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"空想日記"⚡️⚡️⚡️no.112

幸杜『そんなばかな…。
   皆も知る通り
   あの方は…
           …先生は、武術の達人なんだぞ。
   そんな簡単にやられる筈が……グスん…。』

私は"なき頭"が
廉造先生だという事実を
信じる事が出来なかった。

時雨廉造は
素晴らしい刀匠であり
また、雷山に伝わる
古流武術の達人でもあった。

雷山には、幼き頃から
武芸や舞踊を学ぶ習慣がある。
私や、誠剛、十造がまだ童だった頃
武術の指南役だったのが
"時雨廉造"その人であった。

その強さは、鬼神・阿修羅の如く
山熊を足払いで失神させ
並走する山鹿の角を手刀でへし折り
当たれば即死と言われている
大山猪の突進を
頭突きで止め、泡を吹かせるなど
人とは思えない数々の伝説を残している。

廉造先生の
指導は厳しく
私は何度、
稽古中に意識を失ったか
覚えていない。
誠剛は、先生の顔を見るだけで
漏らしていた。

そして、
廉造先生は
雷山でも数少ない"四輪咲"であった。

"堕鬼"はより重い呪力に
反応する習性がある………
だとすれば……

……まずい。


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