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いつか遠くに行きたいと思うこと

なんとなくだけど

私はそうは思わないって

やっぱり 口にしたいと
思う夜がある

結構喧嘩っ早いというか
血の気は多い方で

実際に暴力に訴えることはしないけど

カアアっと瞬時に頭に来ることはあるし
黙っておれなくて
止せばいいのにと自分でも頭のどこかで思いながら
ここですっこんだら女が廃るぜと思ってしまって

言わなくてもいいことを言ってしまって
こめかみがガンガンすることはよくあった

(今は本当に命がけかもしれないので
よく吟味してからでないと机はひっくり返さない)

本当にそうなのかなと
私はそうは思わないけどなと
思うことがあって

それは私が
それができた
恵まれた環境に生まれたからだと
親や偶然に感謝しながらも

やっぱり
遠くを見ようと背伸びした
あの爪先に感じる不安定さと
しゃがみ込んでは見えなかった
景色を憶えていたいから

書く

象の時間ネズミの時間という
生物のサイズ学の名著があるけれど

生き物にはサイズがあって、一生のうちに打ち鳴らす心臓のビート数や、摂取エネルギー、行動半径なんかはサイズに相関関係があって決まっているということを教えてくれる。

人間の適正な行動範囲は、人間のサイズからするとおおよそ半径4キロの中学校区どころか

半径2キロ、徒歩30分圏内で、地球の反対側まで飛行機でひとっ飛び、車で時速80キロで移動なんてのは動物としてはそのスピードで引き千切れてしまうほどだ苦笑

一日2000キロカロリーの栄養を摂取しているとしたら、ラーメン、餃子、焼き鳥、焼き肉にコカ・コーラカロリーゼロ笑、それは動物で言うと体重四トンの象が一日に摂取するカロリーに匹敵する。

要するに人間は動きすぎるし、食べ過ぎる、とにかく過剰で異常な生き物なんだ。

地球のためになんてサステナブルだかエスディジーズだかカタカナが飛び交っているけど

地球のためにを本気で考えるなら、人類が絶滅するのが一番手っ取り早いし効果的なんじゃないかと思ってしまう

人間が地球に一番悪い存在苦笑

でも、人間は知りたいし、見たいし、食べたいし、欲求は尽きないし、その強欲さ貪欲さゆえに、文明を発達させて、文化を作ってきた。

それが地球を破滅に近づけているとしても。それが人間の性(サガ)

そしてそれを避けようとして知恵を絞るのも人間の営み。
マッチポンプだけどね。

だから、半径四キロの世界でつつましく生きる姿を決して否定なんかしない。
むしろ私自身そうして生きる人たちの生活を支えることを仕事に選んできた。

でも、谷川俊太郎の柱頭を染める朝日を
フォロロマーノの遺跡で
この目で見てしまったら

タプロームで、生い茂る樹木にハンモック掛けてバルスと口ずさんでみてしまったら

シラクーサの円形劇場でモモの影を見たと思ってしまったら

深夜特急を握りしめて、見知らぬ土地から土地にバスの車窓から吹かれる風に身を任せたら

バンコクで沈没、屋台で10バーツラーメンに夢を語り合ったら

やっぱり後戻りはできない

身体は小さな街で小さな円を描き続けたとしても

本を読んで想像力を飛ばすことを止めることはできないし

いつかきっとまた朝靄の街でヌカルム大地に足跡を付けて歩くんだって
願う気持ちは消すことはできない

それが二足で立って草原の遠くを眺めようとした
遠い祖先、一匹のサルの性だと思うから




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