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"空想日記"⚡️⚡️⚡️no.121

時は同じく

雷山  肆の穴

太樹『……それにしても
          この洞窟は広いな。』
     
口ではうまく説明できないが
先程までいた坑道とは
あきらかに雰囲気が違う…
洞窟のあちらこちらから
妙な暖かさを感じる…
なんだか不思議な感覚だ。

『グラッグラ…グラッ…
      グラッグラ…グラッッ…』


太樹『うわっ!
   なんだっ……!』

突然の揺れに私は驚き
その場にしゃがみ込んだ。

太樹『地震か?
   こんな時に……』

天井から石屑が落ちてくる。

太樹『まずい…
          こんな所で生き埋めになったら
   いっかんの終わりだ。』

私は慌てて洞窟の入り口の方へと
向かおうとした…その時…
後ろから奇妙な声が聞こえた。

黄龍『おい!人間!!』

びっくりして
振り向くが………誰もいない…

太樹『…なんだ…
           ……………気のせいか?』

そうだよ…
空耳だ…
こんな所に
私以外に誰かいるはずがない…
私はまた、入り口の方へと歩きだす。

黄龍   『おい!人間!!
   …呼んでいるんだ。
   どこへいく?』


その声は、洞窟の中を木霊する…
今度はハッキリ聞こえた。
その口調から、声の持ち主は
若干怒っているかのような気さえした。
私は恐る恐るまた振り返る

よく見えない…

雷灯を照らし
もう一度、目を凝らして見ると
空中に円を描くように
不思議な黒い模様が浮かび上がっている
見たこともないその模様の中心は
空間が歪んだかのように波打っていた…。



           



          

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