誕生日のこと

誕生日は少し憂鬱になる
生まれてきたことがそんなにめでたい気もしないので祝うのも違和感がある
だいたい生まれてきたのは両親の都合であり自分の意思ではたぶんない
スピリチュアル系だと望んでうまれてくるらしいけどそんな記憶は自分にはない
しかし生まれてきてしまったからには生きないといけない
生きなきゃいけないならつらいより楽しい方がいい
そんな感じでわたしは生きている
後ろ向きなのかな

最近は旦那さんに祝ってもらっていない
おめでとうとも言われない
わたしも自分から言ってない
いえばたぶん祝ってくれるんだろうけど
自分から頼んで祝ってもらっても
なんか無理やりな気がしてあまり嬉しくない
単純に忘れているのかもわからない
なにかを無理強いするのが苦手だ
だから諦めていたし
まあ仕方ないよねと思っていた

自分でもめでたいと思えない誕生日を
祝ってもらえないから悲しくなるのは
たぶん誕生日の問題では無いのだと思う

そんな感じで過ごしていたら
誕生日からだいぶ経ったある日に
突然ケーキをもらった

忘れてたごめん今更だけど
そんなふうに言われて驚いた

不思議なことに嬉しいという気持ちがあまりなかった
嬉しかったのだとは思うけれども
それよりも驚きの方が強すぎた
あまりに今更過ぎるのが笑えるし
それでもスルーされなかったのが不思議だった
いろんな感情はとっくに折り合いがついてて
すでに過去になってた自分の誕生日だから
なんかあまりに意味がわからなくて
ぽかんとしてしまった

忘れられてたことに怒りもなく
思い出してもらえたことに喜びもなく
あえていうなら無に近い精神状態だった

ただひとついえるのは
そんな自分は悪くないなということ

変な感情にふりまわされず
ただ目の前の事実にぽかんとする自分

無に近い感覚は
なぜかとても心地よくて
いつもこんな感じでいたいと思った

ひとの感情
喜怒哀楽
わたしはそれが自分に限っては苦手だ
強い感情が自分をのっとっていく感覚が
とてもいやだと思う
それが人間らしいというひともいるけど
それなら別に人間らしくなくてもよいと思う

強い喜びを感じなくて良いから
強い悲しみも感じたくない
そういうスタンスでいる

そんなわけで今年の誕生日は
なんだか不思議な感じになった

おめでたいとは思わないけど
よくここまでマトモなふりして生きてこれたなと感心はする
こんなにふつうとあわないのに
そこまで社会から逸脱せずに何とか生きてる

エライエライ