記事に「#ネタバレ」タグがついています
記事の中で映画、ゲーム、漫画などのネタバレが含まれているかもしれません。気になるかたは注意してお読みください。
見出し画像

イロアワセ vol.3 LiLY white 感想

2022年7月1日(金)~7月3日(日)の期間 5公演開催された
朗読劇「イロアワセ vol.3 LiLY white」を見てきました。
本記事はその感想になります。(考察はそのうち書くかも)

【公式サイトよりあらすじ引用】
「オトモダチコミュニティ」というオフ会に参加することになったCは、山奥に佇む大きな家にたどり着く。
「白百合」への想いと共に。

そこで待ち受けていたのは、家の管理人・A と、オフ会の幹事だがどこかテキトーなB、そして、謎の人物・D。
彼女たちもまた、何か大きな秘密を抱えていて・・・

4人の少女が知る「白百合」の真実とは。
3日間にわたって繰り広げられる秘密の会合が今、幕を開ける。

イロアワセ

感想 ※ネタバレなし

「百合サスペンスかなぁ」って思いながら見に行きました。
「百合」は合ってた。「サスペンス」も合ってた。
おい、まゆしぃ、ホラーとは聞いてねーぞ? (見てる最中の心の声)

  • 山荘(閉鎖空間)

  • ネット上の知り合い

この2つのワードだけで
「なんだ?金田一少年の事件簿でも始まるのか?」
って感じのあれですね。
今回、それ以外にもサブタイトルを見て、脚本担当の吉岡さんが勝手にそういう内容かと考えて作成したため、

  • 女性同士の恋愛もの

もテーマに加えられています。

こちらの公演、7月10日(日)までアーカイブが公開配信されております。
3500円とリーズナブルなので、もしご興味ある方は見てみてください。

吉岡さんの脚本の中では、比較的わかりやすい構成のストーリーでした。
現在と過去の2階建て構造。
推理小説で言うところの、事件編と謎解き編の構成です。
内容もシンプルでした。
ただ、登場人物たちの心理状態やキャラクター性が複雑怪奇で、見ている側の想像力をかきたてる仕様になっています。オタクが好きなやつですね。
配役によって、登場人物の解釈が異なるので、私が見に行った2日目の昼夜公演については「これは百合じゃないなぁ」でしたが、配信で見た千穐楽は「A⇒Bの溢れ出る百合感がすごい」という感想になりました。千穐楽は百合好きな人にこそおすすめしたい。深川さんのAはめちゃくちゃBのことが好きなように見えました。

以降はネタバレ感想となります。踏みたくない方は回れ右!







感想 ※ネタバレあり

【人物相関図(ライト版)】
A⇒B
D⇔B
C⇒A(偽装D)

【各人物への感想】
私はAの献身性がめちゃくちゃ好きでしたが、ああいう人ほど、自分の幸せを望まないところがあります。
なので、最後、生きていようと死んでいようと、彼女は彼女らしく生きた結果なのだけれど、双子の妹を失った時点で、最高の幸せが失われてしまっているのでどうにもならないんですよね……。Aにとっての幸せは、妹がいてBがいる。3人で過ごす何気ない当たり前の日々だったと思うので。
Cは「間違って殺した」と言っていましたが、絶対にあれは嘘です。
Aが最も嫌うこと、Aが最も怒ること。それを分かったうえでリリを殺したのだろうなと私は感じました。

私が最も今回嫌いだなと感じたのはBです。
愛する人を失った悲しみから全く周りが見えていない。
Aのほうがよっぽど辛く悲しかったはずですが……(心の声)
時の流れは残酷だけれど、最も優しいとは某君が望む永遠の台詞ですが、
1年という時の中で段々記憶が薄れて消えてゆく。
その辛さに耐えかねて心を痛めている小市民。
辛いのは分かるけれど、もう少し、どうにかできたこともあったでしょう。
Aに対して「あんたがいるなら余計に」って言ってる時点で、
Aの気持ちわかってんじゃん。なんなんだこいつは。(ずっと理解できない顔)
なんだかんだ理由付けをして、自分が道から踏み外れないようにしているところは人間臭かったですね。Cとは正反対の人物と言えます。

Cは事件性のある話題に出てきそうな人物設定でしたね。
自分で割った皿を「皿が割れちゃった」と表現するタイプ。
自分で殺した相手の夢を見ても「好きな人がいなくなっちゃった夢」と表現しているあたり、深層心理では理解しているけれど、それを受け入れたら自己崩壊してしまうので、そのルートには絶対に入らないように、ソースコードでカバーされている不完全なプログラムみたいだなって感じました。
発言がちょいヤバめのやつ、から、突然勝手に10円玉でカギを開けて、
他人の部屋に笑顔で侵入するヤバい行動をするやつに
グレードアップする瞬間がとても秀逸でした。
ゲームパートの余韻もあったので、ギャグとして受け止めるべきなのか、
一瞬迷いも生じてしまった。。。
作中「名無し」としてツイートしてるのもCですよね……。

ツンケンしているものの一途な忠犬ハチ公タイプのD。
このキャラクターは嫌いな人はいないでしょう。
切れ者の割に、ところどころポンコツで、
Cにリリの小屋の話をAに言われるまま言伝てしまうという
ナイスアシストもしていて、
できる子なのか、できない子なのか最後まで全く分からなかった。
まぁ、あそこで止めてしまうと物語性が失われるので仕方ないのですが。

2日目昼公演

A ・・・ 松田さん
B ・・・ 三田さん
C ・・・ 長谷川玲奈さん
D ・・・ 吉岡さん

Aを演じる松田さん。初見だったからよくわかっていなかったのも
ありましたが、松田さんのAはCに対する殺意を隠しきっていて、
以降の展開が読めないように作っていたなと感じました。
感情の振れ幅は多くないけれど、
先が読めない物語構築としてはお見事でした。
Bを演じる三田さん。リリのこと大好きだったんやなぁっていうのが
めちゃくちゃ伝わってくるタイプのお芝居をされていましたね。
私が見た中では、Bの想いの重たさが半端なかった。
Cを演じる長谷川さんが怖すぎました。
初見で見ていいお芝居ではなかった。
「これって怪談? ホラーだっけ? あれれ?」
無邪気で純粋で可愛らしいお花みたいなお芝居から、
クルっとサイコ人格に切り替わってからの本気度がすごすぎた。
Dは基本的に中立な立場なので、
なんとなく、吉岡さん演じるDはCに同情的な部分もあった気がする。
好意を素直に伝えられずに、Bに振り回されている様子は、
普段も突如不器用を発揮する吉岡さんらしかったかなと思いました。

2日目夜公演

A ・・・ 吉岡さん
B ・・・ 安齋さん
C ・・・ 三田さん
D ・・・ 松田さん

吉岡さん演じるAの目が物語っていた。
「C、ここから生きて帰れると思うなよ?」と。
Cと話している時のAの表情が見える席位置だったので、
ずっとジーっと見ていましたが、あれは殺し屋の目だよ。
(青葉の軌跡で早坂さん睨みつけてる島田真夢もあんな目をしてたし、
上映会で早坂さんに同じこと言われてたの思い出した)
脚本担当だからこそ、というのもありますが、
Aの覚悟をはじめからオーラで出しているあたり、
芝居の解釈が面白いなと感じました。
安齋さん演じるBは守ってあげたくなる可愛らしいBでしたね。
「ああ、これに骨抜きにされてるんやな、AもDも……」という
眼差しになりました。
お芝居の構築が上手で声のトーンや動きで、笑わせるところは笑わせるし、すごかったな。Bはコミカル担当でもあったから。
三田さん演じるC、墓建てちゃったのがずっとツボってました。
しれっとよく知らない家のお水の置き場所を把握していたり、
ちょこちょこサイコキラーなことをしててヤバかった。
何より、本性見たな枯れ尾花のリリと話をするシーンと、
Aとリリの小屋で話をするシーン。目が。目がイッてましたね。
瞳孔開いてるタイプのやつだな……!
と見上げながら震えてました。
松田さん演じるD、不器用……。応援したくなるDでしたね。
B、もう少し優しくしてあげなさいって……ってなりました。

3日目夜公演(千穐楽)

A ・・・ 深川さん
B ・・・ 吉岡さん
C ・・・ 安齋さん
D ・・・ 松田さん

深川さん演じるAは人間らしい揺らぎがとても多い人物でしたね。
Cを殺すって決めてはいるものの、都度都度迷いが生じているような……
顔も知らない人に悩みを持ちかけられて、
それに対して、全力で長文を返してあげる優しいAらしさが出ていたように感じました。
博愛の人だったからこそ、妹が代わりに殺されてしまった事実を受け止められなかったし、Cのことを許すこともできなかったんでしょう。
Bと向き合って話すシーンでも、
私が見た公演では深川さんだけが、先にBの隣に腰掛けて、
同じ目線で話をする選択をしていて、
「ああ、このAを見ていると、Bのこともリリのことも大好きなのが伝わってくるな」としみじみ納得させられました。
Bを演じる吉岡さんはとにかくコミカルでクルクルよく動いていましたね。
AとDはどうしても自由度が薄い役どころだったと思うので、
一番楽しそうでした。最後の「おかえり」がめっちゃ好き。
安齋さんは…………あれは10人は殺めてるでしょ…………。
よく銃で撃った程度で死んでくれたな……。
(凄すぎて口数が減るやつ)
ゲームパートでBファーストなことをしたり、
松田さん演じるDはこっちのほうが好きかも。
千穐楽というのもあって感極まっていた部分もあるのでしょうけど、
なんなんだろう、この応援してあげたくなるタイプの忠犬Dは。


もしよければ、俊平にスポドリ奢ってあげてください(^-^)