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株式会社アイデミーでオンライン入社式を開催しました。 (2021年度)

株式会社アイデミーでは、2021年4月1日に一人の新卒を迎え、またアイデミーをファーストキャリアとして選んだメンバーを歓迎するためのオンライン入社式を開催しました。

社長からの祝辞を10分程度述べさせて頂きました。2020年度に続き、私の式辞について、備忘録も兼ねて、以下に掲載します。

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本日、社会人の第一歩を踏み出し、そしてアイデミーを1社目として選んで下さった皆さん、改めましてご入社おめでとうございます。

2021年4月1日は、日本にとってCOVID-19と共存する世界に変化して約1年が経過した節目になります。本日も入社式をオンラインで開催していますが、1年前の入社式では「オンラインでの式典は前人未到の取り組み」と表現していました。たった1年でこれだけ私達の価値観が変容し、新しい「当たり前」を作っていく激動の時代を、皆さんと共に居られることを非常に嬉しく思っています。

さて、本日は式辞として、皆さんが今日からビジネスパーソンとして一歩踏み出すにあたり、大切なマインドについてお話したいと思います。今後、様々なビジネス書やメディアを読む機会も多くなると思いますが、頻繁に「当事者意識を持て」というフレーズに出会います。もしかしたら、既にこのフレーズに出会ったかもしれません。アイデミーでも、当事者意識とは、大切にしたいキーワードの一つです。「当事者意識」とは何なのか、本日は掘り下げて考えてみたいと思います。

アイデミーの掲げるバリューにScientific Mindsetがあります。社会人として内面でのあるべき姿は、科学者マインドに通ずるものがあり、Scientific Mindsetという言葉使いました。ここでの内面でのあるべき姿とは、自己研鑽、実験思考、仮説を持った行動、事実やデータに向き合う、といったプロフェッショナリティを持った働き方のことを示しており、その中には本日お話しする「当事者意識を持つ」という考え方も含まれています。

当事者意識の定義とはなにか理解するために、まずはその意味を百科事典で引いてみました。デジタル大辞泉には、次のようにありました。

自分自身が、その事柄に直接関係すると分かっていること。関係者であるという自覚。

「なにかの事柄に関係している」という事が重要のようですね。確かに、「ベンチャー企業は大企業より当事者意識を持ちやすい」と言われます。ベンチャー企業では少数精鋭であるがゆえ、否応無しに複数の課題やプロジェクトに関わりやすく、責任範囲も広くなります。そのため、当事者意識が生まれ易い環境にあるわけですね。

しかし、ベンチャー企業にいると、当事者意識が自然に生まれる、という単純な話ではないでしょう。そもそも当事者意識とは、手提げバッグのように、持とうと思って、すぐに持てるものなのでしょうか?「当事者意識を持つ」為に私たちはどのように行動をして、どのような環境に身を置けばよいのか、もう少し考えてみます。

先日横浜のサウナ、スカイスパに行った時の話をさせてください。私の趣味の一つはサウナです。これまでに様々なスパに行きました。スカイスパは、最も感動的な体験ができたサウナの一つです。

皆さんはサウナにどんなイメージを持っていますか。大半の方は「暑い」だと思います。暑い環境に身を置くことで生じる発汗が気持ち良かったり、その後の水風呂の快感が病みつきになったります。こうしたサウナが大好きなユーザーをサウナーと言います。このサウナーが陶酔するほど熱狂的サービスがあり、それは、さらなる暑さを体験できる「アウフグース」というものです。

「アウフグース」それはサウナストーンにアロマをかけて蒸気を発生させ、タオルを振り回して高い湿度の熱風を送ることで体感温度がさらに上昇し、一気にサウナーの汗が出てくる、そんなサービスです。スタッフがそのタオルを人力で回します。イメージは、湘南乃風の睡蓮花のサビですね。こうしたスタッフのことを、敬意を込めて「熱波師(ねっぱし)」などと呼びます。

スカイスパで感動した体験とは、そのアウフグースが相当長い時間で行われていたことです。アウフグースは、大抵5分前後行われることが多いです。しかし、スカイスパでは、2倍以上の時間、10分前後、そのアウフグースが行われていました。室温90度以上の熱いサウナの中で、スタッフは黙々とタオルを回します。スタッフは一度サウナに入ると入りっぱなしになります。それは扉を開けてしまうと外から冷たい空気が入ってしまい、サウナの体感温度が下がるためです。サウナストーンにアロマをかけるので、蒸気を感じる一番暑いところで、汗だくになりながらタオルを回すわけです。

スカイスパのサウナは、20人くらいが入るくらいのサイズです。当然男女別のサウナなので、裸の男性が満席で詰め込まれながら、アウフグースを受けます。最初の数分は、皆さん黙って熱波を体で受けとめています。しかし、5分を超えたあたりで、小さい声で「ありがとうございます」というサウナーが現れたのです!

皆さん、想像してください。20人が裸で密集しているサウナのなかです。数分間、誰も喋らず、サウナストーブのカラカラとした音、サウナストーンにアロマをかけて蒸発する独特の香り、バスタオルを振り回す風を感じるなか、突然の「ありがとうございます」。思わず少し笑ってしまいました。

しかし、さらに5分、6分、7分とアウフグースを続けるごとに、「ありがとうございます」の言葉がポツポツと複数人から聞こえ始めました。気づいたら、僕も声を出してスタッフを激励するようになりました。そして、約10分経過し、スタッフの「以上となります。引き続きスカイスパをお楽しみください」という言葉で、サウナーは一斉に拍手を送りました。打ち合わせた訳でもなく皆が1人のスタッフに向けて送った拍手、それは、たまたま同じ空間に居合わせたサウナー20人、スタッフである熱波師、全員が一体化した瞬間でした。

スタッフは、20代の若い男性でした。アルバイトか、若い社員でしょう。一生懸命お仕事されているのが、誰にも分かります。通常のアウフグースは5分程度です。サウナーとしても5分前後を期待していたのですが、それが倍近い時間で提供されたことに、驚き、スタッフへの感謝・感動を覚えます。まさしく、期待を超えたのです。スタッフの汗だくになりながらも頑張ってくれている姿。私たちの期待を超える行動に敬意を込めて、自然と「ありがとう」の言葉を無意識に発してしまったのでしょう。そして、スタッフは当事者意識を持って、サービスを提供していたと断言できるでしょう。

さて、この「期待を超える結果を届ける」こと、これこそが当事者意識を持つための、最初のドライバーであるように感じます。芝生の坂にゴルフボールが止まっていても、指先で少し押せばコロコロと坂道を下っていくように、期待を超える成果を出すことで、物事が加速度的に好転します。

期待を超える結果を届ける相手は、ユーザー、上司、部下、取引先、色々なステークホルダーがあるでしょう。期待を超える結果を出すことで、ステークホルダーから感謝されます。感謝されることで、皆さんもステークホルダーと一体化して、同じ空間を本当の意味で共有することになります。それが当事者意識につながり、さらに仕事が楽しくなる、という循環関係が回り始めます。

当事者意識を持つこと、それは因果でいうところの「果」であると思っています。当事者意識を持とうと望んでも持てるものではなく、ステークホルダーと一体感を持つことで初めて当事者となれるのであり、そのためにはステークホルダーに対して期待を超えていくような仕事のマインドが必要です。一体感を覚えることから生まれる”感謝”には相手の期待超をえた仕事に対する敬意も含まれます。期待を超えるような仕事をする、こういったマインドが好サイクル生み、更には何事にも当事者意識を持って望む姿勢へと繋がり、結果として仕事がどんどん楽しく感じ、ビジネスパーソンとしての成長も促されます。

さて、こうした「期待を超える仕事」はどのようにして意識するのが良いでしょか。『昆虫記』で有名な19世紀のフランス科学者のアンリ・ファーブルは、以下のような言葉を残しています。

現実は常に公式からはみ出す。

人生でも社会でも自然科学でも、現実には実にさまざまなことが起こります。ファーブルは、昆虫を観察する過程で、「予想ができないハプニング」に驚かされることが多かったのかもしれません。「ものごとを考えるときは、公式やルールだけにとらわれてはいけない。」そんな戒めでもあります。

期待を超える仕事をするには、公式やルール通りのことをしてはいつか限界が生まれます。成果にはお客様、上司部下が求める基準があり、その基準を超える差分に関しては誰かに指示されません。その中身は自分自身で常に考えなければいけないのです。

公式と現実との差分を認識して、創意工夫する方法は、目の前のステークホルダーと向き合い、課題に対してどのように解決するか行動し続ける事です。「当事者意識を持つ」の対義語としては、「評論家気質になる」が挙げられます。評論家気質とは、ステークホルダーと対面せず、「公式・理論」について言及するが、現実に即した言及がなされない状態を指します。評論家に分かる事は公式の範囲の中のことです。現実はもっと複雑であり、摩訶不思議で、人と人の感情も相まって説明できないことも多々あります。まさしくそうした現実に真摯に向き合って行くことこそが、ビジネスパーソンにとってとても大切な心構え・当事者意識であり、アイデミーにとっても必要なScientific Mindsetであります。

本日から期待を超えるような仕事を心がけてください。期待を超える仕事をする癖をつけてください。こうした癖をつけると、どんどん仕事が楽しくなっていきます。多くの方は、今後の人生、1/3を睡眠、1/3を趣味、1/3を仕事で費やします。人生の最も主要なパーツの一つが仕事です。是非仕事を楽しむ心構えをつくっていただき、社会人生活を豊に送って欲しいと願っています。

これからの活躍を期待しております。ご静聴、ありがとうございました。

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