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還暦まで、あと450日。

 還暦なんてまだまだ先だと思っていたのだが、ふと数えてみると、還暦まであと450日しかないことが判明してしまった。

 450日。まだあと、1年以上あるやん! とも言えるけれど、ここ数年の時の流れの早さの体感からして、おそらく、あっちゅーまに還暦を迎えることになりそうな気がするのだ。

 それにしても、と思う。まさかここまで、生きながらえることになろうとは。

 いわゆる機能不全家族に育ったからか、当時はそんな言葉知らなかったけれど、就学前から希死念慮に悩まされていた。いや、ある意味、悩んではいなかったか。むしろ、死を夢見ていたというか。

 中学生の頃なんかは、絶賛中二病で(というか、リアル中二。笑)いかにしてきれいさっぱりとこの世から去るか、そんなことばかり考えていた。夢想していた。そんな詩をいくつも書いた。

 小学校のクラスメイトが、ある日、ウェディングドレスへの夢を語った。私にはまったく意味がわからなかった。コイツ、そんなに地獄へ堕ちたいのか、としか思えなかった。結婚したら、夫の暴力三昧によって殺される、という事実を知らないのか、と。実際、私の母はそれが遠因となり、50歳で死んだ。

 経帷子、という単語は、そんな小学生時代に習得した。私にとっては、ウェディングドレスと対極にある、今生の夢がすべて満たされる、憧れの衣装だった。1日も早く、その経帷子という名のドレスを着て、永遠の眠りにつきたかった。

 そんな私でも、成長すれば恋もした。37歳で大失恋したとき、本気で全てに絶望した。ただ、愛猫と生活していたので、その子を守るためだけに、生き続けることを選んだ。

 48歳でその愛猫を喪ったころには、もちろん喪った事実は悲しくて悲しくてしかたなかったのだけど、私という人間は、なぜかめちゃくちゃ元気になっていた。その1年前に、ストレスフルな仕事を辞めていたこともあって、おそらく人生で初めて「生きてるって、いいかも!」と思えていた時期だった。

 ここまできたらもう、逆に、徹底的に生きてやろうじゃないか、と思える。

 還暦目前、というお年頃は、当たり前の話だが、今しか経験できない。

 先のことをあまり悲観的に考えたくはないのだけど、今はめちゃくちゃ元気な私だって、いつかは老いて死ぬ。

 だからこそ、今、おそらく「人生の頂上」に君臨する(?)全盛期(さらに? 笑)の私について、さらっと日記にでも残しておこうかと。

「こんな時代もあったんよ〜。」

 などと自慢できる若い頃が私にはなかったし、というか本当に、今が一番幸せなので、日記を書くなら今でしょ、と。

 とりあえず、書き始めましょう。

 還暦まで、あと450日。

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