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「一帯一路」の逆転(前期・後期共通教材)

はじめに

まさに「カネの切れ目が縁の切れ目」本国の不動産バブルの表面化(拙著『中国の危機と世界』pp.108-110, 185-197)に伴い、中国側が投資リターンにこだわるようになり、地理的にいえば新規に開拓中の中南米を除いて、過去に貸し込んでいる地域では新規の投資を渋るようになりました。中南米では近年、国政選挙を通じて反米的な左派が政権に就くことが増えており、中国にとっては米国への対抗上、つけ入る隙が生じています。
まだアジア・アフリカでも海外資産の投げ売りにまでは至っていませんので、日本のバブル崩壊後の状況よりはマシですが、そこは国家管理型で、矛盾の露呈がコントロールされているだけです。
地域によっては早、10年も貸し込んでいるわけで、中国流のやり方に対する反感も高まっていましたそこへ新規にカネが落ちなくなると(下記図版参照)、たちまち冒頭の画像にみられるような反発が表面化します

仏投資銀行ナティクシス調べ(https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM266RC0W2A221C2000000/)

日経記事の骨子

読者の時短のために日経記事の骨子を、北から順に記しますと、
① パキスタン北東部カシミール地方(同書pp.20-21)で中国企業が建設した巨大な水力発電所では水を送るトンネルに亀裂が見つかり、22年7月から稼働を停止したまま。
② 同じく南西部の港町グワダル(同書pp.19-20参照)では、22年10月から地元住民らが「投資が地元の利益になっていない」として座り込みの抗議活動が続いている。
③ インドネシア中部のスラウェシ島では23年1月、中国系企業が運営するニッケル製錬所で起きた火災事故の安全対策を求めた労働争議が暴動に発展し、双方に死者が出た。
④ 同じくインドネシアで、中国が日本に競り勝って受注した高速鉄道(首都ジャカルタ-主要都市バンドン間)の工事で死傷者が出て、開業が延期に。
といった内容です。



なお冒頭の図版の元の記事は、下記です。


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