AKAYA

事実は小説よりも奇なり ※短編小説書いています

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最近の記事

淫と妖【第一章 道化師】

約束の時間が近づいてくる。 もう駆け引きなど必要ない。 髭を剃り、隠部を念入りに洗い、しっかりとムダ毛を剃り上げる。 歯を磨き臨戦体制は整った。 全裸のままセミダブルベッドに大の字に横たわる。 ホテルエクスプレス。 戦いの際にここに宿泊すると決めているホームスタジアムだ。 決戦に向け気持ちを高めていこう。 高速フリックでお気に入りの卑猥な動画を再生。 負けられない戦いのために、今出来ることの最大限の準備を。 大の字のまま天を仰ぐように卑猥な動画に集中する。

    • 陽炎【エピローグ 喧騒】

      し「時間も来たし、出よっか!」 ついに終わってしまった。 部屋を出てエレベーターに乗り込む。 あっという間に出口だ。 ふっと横目に受付のおばちゃんが目に入る。 さっきの威勢のいいアドバイスを思い出す。 高揚感に包まれていたあの時に戻りたい。 一歩一歩出口が近づいてくる。 自動ドアが開くと太陽の光が差し込んでくる。 し「じゃあ、ここで」 別れの時。いつまた会えるか分からない。 しっかりとこの目に焼き付けておこう。 ひ「短い間だったけどありがとう。今日会え

      • 陽炎【第四章 快楽のその先へ】

        上にまたがり、しずくと見つめ合う。 しずくは攻めるのが好きなのか?攻められるのが好きなのか? こんなに可愛い美女は幾多の戦歴を乗り越えているに違いない。 想像もつかないようなエロいことも経験してきているんだろう。 たかが一般素人の攻めなんぞなんとも思わないだろう。 それどころか、こいつ下手やな、と思われてしまう可能性だってある。 人生経験豊富なしずくに色々と教えてもらいたいが、そういうわけにもいかない。 今の全力を尽くそう。 時間も限られている中で攻めるポイン

        • 陽炎【第三章 神の舌】

          ふっくらと、しっとりとした柔肌の温もりがタオル越しに伝わってくる。 無言で抱擁を続けるしずく。 ひ「本当に今日も会えてよかった」 なんだろう。不自然だ。 温かさは伝わってくるのに顔が見えない不安からだろうか。 抱擁の静寂に耐え切れなくなったからだろうか。 上手く感情を乗せて話せない。 しずくはどんな顔をしているんだろう。 抱擁を解き、改めて直視。 くりっとした黒目がこちらを捉えている。 し「ベッド入ろっか」 不安を察してくれたのか、掛け布団を手際よく剥がしエス

        淫と妖【第一章 道化師】

          陽炎【第二章 アイスブレイク】

          ※会話が多くなるためカギカッコのはじめに話者名を表記。し=しずく、ひ=ひろき し「ええ!!びっくりした!」 それはそうだ。まさか歯ブラシを咥えたまま迎えられるとは思っていない。 一瞬で心を掴むことに成功。誤算は時に良いほうへと導いてくれるものだ。 笑いながら し「昨日に引き続き二日連続で指名してくれてありがとう!」笑うと細くなる目が愛おしい。 とんでもない。こちらこそありがとうだ。 とんでもなく可愛い子と出会えたんだから。 し「今日東京に帰っちゃうんだもんね、終わっ

          陽炎【第二章 アイスブレイク】

          陽炎【第一章 再会】

          「じゃあな!」 そう言って松坂屋の交差点で良一と別れを告げる。 さて、戦いはこれからだ。 キャリーケースをしっかりと握りしめて戦場の地、ムーンブライドに向かう。 Googleマップで改めて場所を確認する。 徒歩5分、どんなことを楽しもうか考えるにはちょうどいい時間だ。 すでに人気な子であることは分かっている。今日も楽しむだけでは印象にも残らない。 “彼女”は疲れているだろう、そう思い通り道のファミリーマートに立ち寄る。 チョコラBBとスタバのカフェラテを手に取り

          陽炎【第一章 再会】