母というひと-009

祖父の口癖は「宵越しの銭は持たない」だったと聞く。
稼いだ多額の金を自分の遊興費には惜しみなく使い切り
家庭を守るためにはほとんど使わなかった。

そのせいで残された祖母たちは持ち家もなく
祖父が死んで家賃を払えなくなるとすぐに借家を追い出され
長屋の小さな部屋に移り住んだ。
祖母不在の間には
祖母の2人の弟たちが時々は様子を見に来ていたらしい。

昔は優しかったらしいが
戦争へ行き
陸軍の将校へと出世するにしたがって
性格が変わってしまった。

最初は善意で様子を見に来ていたはずなのに
いつからか「子供を躾けるため」に来るようになり
ちょっとしたことで長男と次男を「男らしくしろ」と
拳で殴るようになって行く。

殴られた長男・次男は面白くない。
その腹いせのように
自分たちより弱い長女と次女を好きなように殴り始めるのに
そう時間はかからなかった。

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