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喧嘩と親友

喧嘩というのがあまり得意ではない。
その前にまず人が怒っているのを目の当たりにするのが苦手である。

それでも中高では何度か友達(Aとする)と喧嘩をした。

中学生の時に出会ったその子(A)とは、大学が分かれた今でもなんだかんだ親友である。
私のこれまでの人生の中で、ちゃんと「喧嘩」というものをしたのは、彼女相手だけかもしれない。

最初に大きく喧嘩をしたのは中学3年生の時だったように思う。

ベラベラと喋るのが得意ではない私と対照的に、マシンガントークを繰り広げる彼女。

そんな彼女との、放課後の教室での口喧嘩に、あっさりと私は文字通り敗走した。

途中から何を言えばいいかわからなくなって涙がこぼれ、その場から逃げ出して渡り廊下へと走ったのである。

今思えば、何を青春みたいなことしているんだろうと思う。
その後、その渡り廊下で、追いかけてきた彼女とひとまずの仲直りをした。

その後も度々喧嘩をした。

ある時はLINEで喧嘩し、その最中は手から血液がなくなって手が冷え切って震え始めた。

「ああ私はもう体質からして、喧嘩に向いてないんだな」と、どこか冷静に気がついたりした。


それでも縁は切れずに高校を卒業。

いよいよ学校が離れるとなり、私たちは2人で卒業旅行に出かけた。

「なんだかんだ喧嘩もいい思い出だったよね」となるはずが、その旅行先でもまた喧嘩した。

その時点で、彼女との付き合いも5年目。

お互い高校3年生を終えて、1ヶ月後には大学生というタイミングである。

そこまで来てもまだ私たちは喧嘩をしていた。

さすがに、お互い喧嘩が多少うまくなっていた笑

彼女は相手の話も聞くことを覚えたし、
私も自分の思っていることをうまく伝えることを覚えた。

それでも意見が食い違うことがあって、「正しさは人によって違う」ということを知った。

そんなことに気がついておかしかった。

そんな一悶着を終えて旅行から帰った私はふと、「そういえば彼女以外の子と喧嘩したことないな」と気がつく。

彼女(A)以外にも仲良くしている子(Bとする)がいなかったわけではない。
だが、その子(B)に対して不満に思うことがあっても面と向かっては言ったことがなかった。

そしてその子(B)も同様に、私に不満があっても特に私に伝えたりはしなかったのだと思う。

なぜ私やBが相手に不満を伝えたりしないのか。

それは相手に嫌われるのが怖いからではないか。

もしくは人と向き合うのが面倒で嫌だから?
人との向き合い方を知らないから?

そう気付いた時、私は親友(A)に対して尊敬の念すら抱いた。


彼女は喧嘩によって、相手に嫌われるのが怖くないのだろうか。
本音を人にぶつけるのが怖くないのだろうか。
怖くても相手と向き合うことを選んでいるのだろうか。


それとも「喧嘩で切れる縁ではない」と、相手のことを信じ切っているのだろうか。

いずれにせよ、私にはない考え方(強さ?)を彼女は持っているということである。


初めは度々喧嘩になって、仲良くしていくのが大変だと思っていた。

しかし、振り返ればそんな彼女に教わったことがたくさんあった。

何より、人との向き合い方を知ることができたのが大きかったと思う。

そんな彼女とは、今後も喧嘩しつつ仲良くできたらと思う。


今日も読んでくれてありがとうございます。
それでは、また1日。


おわり

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