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お金と交換したものは

地元にお金を落としてお金を回そうというのが
結婚した二人の共通の金銭感覚だったから

結婚式は何とかコーディネーターとか
ゼクシィさんとかに任せられないし
プリンスホテル新高輪さんとか雅叙園さんとか
セントラルな地域に落とすわけにもいかない

走り出せ中央線の地元愛
高円寺と阿佐ヶ谷近辺で全て済ますことにした

まず会場は近所の神社
調べてみたら確か2~3万で神職の方が祝詞を上げてくださり
貸衣装とか写真撮影なんかのサービスもあった
白無垢にも憧れたんだけど真夏の結婚式だったんで
暑いのは耐えられんと断念した笑

彼のタキシードは確か八千円くらいだったような
新婦がお背が高いからとシークレットシューズもレンタルして
これは二人で大笑いした
こういうお気遣いもあるんやとそして金で解決するんやと

私の衣装は彼の親戚が
スモーク焚いてゴンドラで降りてきたような
バブリーな結婚式のヤツがあるからと借りた笑
ちょっと黄ばんでたような気がするけど
ガソリンの満タン返しじゃないけど
クリーニングして返したから衣装代はクリーニング代のみ
ええと3000円位だったかなあ

ブーケもいるなあと
結構これが高いから
近所の花屋に相談して
そんな感じのブーケを5000円で作ってもらって
当日会場に届けてもらった

引き出物
ちゃんと義母に相談しましたよ
何にしたらよいでしょうかってお伺い立てて
そうしたら、阿佐ヶ谷に美味しい和菓子屋さんがあるから
うさぎやさん。そこにしたらどうかしらって
はいって返事は一回。

和光のティーカップとか、ティファニーの写真立てとか
そんなの予算オーバーやし
あくまでも地元で調達が今回のミッションだから却下!!

うさぎ屋さんで相談すると、暑い季節だから
看板の生菓子はお止めになった方がといわれ
そうですねとなぜか駅前の煎餅屋で水羊羹詰め合わせを注文した

おそらくそれはお中元の季節のことで
参列者に年配の方が多かったことから
お中元年配贈り物の連想ゲームで水羊羹を浮かべたと思われ

なぜクソ暑い時期の結婚式の引き出物に
クソ重たい水羊羹の詰め合わせを
妙齢の参列者に持たせて返したのか
両親には全くもうあんたって子は気が利かないんだから
せんべいやで頼んだんならまだ軽い分煎餅の方がよかったじゃないと詰られて
いまならさもありなんと思う笑

さて、ウエディングドレスとなればヘアもメイクも必要だろうと
でも会場で頼むと高いしなと
行きつけの美容室の担当のお兄さんに相談すると
お店には内緒で自分がやってあげる、ヘアとメイク込みで五千円でいいよと
早朝の美容室にこっそりと潜り込んだ

これがまた思い出すと笑えるのだけど
お兄さんはまああまり経験がなかったのだと思う
小遣い稼ぎの軽い感覚
そしたらヒキメ鉤鼻の赤毛にいくら専門学校で習ったメイクを施しても
ぜーんぜんキラキラ花嫁メイクにならない涙
あれ?というつぶやきが聞こえたような聞こえないような
おかしいな?って今言った?
我が耳を疑いつつ眼鏡外してなんも見えないまま
ー赤毛さん、三千円でいいよ
ーへ?五千円っていってなかったっけ?
ーうん、三千円で、いい

なんだか腑に落ちない勝手にダンピングされているけど
これってマケトくわってどういうこと?
え?失敗したって、これじゃ金穫れねえって思ったってこと?

悶々としながら
早朝のPAL商店街のアーケードを抜けて一旦愛の巣に戻る
(当時の)

なんか雲行き怪しくね?
ふと過ぎりながらもブンブンと頭を横に振って
晴れの日へと繰り出す

会場についてウエディングドレスに着替える
お似合いですよと金太郎あめのように言われるけど
自分が一番よくわかっています
似合っていません
だってこれ私のサイズでも趣味でもないもん
プンスカプンスカ
当日になって怒り出すのは私が悪い
でも彼のタキシードがメッチャ似合っていて
ううう、可愛いやんけ!42歳には見えないやんけ!
悔しい、なんで同じ貸衣装なのに馬子にも衣裳にならないの!

ブー垂れていたせいか
ドレスの裾がめくれあがっていることに気づかない
そしてそういう係りの方もいないセルフな会場なので
親戚縁者連中もみな赤毛と彼の家の血を引く面々なので
だれも他人のことに興味が薄くて
みんな自分のことにしか興味がわかないで
好き勝手に喋ったり歌ったりギター弾いてるもんだから
花嫁のドレスが後ろめくれあがってるのにも
誰も気づかないまま粛々と式は進んで
記念撮影まで進んじゃって
結局私はドレスがメクレ上がったままで大笑いして
新郎新婦の記念すべき一枚に収まってしまった笑

まったくもう笑いこっちゃねえ
と、写真を見返して今思う
こんなことってある?って笑

そして神社を後にして
彼と行きつけだった小料理屋を貸し切って
飲めや歌えやの大宴会というなの小さな披露宴を
両家の家族親戚友人合わせて15人もいなかったかな
執り行った
これが一番お金をかけたかもしれない二十万くらい飲み食いしたと思う笑

そしてここでサプライズ発表
今日はお暑い中結婚式に足を運んでくださいまして
ありがとうございました。
真夏の暑い盛りになんでまたとお思いだったかと思いますが
それには訳もありまして
秋口よい季節になってから式をと思っていたのですが
三人目の家族がお腹の中にいることがわかりまして(ワオ💓)
安定期に入るのを待ってというと先になってしまうしで
式を急ぐことにしました

同棲して
入籍して
すぐに妊娠していることがわかって
何もかもがトントン拍子にそっちにむかっていくような時期だった
あの後も
出産してまたすぐに次の妊娠もわかって
休む間もなく出産して笑
年が離れていたし
彼は前の結婚で子供が出来なかったと言っていたから
まあ二人で生きていくのだと思っていたのに
家族になるという日々が待っていて
鳥人ブブカなみに現実が越えて来て
すっかり飲み込まれていくのだけど

なんでも想定内想定内と賢しら顔に小鼻をぴくつかせるより
お股をびくつかせるようなセックスの結果の方が
生きていく力を私に与えてくれたと

あの手作りの結婚式から始まった彼との生活を
懐かしんで書いている









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