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Engineering Officeと1on1

はじめに

はじめまして。アカツキゲームスのEngineering Officeで働いている、北林といいます。インターネットにおいてはあでぃという名前で活動しています。

今日は1on1、というか1対1の対話における問いの設計について僕が考えていることを書こうかなと思います。

Engineering Officeって何?どんな仕事してるの?

平たく言うとエンジニア組織専門の人事です。
エンジニアが働きやすい環境をつくるということをミッションにもち、採用・異動配置・育成を軸にエンジニア組織を強化していく。といったチームです。
僕はこのチームにおいて、主に新卒入社メンバーに関する全領域(新卒採用、新卒配属・異動、新卒研修)を担当しています。

僕の業務には、メンバーとキャリアに関する1on1をしたり、学生の皆さんと面談をしたりと、色んな方と1対1で話す機会が非常に多く存在します。特に、アカツキには1on1をする文化があり、メンバーとの定期的(毎週〜2ヶ月に一回まで、人によって頻度が違う)な1on1が多くを占めています。
アカツキゲームスには約80名程度の正社員のエンジニアが所属しており、僕はそのうちの3,40名程度のメンバーとの1on1を担当しています。

1on1において、特に中長期的な話をする1on1の場においては「成長」とか
成長のために、適切に課題を発見し設定することの壁打ちができることが何よりも大切だと考えています。そのために「聴くこと」と「良い問いをすること」が大事だと考えています。課題の解決の手段の提示ではないです。これはメンバーのできることや周囲との関係性にも大きく依存するし、環境によって大きく異なり、別の人間である時点で再現性が低いと考えているからです。

更に前段に信頼の話があったりしますが、今回は省略します。ここについては、僕は誠実であれば自ずと結果はついてくるはずだと考えています。(余談ですが、僕は「誠実な組織」という本が好きです)

今日はこのうち、問いについての一考察を書いてみようと思います。

※ 聴く力、については同じアドベントカレンダーに掲載されている↓をぜひ読んでみてください!
「聴く力」は「たのしいは最強」への道|アカツキ Cultureチームのnote

1on1における問いの設計について

僕は、日々実行するアクションを良いものにするために、何よりも適切な課題設定が一番大切だと思っています。
誤った課題設定にたどり着いてしまうと、どうがんばってもその場に合わないアクションが導出されるし、その結果根本的な課題の解決になっていない。という場合さえあります。

純粋な課題発見力(問題に対する批判的思考力とか)や解決に用いることができるスキルも十分に大切なのはいうまでもないのですが、それを遂行するスキルを持ってしても、まず解きたい課題の設定が適切でないとあまり力を発揮できたといえることがなさそうです。

しかし、だからといってそれに対して1on1をする(相談をされる)僕などの人間がすべての答えを持っていることもなさそうです。なぜなら、僕は神ではないからです。ゆえに、適切な問いを経て対話をしていくことが大事なんだと思います。
そもそもお互いに答えがわからないことに対し、対話を通じて適切な課題を一緒に見つけていく。ということを意識しているので、1対1で話す場では引き出すための問いを中心に考えています。課題がしっかり設定できれば、その人にあった答えは自ずと見つかると信じているから。です。

これは、より良い就職先を見つけたいという気持ちを持っている学生のみなさんと1対1で話すときも、キャリアについて漠然とした気持ちを持っているメンバーと1on1をするときも、今が楽しくて仕方がないメンバーと1on1をするときも、本質的には同じだと思っています。
特筆して、社内やチーム内における1on1という場では信頼関係を築き心理的安全性を高めることによる自発性の向上、みたいな別の角度の目的(大目的は一緒かも)も含まれると思うので、1on1はこれだけをする場というわけではないことには留意したいです。


以下、問いを立てるときにはこんなことを気にしています。というものです。

バイアスを外すための問い

その人が持っているバイアス(アンコンシャス・バイアス)を外してあげるような問いです。

例えばバイアスとは「自分は若手社員だからこう」とか「このチームはまえからこう」とか「この作業はこういうもの」みたいなものです。これらは、人生の様々な経験を通してバイアスが形成される場合もあるため、一概に今の環境についての話をすればよいだけではないと思っています。
こういった無意識のうちに狭まってしまった視野を広げるためには、あえてそれを外してもらうことを明示して問いを設計します。

例えば

  • 「一からのまっさらな状態だとしたらどう組み立てたいか?」

  • 「いまのポジションという成約がなかったらどうか?」

  • 「〇〇さんであったらそれをどう捉えそうか?」

みたいなものです。

雑談により価値観を知っていくことが大切と言われるのは、このバイアスが人生の経験を通じて形成されることもあることから、その人がどこに価値をおいているのかを普段から知っておきましょう〜ってことなんだと思います。
一方で、1on1する人が相手に対して余計なバイアスを持たないことも大切です。難しいですね。対話を通して相手を知っていることで信頼を持ちつつも、あまりに固定化された認識を持つのは良くなさそう、ということなので。要はバランスおじさんが現れそうです。

認識を深めるための問い

その出来事への認識を深めるための問いです。

例えば「あの作業は大変だったけど、良い経験だった。」という話に対して

  • 「またその時間に巻き戻ったとしたらどうしたいか?」

  • 「何ができたことが良い経験だったのか?」

だったり。単純に「もうすこし詳しく聞かせてください」も良い質問だと思います。

これの肝心なところは「誤解を少なくする」ということに尽きるかなと思います。「あの作業ってこんな感じだから、きっとこう感じたんだろうな。」みたいなところで対話を止めない。自分の言葉でもう一段深い認識までたどり着いてもらう。その結果、もともと考えていたことが完全に的外れになることもあるためです。
もちろん、1on1をする人として仮説を持つことは大切だと思うので、頭の中に仮説を置きながらこの問いを考えていくことが大切です。この仮説が口から出ないようにこらえるのは、おしゃべりな人間にとっては大変なことです。

「なぜなぜ分析は吊し上げ目的だとよくない」と言ったりしますが、まさしくここに関連するかなと感じます。課題の定義のためとはいえど、否定的な深堀り、例えば「なんで失敗したの?」「なんでこれに気付けなかったの?」みたいな話は、しないではなく取り扱いに注意をするべきだと考えます。

コールドリーディング(的なもの)

心理テクニックの一つに、コールドリーディングというものがあります。これは相手から信頼を得るためのテクニックで、一部の占い師などが活用するものだと言われています。相手から情報を引き出し、相手のことを言い当て、相手に「わたしはあなたのことをとても良くわかっている」と思わせることができます。

例えば、誰でも当てはまると考えられること(バーナム効果・フォアラー効果とも呼ばれる)ことを前提に質問したり、曖昧に解釈できる言葉を含めて質問したりをするものです。

  • 「一人になって考え事をしたくなることがある」

  • 「人の意見が多少気になる」

  • 「夢中になるとたまに周囲が見えなくなることがある」

とか。そんなん、大体の社会人がそうです。でもこれを会話の切り口の問いにすることはすごく有用だなと思っています。「一人になって考え事をしたくなることがありますよね」「そうなんですよね、この前も〜〜なことを考えていて。」みたいな。

これは詐欺的な手段にも悪用されることがあるようなので取り扱いには気をつける必要がある手法ですが、相手から情報を引き出す。という観点では1on1でも非常に有用な手法だと僕は考えています。これだけで終わらず、しっかり本質に迫ることができれば。ですけど。

最後に

これらの話は、一番根本的な前提に「対話している相手が答えを導くことができる(= 課題の解決は相手に委ねる/こちらからコントロールしない)」というスタンスで接することが成立するときにのみ良い形になるなと思っていることです。相手に実行してほしい具体的なアクションがある、などの解決に意図的な介入をしたい場合はきっとこの限りではなさそうです。

僕は元々アカツキに入社したときはエンジニアとして入社していて、その後エンジニアリングマネージャー(EM)を経て昨年度に人事に辿りつきました。その道中で課題を解決するための考え方における概念みたいなところってすごく共通している部分があるなと気付いたりして。そういった気づきを得られるのってすごく楽しいなって思います。複数職種を経験するのも悪くないキャリアだな。と今は考えています。

多くの人が良い問いを立て、良質な課題を定義して、コトに向かえる充実した良い時間を過ごせるようになると良いな。と思います。自分にとって今が良い時間ではないな、と感じる場合、設定されている課題と、自分が自分自身に突き立てている問いを疑ってみてください。自分で突き立てるのが難しければ、誰かの手を借りてみてください。

この記事は、『アカツキグループ人事アドベントカレンダー』 の 13日目の記事です。 前回は宇津木さん の「「好き」がもたらす自分と仕事への影響」」でした。

アカツキグループ人事アドベントカレンダー
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