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お名刺代わりに

わたしを名付けないで
娘という名 妻という名
重々しい母という名でしつらえた座に
坐すわりきりにさせないでください わたしは風
りんごの木と
泉のありかを知っている

  ー新川和枝 「私を束ねないで」

確か中学国語の教科書に載っていた新川和枝さんの有名な詩。「私を束ねないで」

改めて読むと必要最小限のボリュームにブラックホール並の最大質量で言葉が刻みこまれて、片や自分のイメージの世界はスッカスカやなと恥ずかしくなり笑うしかない。比較の対象にするのがそもそも論間違いです苦笑

母親、妻、娘。名付けられて十把一絡げに束ねられて消える個別性と私の固有名詞。

お名刺代わりに自己紹介、性別、年齢、所属に趣味、資格にスリーサイズ、背中のほくろの数も書いた方がいいかしらん?つけられた大量のタグに埋もれて自分がみえなくなる。

いくらタグを集めてもそれじゃあ私は出来てません笑

わかって欲しくて、分かりやすいタグを自分に貼るけれど、その分かりやすさは煙幕。相手の言動から分かりやすいタグを自分の辞書にある言葉で引っ張ってくるけど、それはその人そのものじゃなくアバター、私がみたいその人のコピー。

残念ながら、私はあなたが思うような私ではありません。キッパリハッキリ拒否笑

同時にあなたも私が思うようなあなたではないことも、知っている。

だから、知りたい。あなたが、どんな人なのか。好きな音楽はなんですか?嫌いな食べ物はありますか?笑お見合い以下の、クラス替えした初日の小学生みたいに、初めて会ったら聞いてみたい。



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