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【台詞集】小説『明鏡の惑い』第七章「薄い夢」より

何だろう、この淋しさと虚しさは何だろう

   いいかてめえら、野球部に入ったらこの俺がしごいてやるぞ! 俺の言うように挨拶をしてみろ! しやーす! したー! オラオラ、さっさとやってみろ、この野郎!

 心のふるさと六里ヶ原? この歌詞を書いた奴はいったい何をほざいているのだ?

気をつけろ悠太郎、ウルシの樹の下ではちゃんと傘を差すんだぞ。さもないと、かぶれて痒くなるぞ

   まったく六里ヶ原はランナーの天国だなあ!

 畑でコンフリーができたよ。ユウちゃんはコンフリーが好きか?

俺たちが大陸で入植したのは北満も北満よ、ハルビンよりももっと北の、ソヴィエトとの国境に近いあたりだものを。

   日本が戦争に負けたんで、俺たちは命からがら引き揚げてきて、ここらを開拓するったっておめえ、土地は痩せた酸性の火山灰土だし、冬でも住むところは壁も屋根も笹葺きの粗末な小屋よ。

 今年の肉親探しはどうなるかのう
 中国残留孤児のかい。そうさな、見つかるといいのう

でもわが家の統帥権はウッフフ、お祖父様にあるんだからね

   ポメラニアンに生まれてこい!

 ユウちゃんは目に見えない大地の開拓民だ。立派な拓魂の持ち主だよ。俺たちは拓友だぜ!

闘牛士っていうのは人なのかい? トウギュウシっていう牛がいるのかと思った

   アメリカンドリームっていうのは、薄い夢っていう意味なんだぜ!

(作品はこちら)https://www.alphapolis.co.jp/novel/703314535/113741973