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日記0056あるいは予兆


スパイス
私が特別なスパイスをもらう予定だったインド人二人から久々に連絡があった。四人に増えていた。どのインド人も顔が似通っている。
「人が増えれば快感も倍」
彼らは四人で一つになったとのこと。私は加工アプリか何かで私を騙しているのだろうと思った。
「七時に☓☓に来れればスパイスをやる」
私は時計を見た。とても、仕事が終わりそうにない。それに健康診断で少し食生活を見直しなさいと忠告もされている。
「申し訳ないけれど、間に合いそうにないですね」
インド人は残念そうな声を漏らした。
「もしくは27時でもいい」
私は変な胸騒ぎを覚えながら、約束を取り付けた。
夕食、かつて好きだったラーメンからはアカムシのニオイがした。私にはスパイスが必要だ。

取引
「スパイスなんてナイヨ」
インド人4人はカラスみたいに笑った。右端の男はICOSを吸っている。
「ない?」
私は騙された、というよりも「そんなものか」という気分になっていた。
「ただ、スパイスの作り方は教えてアゲル」
真ん中の二人が手をあげた。脇にタトゥーが入っている。
「これがレシピ」
そのタトゥーはQRコードだった。

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