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スタートアップの裏側 vol.2 - AI技術がコモディティ化される?

stand.fmはじめました!

「AIスタートアップの裏側」と題して、AI関連のビジネスの裏側をお話するstand.fmチャンネルを作りました。音声で聞きたい方は、以下からご聴講ください!

AI技術がコモディティ化される?

こんにちは。イニシャルがAI、元歌舞伎役者、アイデミー代表 石川聡彦です。

先日1本目を収録したのですが、社内からとても好評でして、「ブログにして、もう一度配信しよう」という話となりとても嬉しかったです。引き続き社内報も兼ねて、AIスタートアップの裏側という形で配信できればと思います。

本日はありがたいことに、お便りを10通近く頂戴しました。その中の1つをご紹介したいと思います。

今流行っているディープラーニングはどんどんオートメーション化されています。アーキテクチャーの設計や、特徴量選択もどんどん自動化されており人間がやれることはどんどん少なくなっていると思います。かつてプログラマーは高給取りと言われましたが技術のコモディティ化によって少なくとも日本では待遇がどんどん低下しているのと同じことが既にAI領域で起きていると感じます。AI開発の下請け、孫請けも始まっていますね。質問は2つです。

1. ディープラーニングが一部の人にしか触れない高度な技術である時代はすぐに終わります。そのような中、アイデミーは今後どのようにバリューを発揮しますか。

2. MatrixFlowなどのAutoMLはアイデミーが育てている人材にとって脅威となりますか。データサイエンティストは駆逐される運命にあるように感じますがいかがお考えでしょうか。

背景も含めて詳しく記述頂きありがとうございます。まず、ご質問1に対する石川の見解は以下です。

おっしゃって頂いた通りディープラーニング含めた機械学習の技術は、今後教養のように皆さん理解できるようになるのではと思います。

実際にAutoMLという技術、業界で有名なのはDataRobotという海外のベンチャーだったり、AmazonやGoogleもその領域に技術投資しているわけですが、AutoMLを使えばいわゆるプログラミング、Pythonによる操作など必要なくディープラーニングなどAIのモデリングができると言われています。そうなってくるとプログラマーの価値は相対的に下がっていくように思えるかもしれません。しかし技術の進歩を10年前と今を比較すると、ライブラリーが充実していますので、(今現在の)エンジニアに対しても同じことが言えると思います。

10年前のディープラーニングと今の学習環境

10年前、ディープラーニング、機械学習のコードを書こうと思った場合、十分に使用できるライブラリーがなく、かつ分かりやすい教育教材はありませんでした。ディープラーニングの実装をしようと思ったら低レイヤーの理論の部分までを自身でしっかり熟知した上でプログラムを書かなければなりませんでした。

最近ですとGoogleのTensorflowが出て、Pytorchが出て、TensorflowをラップするKeresも出てきます。こうなってくるとプログラミングをしてディープラーニングのモデルを作っている人でさえも、基礎的な理論を知らなくてもKeresなどを使えば直感的にconfig fileを書くようにディープラーニングのコードを書くことができます。

アイデミーで扱っているPython入門、ディープラーニング基礎もそのような使い方をしており、ディープラーニングの基礎やバックグラウンドの数学の知識がなくても誰でもプログラミングができるようになりますAutoMLのプログラムもそういった流れかと思います。今後は更にプログラミングの知識がなくともディープラーニングの実装ができるようになる、こういった変化なのかなと感じています。

アイデミーが提供するバリューとオートML普及による影響は?

アイデミーが提供するバリューも、オートML等が普及しようとも変わらないと思います。例えば基礎・教養として学びたい方であれば、ディープラーニングを利用すればどのような課題が解決可能となったのか。画像認識は精度が上がりますし、音声認識、自然言語処理、定量的なデータの分析等、ディープラーニングを活用することで、今まで出来なかった課題を解決できるかもしれない可能性を見出すことができます。

ディープラーニングの得意・不得意部分を教育教材としてシェアすることで、技術を知らなかった人が「この業務課題はディープラーニングで解決できるのではないか」と考えることができます。石川自身も元は水処理の研究室におりました。ディープラーニングの話を聞き、「水処理のプロセスって複雑なのだけれどディープラーニングでこうしたプロセスをモデリングできるんだ!」と発見しました。日頃からコンピューター以外の部分で専門性を持ってる方や課題を持っている方が、AIの技術を学ぶことで問題解決の種になるのでは?と思います。こうした、ライト層に向けては、ディープラーニング技術のビジネス活用を、アイデミーを通じてご理解頂くと良いかと思います。

また、エンジニア(精度を高める為に試行錯誤する方、スクラッチで実装しなければならない方)は数学の部分、ディープラーニングの基礎に流れる理論的な部分も学んで頂く必要があるかと思います。そういった方々に向けた教材も少しづつ作っていきます。しかし、ビジネス活用という意味だと、どれだけライブラリが充実して、どれだけ技術を扱うのが容易になっても、技術の根底をしっかり学んで問題を解決したい、と考える方は少なくならないと思っています。

アイデミーが育てている人材vsオートML

2点目のご質問も同様の回答となりますが、アイデミーが育てている人材にとってAutoMLが脅威となるかについては、全く脅威ではなく、むしろ連携して皆様がディープラーニングを始めとする機械学習の技術を触れるようにするための協力をしていきたいと思います。ツールを使いこなして適切な業務課題を選び出して、定量的な数字を元に仮説に対してどうだったのかと答えを出せる方がデータサイエンティストかと思います。故に仕事というか、データを使って意思決定する人、そういう意味での人材の重要性は変わらず、ツールがどんどん変わっていくことによってデータサイエンティストという仕事が再定義されるのではないかと思っています。

いかがでしたしょうか。今後AIを普段扱っている私たちの視点からみたお話を続けていきます。引き続きレターをお待ちしておりますので気になることがありましたらぜひレターをご投稿くださいませ。

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