者になるということに疑いを持つようになります。本当にやりたいことはこれなのか。と連日悩むことでしょう。好きなだけ悩めばいいかと思います。

夏になり、あなたは国際会議「The 29th International Conference on Low Temperature Physics」に参加します。開催地は北海道ということもあり、メンタル的には少し余裕がありましたがずっと英語で議論することは大変だと思います。やはり、英語の勉強をを日常からやっておくと良いですね。ポスターセッションでは、多くの方が研究内容に興味を持ってくれると思います。さらに、あなたが発案した内容が発表のメインということもあり、少し自身がつくと思います。ですので、精神的に辛くなってしまうこともあると思いますが準備は頑張ってみると良いかと思います。

LT29でのポスター発表。
北海道の葡萄畑の中で飲むワイン。

夏が終わると多くのイベント運営と卒論が待ち構えています。

卒論では、これまでの研究をまとめつつ、自分が気になっていることについて研究をすることができると思います。卒論に関して1つだけアドバイスをしておくとしたら、早めに原稿を少しずつ書き始めると良いのではないかと思います。でないと、提出1週間前から地獄のような日々が訪れることになるので….。

イベント運営に関しては、年末年始から1月中旬にかけて2つのイベントの運営を行うことになります。

1つは、「裏CEED2nd」です。3年生の年末年始に行うことになる「裏CEED1st」の続編となります。年末年始にも関わらず、多くの方が参加してくれるイベントとなります。さらに、イベント用のハッシュタグが2日連続でトレンド入りするという快挙を果たします。おめでとうございます。年末年始に、トレンド入りはかなり凄いことだと思います。

もう1つは、BEASTであなたが回すことになる「SHITEN」というプロジェクトのイベントです。「漫画・アニメ・ゲーム×科学」というテーマのイベントなのですがこちらもかなり盛り上がります。なんとこのイベントでは、イラストを描いていた時代に参加してくださった漫画家の先生が聴講者として参加してくださることになります。先生からは「科学にはいままで関わることがなかったがとても面白いイベントだった。参加して良かった。」とのコメントをいただきます。さらに、先生がその後いろんな科学のトピックに関心を持つようになります。行動はどこかで必ず繋がってくるので1つ1つちゃんと向き合って行動すると良いかと思います。関係ないと思っていることほど繋がってくると思います。

これらのイベントが終わった後、卒論発表と卒論執筆が来るのですがこれまでの学会発表と論文執筆に比べたらやりやすいと思うので4年間のまとめだと思ってきちんとまとめてきたら良いかと思います。

卒論執筆が終わると二度、県外に行く用事があります。

1度目は、東京に8日間滞在することになります。滞在中は、二度「オンラインにおける科学イベントのこれから」というテーマでCEEDの活動を中心に発表する機会があります。多くの方にCEEDの活動に興味を持ってもらえる機会になるかと思います。この滞在で「高知は海外かもしれない」と強く感じるかもしれません。具体的にどういうことかといういますと、高知にないものが東京には多く存在しているということを改めて感じることになります。また、人の意識感の違いも感じることになるでしょう。

東京で科学イベントを開くと宣言してもその言葉は、もしかすると日常の一コマに過ぎないものかもしれません。しかし、高知で科学イベントを開くと宣言するとそれは大きなインパクトになります。ここでは日常的なことが別のところでは、そうでないということがあるということを改めて感じるきっかけになるでしょう。

2度目は、福島に2日、東京に1日滞在することになります。福島にはビジネスアイデアピッチで行くことになると思います。会場は、福島県大隈町。福島第一原発のある町です。あなたは中学、高校で災害に関する教育を受けてきたので災害に関しても、3.11に関してもある程度知っているつもりだったと思います。しかし、現地では何も知らなかったことに気付かされることでしょう。

あなたは、福島の地で全ての当事者にはなれないことを改めて感じることになると思います。

あなたは福島から帰ってきて自分が何をしたいのかだんだんわからなくなると思いますが、それでいいと思います。考えてきたからこそわからなくなるんだと思います。

あなたのこれから過ごす4年間は1秒も気が抜けない濃い時間となるかと思います。どうか後悔のないように楽しんでください。

末筆ながら、ご自愛のほどお祈り申し上げます。

敬具

令和5年3月30日 
赤神青空

エピローグ

拝啓 卒業したあなたへ

福島から帰る車窓からは、大きくなった桜の蕾が風に吹かれており、春の訪れを感じずにはいられません。

この度は、ご卒業おめでとうございます。

あなたが過ごした4年間は様々な感情が入り乱れる混沌としたものだったと思います。その混沌の中からあなたが掴んできたものはこれからの人生で大きな糧になるかと思います。

一歩一歩地を踏み締めて頑張ってください。
そして、いけると思ったら持ち前のやる気で壁を乗り越えてください。

これからのご活躍を心からお祈り申し上げます。

敬具

令和5年3月30日
赤神青空



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