【短歌】夏空に散りゆく雲へ
夏空に散りゆく雲へ 君たちは死に給ふことなかれとつぶやく
なつぞらにちりゆくくもへ きみたちはしにたもふことなかれとつぶやく
先週、映画『君たちはどう生きるか』を観てきました。(感想は別記事にしたいと思います)そして、今週、青い鳥が消滅しました。
私の中でこのふたつの「青」「鳥」「飛び立つ」「自由」「表現」「弱さ」「巨大な勢力」「生きること」「自己中心的」「X・バツ・罰」が交差しながらめぐっています。
宮崎駿監督作品の「風立ちぬ」では、荒井由実さんのひこうき雲が主題歌として流れていました。
どこまでも果てしない青。
こどもの頃、高く透き通る空に鳥や恐竜の雲をながめてはいつかつかめるんじゃないかって思っていました。
でも山に行った時、雲の正体は水蒸気だとしってがっかりしたことを憶えています。
Xは屈強なイメージがありますが、あまり好意的には思えません。幸せの青い鳥が大空を飛ぶことより、自己中心的な考えによって変えられたように感じます。
戦時下では、都合の悪いことは否定して「XXX」と黒く塗りつぶすことを強いられました。そんなことを連想してしまったのです。
与謝野晶子は、戦争にゆく弟に「君死に給ふことなかれ」(弟よ。どうか戦争で死なないでください」と詠みました。きっと相当の覚悟を持って詠んだと思われます。
今はどうでしょう。
一見自由に見える世界ではありますが、酷暑もさることながら、
何かを発言すれば批判されるかも、晒されるかもしれないですし、
簡単生成するAIに不安を覚えるかも知れません。
簡単にやってのける存在や、青い鳥が消えてしまっても私たちにはどうすることもできず、仕方ないよねと思うしかない非力の自分自身にせつなくなったり。
生きていて「君たちはどう生きるか」を考えないわけではありませんが、だからといって意欲的に生きられる人ばかりではありません。
この生きにくさにあって今日という日をやり過ごす。それでもいいのではと思うこともあります。
酷暑の夏を迎えると、ただただあなたに生きていてほしい「君死に給ふことなかれ」と思うのです。
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