フロー知識 世界のエリートはなぜ美意識を鍛えるのか
大きな問いは「なぜ世界のエリートは美意識を鍛えるのか」と設定されていて
その理由は今日の複雑で不安定な世界においてサイエンス重視の意思決定ではリーダーシップを取れなためと理由づけられている
具体的には
1 論理的思考の限界
論理的思考のアプローチ、すなわち問題の原因を分析しその解決方法を考える手段であるが
今日の経営課題は複雑化しており、このアプローチでは問題の原因を単純化できない
このアプローチを取り続けると、解けない問題なのに答えを求めてしまい
結果、意思決定の先送り、最終的には経済の停滞をももたらすことになる
次に、論理的思考の陳腐化で
現在多くの書店に行くと論理的思考の本、ハウツー本が平積みにされている
ということは多くの人が論理的思考のスキルを身につける機会があり
論理的思考は運転免許証のような誰でも持っているスキルに成り下がった
またこの思考方法は論理を辿れば誰でも同じ道筋が導け、最終的に同じ答えを出すことができる
しかし、経営の基本は他社との差別化を追い求めることだが
どこの企業も同じ考え方では同じ答えが導き出され、結果市場が競争激化となってしまった
今日の経営課題を紐解くには、全体を直感的に捉える感覚と美意識を創出する構想力や創造力が求められる
2 世界中の市場が自己実現的消費へと向かう
世界に広がった豊かさにより、全ての消費される物やサービスは自己実現的消費、すなわちフッション的側面の機能を帯びるようになった
日本はこの消費を喚起するイノベーションを起こせるポテンシャルがある。なぜなら日本=美意識の国という認識がストーリーと世界観を日本にまとわせ、これらは容易に真似することができず、イノベーションの源泉となるためである
3 システムの変化にルールの制定が追いつかない状態が発生
システムが急激に変化する社会において、現状の法律、規範に則る実定法主義はのちに法律改正の可能性があるため大変危険である
他方、自らの倫理や美意識を判断の拠り所にする自然法主義が他人の人生を左右する権利を持つエリートには必要である
これらの3つの問題を解決するのが「真・善・美」といった美意識であると著者は結論付ける
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