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迷子の迷子の子猫ちゃん

長女は幼いころから外出時は目が離せなかった。
自分の興味関心でいきなり立ち止まってしまったり、
逆にふらああっと横道にそれて異世界空間に迷い込むタイプだったから

多分あの頃の長女はトトロの森の入り口が見えていたと思うし
神隠しってそういうことなのかなあとも思う

まあ今風に言えばローマ字4文字くらいの何かタグが付くんだろうし
その領域は私の本職でもあったけど
SDGz?そうだね、きっとそう笑。
そんなお札張ってキョンシーみたいに目の前見えなくなったら
歩き易いはずがなかろうと
まだ毛も生え揃わぬうちに
何の鋳型にはめようとするのか
その子らしい発達をみないでどうすると

自分自身、勉強していい学校に行っていい会社に入ったら
勝ち組だ、みたいな
分かりやすい価値観で育ったから
それは時代もあったし
両親もそれが子供の幸せを願ってのことだから
責めるつもりも、親のせいだとも全く思わない
むしろ、教育を授けるべく、決して裕福でもないのに
自分達は高卒だったのに
大学教育を受けさせてくれたことに
お金を出してくれたことに感謝している

とまた話が横道に笑
今日は大みそか
何かを振り返りたくなる日和だ

ええと何の話だっけ笑

そうそう目が離せない長女

だから買い物でも、保育園のお迎えでも、
外出時には目を見張って
彼女の動きを目の端にいつも入れて、
視界から消えないように気を付けてきた

次女は誰を灯台の灯りに進めば安全か
幼いながらも分かっていて
必ず私の姿を目の端に入れて動くので
互いに探すから
たとえ短い時間のミッシングがあったとしても
必ず見つけあうことが出来た

これは不思議なもので
互いに探しあう人間と
たとえ一方であってもどちからに探す気が全くない人間同士は
見つける難易度は格段にアップする

そのリスクを考えると
終始目を離さないことが
コスパの良いリスクヘッジで
もし完全フリーにして見失った時の
リカバリーの困難さは想像したくない

いや、想像できる。
というか一度だけ私から意図的に目を離したことがあった。

それは、小学校三年生くらいだったと思うけど
大きなショッピングモールに映画を見に行って
食事をして、買い物をしようとしていたとき

本当は初めてのところも
人混みも苦手で
人にの多さにアテラレテ
館内の光の強さにクラクラして
ああいうところの、なんていうのかなプラスティック臭というのか
自分の一日の飽和以上に化学的な何かを吸い込んでしまったイライラというか
全部何かのせいにしているんだけど汗

思うように付いてこない長女にキレて

ーもう!知らないから!勝手にしないさい!

と数歩。

エンストしてうずくまって歩かなくなってしまった長女を置き去りに
二女と手を繋いで歩いてしまった。

マズイ

と我に返って振り返ると

イナイ

長女の姿が忽然と消えている

ヤバい

そう思って一瞬で血の気が引いて泡食って探しまくる
その付近を捜して
インフォメーションセンターで迷子のアナウンスも何度もしてもらった
行ったところも何度もなぞって探した
店舗を出たところにある交番に行って迷子を捜してくれるようにも頼んだ

次女は小学一年生くらいだったと思うけど
小さいなりに事の重大さを理解して
黙って文句も言わないでジット母親を見上げて
必死についてきてくれた

だめだ、イナイ。
どこにいっちゃったんだろう。

迷子になったんですと自己申告してくれるか
ワンワン泣いていれば
周りがああ迷子だなと気づいてくれて見つかるはず

オカシイ
オカシイ
なんでこんなに見つからないのか

嫌なことばかり思い浮かぶ
自分が悪いんだ
目と手を離したから
こうなるリスクの高い子だから
今まで目を切らさずに来たのに
後悔が怒涛のように押し寄せるけど
覆水盆に返らずとはこのことだ

何時間探したろうか
もうここにはいないと確信して
いったん自宅に引き上げ体勢を立て直そうとバス停に向かう。

死んだ魚のような眼をしていたと思う。

どうしよう。
もし見つからなかったら?

プルルルルるプルルルル
携帯に着信音
実家の父からだ

同じ区内に住んでいるので
迷子になって探しているけれど見つからないことは伝えてあった

ー今、帰って来たぞ。一人で。歩いて来たって言ってる。

ーえっ?そっちに行ったの?まさか?

慌ててタクシーで実家に向かう。

いた。

ちょっと固い顔をしていたとは思う。
でも泣いたりはしていなかった。

所謂迷子がお母さんと再会した期待するような絵面とは異なる展開

そりゃあそうだ、母親にもう知らない!と言われた瞬間
じゃあ、と自分一人で帰ったるわいと
嗅覚を頼りに歩き始めたら
何のことはない自宅の手前にあった
祖父宅に帰巣本能が働いちゃって
どこをどうグルグル歩いたんだかわからないけど
5時間以上かけて歩いて祖父の家にたどり着く子だ

うわあ、お姉ちゃん、いたね、
次女のほうが涙目だ

怒る気にはならない
私が怒られなきゃいけない
親のくせになんで目を離したのって

よく迷子が怒られているけど
違うやろ
お前が親だろ目を離すなよって思う

だって私がもう知らないって啖呵切った結果だから
頭に血が上ってたとしても
親が言っていい一言じゃないし
やってはいけないことだった

でも一瞬魔が差すというか
我を失うというか
親も親業は修行だから
まだ初心者のうちには
やらかすことだってあるし
それも込みで子育て自分育てだと思う

ええと話が同心円グルグル回り始めて
遠くに来ちゃったけど笑

探している二人同士が
出会うことは実は簡単で
多少のタイムラグはあっても
遅かれ早かれ出会うことはできる

でもどちらかが探していない時
または助けを必要とせずに自力で歩き始めるときには
探すことでは二人は出会えないし
探すことをあきらめたときに
偶然あらまあ、と出会うこともある
かも、知れないと思う
大みそかに








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