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今、ヒトが創造する価値

因果関係の想像。
それはAIにはできない、人だけができる行為。
点と点の関係性について考えることは
人間が与えられた貴重な能力かもしれない。

NTT西日本のオープンイノベーション施設
「QUINTBRIDGE」のイベントに参加してきた。
https://www.quintbridge.jp/event/detail/g8v1dg6ll/

登壇者は、AIには成しえない価値を世に提供している2人の女性。
n=1マーケティングの実践者である広野さんと
名前からの選書サーヴィスを提供する市川さん。

お二人とも経営者でありながらも
とても柔らかい雰囲気でお話しされ
ジャズを聴いているかのような
心地良い時間が流れた。

2人の対話に加えモデレーターの言葉も乗せられ、飛躍的に話題は広がる。

感じたのは、2人とも点と点を繋ぐような価値を創造されていたということ。

広野さんは、マーケティング調査の中で
「ひとり」に注目しその人の点と点を繋いで、ストーリーを考え抜く仕事をしていた。
そして、そのストーリーつまり新しい意味の提案をする。

市川さんは、名前だけから得られる直感で本を選び、その人自身では選ばない本いわば新しい「点」を打つ。そうすることで贈られた人に、自分という点と新たな点を繋ぐ意味を考えさせるという仕事をしている。

お二人とも角度は違えど、点と点を繋ぐ意味(=価値)を創り出す仕事をされていた。

特に私がハッとしたのは、
市川さんの選書サービスが自分とその本の「意味」を考える贅沢な時間を提供しているのだ
と気づいた瞬間だ。

誰も答えを知らない。
調べても出てこない。
だって、送った市川さんですらその意味を知らないのだから。

物事の因果関係に思いを馳せる時間。
空想の中にどっぷり浸かって、あれやこれやと想像する。
ちょっともどかしく、けれど期待にもあふれていてとても贅沢な時間ではないだろうか。

今は、特にここ10数年ほどは、調べれば何でも分かる時代になってしまった。
例えば、映画や小説、歌が解釈できないときは、誰かの解説を読む。
作品に込められた意味も、その人のインタビューや専門家の説明で
分かりやすく説明されている。

時間をかけて、ハッとする瞬間が来るのを待つのではなくて
すぐに分かってしまう、分かろうとしてしまう。

私が子どもの時代には、気に入った曲はTVで流れたときに
歌詞を必死で手で書いて、足りない部分は全体の曲の流れから想像したりした。
友達と話したりもした。

想像して、足りないピースを探す。
触れた物語りをゆっくりと解釈する。
そんな時間が普通に流れていた。

でも、今ではそんな時間が貴重になってしまった。
そんな時間を市川さんは提供しているのかもしれない。

そして、お2人の話題は「星座理論」というテーマへ進む。
点と点を星々に見立てて、それを繋いでどんな星座に見えるかを考える。
ある人はそれを柄杓(ひしゃく)だと言うが、ある人は熊だと言う。
見るべき点は1等星だけではなくて、
少し暗い星も点として見れば
今まで見えなかった星座の形が見えてくる。

その自分なりの星座の見方を持ちながら
違う星座の見方を知ることができれば
更に思いもつかなかった星座の形が見えてくることだってある。

あぁ、今日は「星座」をつなぐ仕事をしているお2人から
それぞれの「星座」を見せられてしまった。

そう、お2人のこれまでの紆余曲折あった人生とその意味付けを紹介され
今のたたずまいを見せられた。

結局は、点と点が散らばっているだけ。
出来事。過去の経歴。してきたこと。
それはただの事実。誰がみても同じ点。

ただその並びの解釈は自分で考え抜いて、
何度も繋いで、誰かと話して、
ようやく自分でそれを信じることできるようになる。
それが大切なのだ。

そうやって発見された見方は、
その人の中で大切な意味を持つ。
自分で見つけ出した見方だから。

今の時代に大切なこと。
自分について、深く深く知り、自信を持てるような解釈ができること。
そうして繋いだ星座を誰かに話すことで、誰かの星座が輝きだし、自分の星座も輝きを増す。

幾通りもできる自分の星の繋ぎ方を確かめて、
1番自分にしっくりくる星座を探したい。
それは調べても出てこない、AIに聞いても返ってこない唯一の正解なのだから。

そして、それを考える時間は、苦しくももどかしくもあるけれど、きっと贅沢な時間なのだ。

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