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「らぁ麺 くろ渦」ののどぐろそばに新宿の奥行きを知る

 こんな所にこんなお店があったのかいな……、いや幾度も通り過ぎてはいたのだろうが、ここ、美味しいお店だったのかいな……と、わがガイドの紹介店をスクリーンショット保存したスマホ片手に、呆然としてお店の前にたつ。
 新宿で大行列を作っていた(そして並んで食べたこともかつてあった)「はやし田」系列のお店なのだそうな。
 「のどぐろ」と思いっきり表の看板でアッピールしているが、のどぐろ&ラーメンのコラボレーションというものからして、そもそもが私には物珍しい。

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 そしてまずはと啜った、その一発めで、おおこれか、よっ、おまえさんじゃないか、お前さんのことをのどぐろと言っていたのね、という焼き魚の皮をいぶったような、濃ゆい、香りとしては濃ゆいそれが白醤油のスープとあいまってさらりと淡泊に流れていく風に、口から鼻から、抜けていく。堪能できる。
 このどこまでも追いかけてきてくれる、独特の魚のエキスの引き立ち方が丼一杯のなかのバランス感覚というもので、嫌いなひとはとことん嫌いというような、きつい匂いになりかねないところを、ぎゅっと丼ぜんたいがそれを押しとどめている仕上がりだ。
 あっさりとしたスープがあたしゃあくまで危害を与えるつもりはありません、美味しく食べていただきたいだけなのです、と端麗さを際立たせて、その分、メンマは野太くって味つけがしっかりとしていて、こいつをばかじることによって口のなかかで一旦リセットされる。
 ずば抜けて美味しい、というラーメンとはまた違った位相に、食べていて楽しいラーメンというのがあって、そこにはメリハリがあり、リズムがあるのだ。手前都合のペースで食べていても、その手のラーメンというやつは、しっかりと丼のなかの計算が行き届いているため、どんなに早いペース、遅いペースで食していようとも、むこうのおもうがまま、座席に腰をおろして眺めているかのように、食べ進んでいられる。
 このラーメンもそうしたリズミカルな、一杯であった。
 にしても、にしてもですな、それにしても街ひとつといっても、いろいろなお店があって、いろいろなお店をしることがその街の奥行きをしる、ということに繋がっているんだよなぁ……。

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静かに本を読みたいとおもっており、家にネット環境はありません。が、このnoteについては今後も更新していく予定です。どうぞ宜しくお願いいたします。