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「美しい」の研究報告(12月)

見たり、触れたり、味わったり。日常の中で感じた「美しい」を掬い上げ、それについて研究した内容を綴る、日記に近い研究報告です。「美しい」ってなんだろう?そんな曖昧な感覚について深く考えてゆきます。


Taste

ナチュラルワインと優しいごはん

MUL

今年最後に出会った「美味しいお店」のお話を。先日、友人と京都にある「MUL」へ食事に行った。キムパと自然なおかずとナチュラルワインのお店。二階建ての小ぢんまりした店内に灯る穏やかな光、柔らかく温かみのある木の色合い、愛らしい絵柄を纏ったお皿の数々。雰囲気、お料理、器含めてとても好みなお店だった。ワインは好きだし飲みたいのだけど、イタリアンとかの重めのお料理だとちょっと疲れちゃう。そんな年の暮れが近づき外食が増えるこの時期だからこそ、優しいお料理が身に沁みた。穏やかな雰囲気に包まれながら、美味しい食とともに今年一年を振り返り、来年の自分に思いを馳せる。そんな友人との時間もとても心地よく美しい。来年も沢山の美しい食に出会えますように。満たされたお腹を感じながら「良いお年を」と手を振る帰り道。

コースターも可愛かった

📍MUL




Place

朝6時、瀬戸田

朝の瀬戸内海

12月、また一つ歳を重ねた。今年の誕生日は大好きな瀬戸内海の景色を自分へプレゼントしようと、一泊二日で広島・瀬戸田に行ってきた。この日は「SOIL」に宿泊。誕生日を迎えた朝、早起きして瀬戸内海沿いを一人ランニングしていたのだが、朝の瀬戸内海が本当に美しくって忘れられない。冷たく静かな空気を纏う朝6時から7時までの約1時間。日の出とともに刻一刻と表情を変えていく瀬戸内海に目が離せぬまま走り続けていた。走るのがあまり好きでない私だが、目の前に広がる美しい景色に夢中になっていたらあっという間に1時間が経っていた。最中、その町に暮らす学生や会社員の人が通りすがりに「おはようございます」と挨拶をしてくれた。大阪や東京の都会で走っていても見知らぬ人に挨拶されることはないので、最初声をかけてくれていることに気付かなかったけれども、それが挨拶であると気付くと、この町は人と人との距離が非常に近いのだと感じた。距離の近さで言うと都会の方がマンションやビルが連なっているぶん、物理的な人と人との距離は近いのかもしれないけれど。この町は物理的に距離が離れていても、心の距離はかなり近いんだろうなと感じた。かといって、都会でマンションやオフィスのお隣さんと心の距離を近くしろと言われると窮屈に感じてしまう。この違いってなんだろうな、人との距離はどこからが心地よく感じるのだろうな。そんなことを一人悶々と考えた朝の瀬戸田。答えの出ない私の問いも、おおらかに包み込んでくれる瀬戸内海に背中押されながら、今度は宿まで走った。

📍SOIL




Time

食と対話と

友人と、素敵な方々と、ともにイベントを開催した12月。一年の終わりに、大切な人と一緒に美味しいお食事をじっくり味わいながら、二〇二三年を振り返る。今年一年頑張った自分自身にご褒美となる時間をつくりたく企画したこの会。美味しい創作料理とお寿司を囲みながらいろんな人がいろんな一年の思い出を語り、大切な人と対話をする。そんな景色がとても美しかった。普段、あまりにも近すぎて深く話せていないことも、食があると話せてしまったりするから美味しいの魔法ってすごい。そして、その時間の重みは食だけでなく、その場に集う人たちによっていくらでも変化すると感じた。沢山の気付きと感動が生まれた美しい時間でした。ご参加いただいた皆さん、本当にありがとうございました。来年もまたどこかで。

All photo by @ayatogram01



Book

幸せについて

「愛されているのは最高の幸せだけど、もしかすると愛されていなくても愛している幸せのほうが、もっとずっと深く長くヒトを支えるかもしれない。(幸せについて/谷川俊太郎)」

「幸せってなんだろう?」このような大きすぎる問いは、きっと今の自分が出す答えと、何年後、何十年後の自分が出す答えは全く違うものになるだろう。著者にとっての幸せはこんなこと、じゃあ私は?と対話しながら読み進めた一冊だった。
最近は、就寝前と起床後に詩集を読むことにはまっている。日常的に本を読むことは好きだけれど、小説とかだと物語が始まると話の続きを覚えないといけないのに、寝る前に読むとすっかり忘れてしまう。でも詩集だと深い情景がひとつの詩に詰め込まれているからその心配はいらない。マイペースな私にぴったりな本の読み方である。


📍幸せについて




Other

自分に「還る」

「今年はどんな一年だった?」
そんな会話が12月は様々な場所で行われる。皆さんにとって今年はどんな一年だったでしょうか。私にとって今年は、自分に「還る」一年だったように思う。これまで、仕事で成果を上げることや自己成長すること、そんなことに必死になり本当は時間を使いたい「仕事とは関係ないけど大事なこと」をおざなりにしてしまっていた。だけど、今年の途中に思い切ってずっとやりたかった「バレエ」と「茶道」を数年ぶりに再開してから、自分の奥底に塞ぎ込んでいたピュアな自分と再会することができた。バレエも茶道も仕事とは全く関係ない。けれど、幼い頃から私にとって宝物のような存在だ。お金がもらえなくたって、やりたいことにしっかり時間を割くことで本来の自分に徐々に還れていることを今じわじわと感じている。来年も、穏やかに自由気ままに譲れない宝物を大事に貫きたい。

この一年、「『美しい』の研究報告」に触れてくださった皆さん、ありがとうございました。月に一度、自分の感じた「美しさ」を小さく皆さんと共有することが自分にとって救いでもありました。来年もどうぞよろしくお願いいたします。

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