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失せもの出づ

作品展の会場に置き忘れたニット帽を
次に搬入に訪れた別の事業所の同僚が
あっれええ?これ赤毛さんの今朝のコーデにドンピシャじゃね?
展示作品なのかな?
いや、赤毛さん今日展示に行くって言ってたしな
あの人あっちこっち行く先々に足跡残してくから(忘れ物多いから)
これもきっとそうじゃね?笑



確認のお電話を入れてくれて
ああ、そうですそうです、私の帽子です
ありがとうございますと
無事に持ち主の元に帰ってきたのだけれど

実は偶然のようでいてそうでもない
伏線はあるもので
実はその日は何度も同僚と作品展の搬入の件で
二転三転するやりとりをしていて
最初は一緒に車に乗せてもらっていくつもりだったのだけど
急に時間が空いたから手持ちでチャリで単独に行くことに変更しますと
お断りの連絡をしていた

つまりその担当者に向けて
赤毛は今日作品展の搬入に行くからなというメッセージを
結果論摺り込んでいたわけで笑
会場について赤毛帽を見たら
そういえば赤毛さん今日搬入に行くって言ってたよなーと
思考回路がつながったんだと思うし
事前の情報がなければパッとは思いつかなかったんじゃないかと思う

偶然に見える出来事にも
見えない張り巡らされた伏線があって
映画だとその全体図を神の視点でみることができるから
面白いと思うんじゃないかな

とはいえ何で???と思うような偶然も起こるから
それも人智を超えて面白い

長女が小学生の頃
土手で花火大会があって友達とチャリンコで遠征して
河川敷で花火を眺めて帰ってきた
その翌日は宴の後みんなが食べ散らかしたゴミを
地域の障害者施設やシルバー人材センターが
行政からの委託を受けて掃除するのだけど

その日は元夫の事業所が担当して
河川敷のゴミを施設の利用者さんと一緒に拾って歩いた
花火の燃えさしやペットボトルや空き缶
散乱するプラスチックの容器をゲロや犬の糞をよけて歩いていると

シナモロールの三つ折りのお財布が目に入る
あ、お財布と思って手に取って開いてみると
出てきた図書カードに書かれた名前は
思わず二度見してしまったらしいけど
我が長女の名前だった笑笑

広い広い河川敷で
それはどのくらいの確率になるのかなあと思うけど
娘の落とした財布を翌日に父親が拾う確率って
まあ天文学的なんじゃないかと思うけど

もちろんお財布を落としたことも気づいていない長女に
ニヤニヤした父親が、はい、と帰ってきてお財布を渡して
どこにあったと思う?って話し始めたときは
ちょっと鳥肌がっ立ったけど
この親子、モッテルナと

次女もスゲエなと思う忘れ物があって

ホントは高校生になったらという赤毛ルールだった携帯を
どうしてもというから買った中学生の夏休みのこと
小学校からの友達とその日は夏祭りに出かけるんだと
ちかくのショッピングセンターのフードコートで食っちゃべっていたらしい

そろそろ祭囃子の聞こえるころと
チャリに跨り会場に移動すると

ない!携帯がないことに気づいて
ああそうだ、フードコートのテーブルの上に置きっぱなしやと
気づいて慌てて戻るけど時すでに遅し
テーブルの上にも、店舗のお客様センターにも届いていない

買ってもらったばっかりなのにと青ざめて顔に縦線いれて
帰ってきて半べそかいて赤毛ママに報告する

探してもないなら、交番に届けて待とう
GPSで探せるかもしれないし
うーん試しに電話鳴らしてみようかと

電話番号にかけてみると

もしもし?
と訝る女の子の声で出る

え?出たよ、繋がった
もしもし、あの、どちらさまでしょうか?

あー赤毛ママだ
私です私、今ね、祭りの会場で落としたのかもって探してたらね
ピンクの携帯の落し物が届いておりまーすってアナウンスがあったからね
もしかしたらと思って見に来たらね
携帯が鳴ったからびっくりして出たんだ!
赤毛ママー携帯あったよ!

うわー、ナイスプレイ!礼ちゃん!
びっくりだよー
本当にありがとうね、探しててくれて涙

子供なりに携帯をなくすことの重大性は理解して
一生懸命探し続けてくれた友達の執念が
ドンピシャのタイミングでそこに居合わせることを可能にしてくれたんだと思った。

お礼言わないといけないね 礼ちゃんに

うん涙

どうやら、フードコートに携帯を置き忘れて
おそらく次に座った同じくお祭り目当てのガキンチョが
携帯をみつけて失敬したものの
ロックが懸かっていて使えないので
到着したお祭り会場でポイと生垣に捨てたところを
どなたかが見つけて本部テントに届けてくださり
遺失物のアナウンスをしたところに友達が居合わせて
あ、探してるやつかもしれないと機転を利かせてくれたということらしい

全てのことが正しい位置に向かって動き出すというのはあって
そのプロットを書いているのは誰なのかはわからないけど

忘れ物ばっかりしてる赤毛親子を今日もお守りくださりありがとうございますと
手を合わせる夜に







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