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ワクチンって必要?(狂犬病編)

コロナの流行時期はワクチン接種の考え方が様々あったように感じます。私も3回予防接種を受けました(3回ともモデルナだったのですが…きつかったです(´;ω;`))

今日は犬の狂犬病ワクチンのしくみについてお話したいと思います。皆さんは狂犬病という病気はご存じでしょうか。

狂犬病とは狂犬病ウイルスを保有するイヌ、ネコ、野生動物に咬まれたり、引っ掻かれたりしてできた傷口から主に感染する人獣共通感染症です。日本での狂犬病は1957 年以降発生していません。しかし、日本には「狂犬病予防法」という法律があり、年1回狂犬病ワクチンの犬への接種を飼い主の義務としています。

では、日本にない病気をなぜ予防しないといけないのでしょうか。狂犬病は日本にはありませんが、いまだ世界中で発生しています。日本は島国であること、検疫制度およびワクチン接種が清浄国となった最大の要因とされています。同様に島国であり、狂犬病がないとされていた台湾で2017年野生動物(イタチアナグマ)での狂犬病発生が報告されました。およそ50年ぶりの発生となります。様々な流通が使える社会でいつ日本にも入ってくるか…台湾の発生は当時とても衝撃的でした。

また、狂犬病は「一度発症するとほぼ100%死ぬ」とされています。狂犬病が流行している国にご旅行される場合には十分注意し、野生動物だけではなく、犬に噛まれた際はすぐに傷口を石鹸でよく洗い流し、病院へ行くことを強く推奨します。

さて、話を犬に戻しますが、狂犬病ワクチンは一個体の犬を守るためだけに打つのではありません。公衆衛生、つまり集団を守ることにもつながります。

模式図にして少し解説したいと思います。
この図には〇(個体)が20個あります。接種率10%の場合、予防接種した個体(黄色)は2個あることになります。ここに狂犬病感染個体が入り込んだ場合、ほぼすべての個体が感染(赤色)します。これがいわゆる、パンデミック(流行)と呼ばれるものです。

では次に接種率70%の場合はどうなるでしょうか。全部で20個ありますので、予防接種した個体(黄色)は14個になります。ここに狂犬病感染個体が入り込んだ場合、近くにいた3個体は感染(赤色)になりますが、予防接種した個体から感染が広がらないため、端にいた個体(青色)は感染しません。これは流行を抑えたことになります。

現在全国の狂犬病予防接種率は70%と報告されています。これは流行を抑えられる最低接種率と言われています。今後さらに接種率が下がった場合、パンデミックが起こる危険が高まるということです。ワクチンを打つことは、自分の犬猫を守るだけではなく、隣の家の犬、はたまた、遠方の犬の命を救うことにもなるのです。

最後に一つだけお伝えしたいことがあります。ワクチン接種の必要性はご理解いただけたと思いますが、絶対に予防接種を受けなければならない、というわけではありません。ワクチンで副作用が出たことがある、現在大きな疾患にかかっているなど、ワクチンを打つことがその子の負担になる、命のリスクがある場合には無理して打たないでください。出来る範囲でみんなが幸せに暮らせることが重要なのです。

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