SAP FI用語集

若手SAPコンサルタントのため、FIの用語集を書きたいと思います。FIコンサルタントは、SAP FIだけだと物足りないので、他にもCOだったり、資金管理のキリバ(SAPではない)だったり、Black Lineだったり、連結のDivaなんかもできたほうがよいと思います。

・会社コード
一般用語である「会社」「企業」に、コードをつけたものです。システムの世界では、日本語や英語のテキスト名称だけでなく、一意となるIDをつけるのが一般的です。そのため、例えばトヨタ自動車という会社にコードをつけます。この会社コードは、財務諸表を作成する単位となります。

・勘定コード表
使用する勘定コードを全て束ねた単位を勘定コード表と言います。この勘定コード表に会社コードを割り当てすることで、その会社は勘定コード表に含まれている勘定コードを利用できるようになります。複数の会社で同じ勘定コード表を利用することも可能です。勘定コードの設定には、勘定コード表レベルの設定と、会社コードレベルの設定があります。要するに、全ての会社で共通の設定と、会社固有の設定があるということです。

・会計年度
これは一般用語でもあります。多くの日本企業は、4月開始、3月終了の会計年度を採用しています。SAPでは、会計年度バリアントで設定を行います。

・会計期間
会計年度は1年単位ですが、会計期間は1か月単位です。オープン・クローズを行うことで、終わった会計期間に伝票を転記できないように制御します。

・総勘定元帳
全ての会計仕訳は、総勘定元帳に転記されます。これは、財務諸表を作成するための元データとなります。英語では"General Ledger"と言います。今のSAPでは、複数の元帳を使うことが可能となっており、これでUS GAAPやIFRSなど、複数の会計基準に対応することができます。

・会計伝票(FI伝票)
SAPの世界では、色々な種類の伝票があります。FIで利用する伝票を一般的に会計伝票と言います。伝票には番号範囲があります。伝票の番号範囲は伝票タイプで制御されます。会計伝票はヘッダと明細があります。ヘッダはすべての明細に共通する項目で、明細は一つ一つの勘定と金額が記されたものです。簿記の鉄則ですが、伝票単位で貸借は必ず金額が一致します。

・伝票タイプ
会計伝票をグルーピングするためのものです。例えば、資産記帳とか、入金伝票とか、支払伝票とか、色々な伝票を区別します。伝票タイプは以下を制御します。
 ・転記できる勘定タイプ
 ・伝票番号範囲
 ・伝票ヘッダの入力項目

・勘定タイプ
資産、得意先、仕入先、品目、総勘定元帳があります。資産とは固定資産モジュール経由で転記されるものです。得意先はAR(債権管理)、仕入先はAP(債務管理)、品目は在庫管理(MM)経由で転記されます。これらは統制勘定といって、総勘定元帳へ直接転記できません。

・未転記伝票
例えば、経理部平社員が登録した伝票を、係長がチェックしてから本登録したい場合などに、この機能を使います。未転記の状態で保存しておいて、承認されると転記されます。

・統制勘定
総勘定元帳に直接、「売掛金」として計上すると、どこの得意先からの売掛金なのかわからなくなります。それを避けるために、得意先元帳経由で総勘定元帳に金額を計上する仕組みになっています。仕入先や固定資産も同じです。これを「統制勘定」と言います。

・代替統制勘定
得意先だからといって、いつも「売掛金」とは限りません。「未収金」としたい場合もあります。そうした時のために代替統制勘定という設定があります。

・反対仕訳
SAPの世界では、内部統制の観点から、間違えて作成した会計伝票も物理削除することはできません。間違えて作成した会計伝票は、反対仕訳をすることで帳尻合わせをします。例えば、
 消耗品費 100 / 現預金 100
上記が間違えっていた場合は、
 現預金 100 / 消耗品費 100
このように反対の仕訳をつくることで、訂正をします。

・転記キー
借方・貸方の制御、勘定科目の制御、伝票の種類などを制御します。

・項目ステータスグループ
非表示、任意入力、必須など、その項目をどのように扱うかを制御します。

・消込
得意先ごとにその債権に対する入金が終わった、仕入先ごとにその債務への支払いが終わった、これを管理するために消込を行います。消込は手作業でやることも、自動消込の方法もあります。

・自動支払処理
F110だったと思いますが、このトランザクションコードで、多くの仕入先の債務に対して一斉に支払いを実施することができます。支払い保留として一部の債務はあとで支払うこともできます。従業員を仕入先マスタ(S/4だとBPマスタ)に登録して、支払プログラムで一斉に給与を支払う運用も多くの会社でみられます。

・督促
入金期限を守れない顧客(得意先)に対して、督促状を送付することができます。英語では"Dunning Letter"と言います。

・固定資産管理
得意ではないモジュールなので簡潔に説明しますが、固定資産マスタを登録し、その固定資産ごとに減価償却や除却、売却などを管理します。

・チェック/代入
FI伝票に対して、ルールを守れていない場合にチェックでアラートを出したり、転記できないようにすることができます。代入は、特定の条件で会計伝票の項目や値を上書きすることができる機能です。

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