子供の頃に、図書館で何度も繰り返し借りた本

ムーミン、ピーターラビット、のばら村物語

ミイラの作り方に、ファーブル昆虫記

大好きな思い出の絵本は今も私の記憶の中で色褪せることはありません

ページをめくった先の美しい挿絵にどれだけ癒され救われていたのでしょう

そんな私も今では絵本を描いています

私の作る絵本は、私の好きな世界や本、また音楽から出来ています

それから悲しみや、自然の中で感じる心地よさも織り交ぜて

自分の中で忘れ去られたものを思い出す

未来を作る方法は2つあるのだと思っています

それは、無や未知から何かを生み出し新しく付け加えることと
自分の中にあるものを掘り出すこと

子供の頃に好きだったもの

それはきっとずっと自分の中にあるものです

そして、いつまでも消えることのない自分らしさを教えてくれるもの

好きな絵本と答えて、皆が違う絵本のタイトルを口にするように

あなたの好きな絵本が私の好きな絵本ではなく

私の好きな絵本があなたの好きな絵本ということでもないのです

私は、子供の頃からずっと今も変わらない美意識を持っている様に感じているのですが

そんな私自身も、思春期や人と関わる中で一時は自分の好きなスタイルを見失っていた時期があります

どうしてそれを思い出したのか？と言うと
人生をじっくり見つめ直したかったから

孤独に身を置き、人生を見つめ直す日々は辛いことも多く
そんな日々の中では、好きなことが自分自身を保つために大いに役に立ち

同時に、自分とは何かを問い続けた先に
忘れていたものを掘り起こすように
自分の本当に好きなスタイルを徐々に思い出したように思います

そして今では、好きなものが私の生活を取り囲んでいます

ーそうそう、私にはこの感じだったーと

そこに辿り着くためには、ただただやりたい事をし続けてきただけ

ずっとやってみたかった棒編みや刺繍を覚え
作りたいものを作る

シュークリームに、タルトタタンにデコレーションケーキ

ひとりで行きたい場所に行く

思うままに、思うままに

ただただ、やってみたいと言う気持ちに従い
孤独な人生を見つめ直す時間を私はそんな小さなワクワクする挑戦をする時間に置き換えて来ました


そして見つけたもの

静かな青い霧の中に響くような心地よく生活に溶け混んでくれる音楽

お月様

綺麗な布
私の好きな毛糸の色

そんな積み重ねが今私の作品の中で生きています

私は、この絵本を

自分の中にある好きなものを集めて作りました

それは、見えないリボンを頭の中で結んでいく様なもの

その材料は

子供の頃から好きだった今ではボロボロのスロバキア民話の絵本と好きな音楽

janis crunch & haruka nakamura　　『　12&1  SONG  』大好きなアルバム

ここに、圧倒的な悲しみと雪の日の誰も居ない山中と言う風景が私にこの作品を作らせたように思います

本棚に好きな本を集めるように

自分の中にあるもの

それは些細なものでも、使うべき時が来るのだという事を最近はしみじみと感じる様になりました

どんな出来事も、ボツの作品も
失敗も、苦しみも

形を変えて、何かになるのだと

それは、どこか本棚に似ています

私の本棚には
大人になり、子供の時に好きだった絵本を探し
かつては図書館にあった本が今では私の本棚に並んでいますし

自分の1番の宝物もまた本棚の中にあります

本棚を見られる時に少し恥ずかしいと感じたり
また、少し誇らしくも感じるのは
そこに赤裸々に自分自身と言うものが映し出されているからなのかも知れません

過去も、今も、傷ついた経験も
楽しみも、未来も
本棚には全てが詰まっています

一冊、一冊、集めていった先に自分の心を温める物が出来上がるような

それは、自分の本当に好きな事を思い出す旅とどこか似ています

akaiki×shiroimi