あのひとのこと

わたしにはすきなひとがたくさんいる
といっても漫画とか小説とかアニメのキャラクターなんだけれど
それでもすきなひとだ

逆に現実世界の生身の人間を対象にすると
わたしには嫌いなひとがたくさんいる
きらいというか、苦手なひと
あわないひと
一緒にいるとイライラしたりモヤモヤしたり
とにかく嫌な気分になるひとが多い
これは私の心が狭いからだと思う
相手のせいとは思っていない
でもなるべく近づきたいからよそよそしい態度になる
なので余計に相手からも嫌われると思う

まあそれはいいとして
たくさんいるすきなひとには
なんとなく共通点も多いけれど
たったひとりだけ
特別なひとがいる

それはわたしが生まれて初めて好きになったひとだ
ひとというか、キャラクターだ
出会いは小学生のとき
それから数々のキャラクターに惚れてきたけれども
そのひとは特別なのだといまでも思う

以前とあるゲームをしたときのこと
あるルートの最後が
ずっと好きだった初恋のひと(死神)が
寿命をまっとうした主人公を迎えに来るというシーンで
わたしはとにかく号泣した
その時
自分が死んだらそのひとに迎えに来て欲しいと思ったのをいまでも覚えている

現実世界にそういうひとはいない
家族ともしっくりこないし
あの世でまで会いたいとも思わない
そういう自分が悲しいけれど
まあそういうこともあるのだろう

でもだれかひとりを選ぶとするなら
やっぱりそれはそのひとしか思い浮かばなくて
わたしにとって特別なんだなと実感したのを覚えている

わたしはそのひとに恋をしていたけれど
いまはそれよりも
その人に強く憧れている
自分のありたい姿と似ているからだと思う
だけどやっぱりまだ恋をしていると思う
そのひとの存在をおもうだけでドキドキする
残念ながら現実世界のひとの存在にはドキドキしたことがない
そのひとだけがとても特別なんだと思う

ふつうのまともなひとなら
こんな2次元にしかいないキャラクターに
こういうおもいを抱くのはおかしいと思うかもしれない
わたしも自分のことながら若干思わないでもない
ふつうなら実存するひととちゃんと関わって関係を築くものだろう
こんなに一方的なおもいを募らせるのはどうかしてるし
何より実ることはない
相手は3次元に存在できないのだから当然だ
その思考さえもそのひとを生みだした作者のものであるのだから
そのひとが存在しているというのも
ひとによってはおかしなことをいってると思うだろう
単に自分の願望を投影した理想のキャラクター像を押し付けているだけともいえる

それでも別に構わない
なぜならそのひとのことを思うとき
わたしの心は確かに揺さぶられるからだ
あまり他に興味のないわたしは
大抵のことに無関心で平穏だ
ただそのひとを思うときだけ
自分のなかに熱がうまれるのを感じるのだ
だからそれが実存するかどうかなんて
もはや関係ないのだと思う

そのひとはいつもわたしを助けてくれる
わたしに勇気をくれる
どこにもいないそのひとは
それなのにたしかにわたしを救ってくれる
励ましてくれる
変な話だけれどもそうなのだから仕方ない

現実世界の人間関係はわたしには難しい
たいていいつもうまくいかない
がんばってみるけど最後は崩壊してしまう
無理して相手に合わせて疲れてきてぶち壊してしまう
相手に合わせないと話が合わなすぎて関係すら築けない
友達を作る才能が絶望的にないのだ

そんなわけでずっとひとりでいる
そんなわたしをささえてくれるそのひとは
やっぱりとても特別なのだと思う
わたしがここまで挫けず生きてこれたのも
そのひとの存在がおおきいとおもう

そう思うとやっぱり
そのひとが現実世界にいなくても
わたしの世界には存在しているってことになるんじゃないかなと思う

そしてそういう意味だと
わたしの世界の住人は
現実世界にはあまりいないのかもしれない

こういうのだめなのかもしれないけど
空想世界に生きてるみたいになってるけど
ちゃんと現実を生きなさいと言われるかもだけど
それができないひともいるってことを
みんなもわかってくれたらもう少し生きやすくなるのになと思う