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ボタンを外して

何でそうなったのかを
誰かのせいにしている限りは

外的な要因のせいにして
誰かの同情を誘わんとばかりに
一杯の掛蕎麦みたいに語っている限りは

その出来事から
自分が自由になることもあり得ない

本当のことから目を逸らして
自分にとってのど越しの良い物語に
鉄が熱くてとても触れない時には
仕方のないことだし
そうやってしか生き延びることができない時期がある

でもそうなったことに
自分に非がないかのように語ったとしても
それを側にいた人は全部見ているわけだし
自分のその偽善も含めて見ているわけだし
自分は騙し切れても
じっと見つめてきた小さな二つの目
他者の冷静な目はお見通しだと思うし

いつかきっと
自分のついてきた嘘を見破られて
自分が信じ込ませようと語った物語が
ニカワで固められた
ハリボテだったと
裸の王様は立ち尽くすときが来る

だから嘘をついて
耳触りの良い言葉で
物語を繕わずに

単独事故にだって
睡眠不足とか
飲酒運転とか
道路の構造上の不安定さとか
必ず背景、遠因がある

砂糖菓子みたいにポエムに包んで見せても
中身は時を止めたまま
じっとこちらを見てる

本当のことを隠すのは
一度はやめなくちゃいけない

それはブーメラン
いつか自分に返ってくるから

弱さと寂しさから
自分が誰かのせいにしてついた嘘に
甘い砂糖に蟻が群がるように
人が群がって自分が捌ききれなくなくなるし

最早何が原因でそうなったのか
ミイラ取りがミイラになって
自分の付いた嘘に溺れて
本当のことが見えなくなるから

私も散々恨んで、否定して、ディスって
人でなし、地獄に落ちろって
罵詈雑言の限りを尽くして語ったけど
ある時ふっと全部ブーメランで自分に帰って来ているのに気づいて
口汚く罵るということは
自分の口も汚すんだと茫然自失した

呆けた時間をしばらく過ごして

相手だけじゃなくて
自分にも非があって
それは2人で作った過ちで
2人とも残念ながら修正が効かず
終わりにすることでしか
これ以上相手を傷つけない方法をとることが出来なかったんだと
思って初めて
誹りも罵倒も非難も
全部自分に値する
引き受けて頭を垂れようと腹を括ったときから
振り回してた刀を鞘に納めることが出来た気がする

どんなに上手に取り繕って語ったとしても
絶対に自分だけは騙すことが出来ない
だから最終嘘というのは
自分に向けてついてるんだなと思うし
嘘をつき続けなければならないその間は
その無限地獄から自由になれない

その真綿のファンタジーから出ておいで
砂糖菓子の足場じゃ現実は組めないし
メガネを外して窓の外をみてみれば
思うよりずっと世界はヤサシイ

勇気を出して
被ったチンポじゃなかった
幾重にも纏ってしまった被り物を
まずは一枚脱いでみようよ







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