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Adoこそがニコニコ文芸復興(ルネサンス)の担い手だ

2022年4月28日0時、歌い手のAdoがニコニコ動画へ"【Ado】ダーリンダンス 歌いました"という動画を投稿した。

率直に言って素敵なのでぜひ聞いてほしい。
作曲者のかいりきベアはダーリンダンスの他に完全懲悪ロリィタコンプレックス(ニコニコへ)などアップテンポでいかにもボカロ然とした曲が魅力のボカロPだ。

まずはダーリンダンスについて語りたい

まず今回の【ダーリンダンス】について語らせてほしい。

Adoのダーリンダンス、聴いていただけただろうか。なんて素敵なんだ。たまらない。Adoの魅力が随所に散りばめられている。いや、溢れ出している。

鮮烈なデビューを果たした【うっせぇわ】の力強いがなり声や【踊】で見せた幅広い音域、【永遠のあくる日】で見せた情緒的な歌声など、多彩な歌唱表現で2020年のデビュー以来テレビやインターネットでその歌声を聞かない日はない。

今回のダーリンダンス、実は以前ニコニコ生放送で一度生歌披露していた。

曲の雰囲気に反して強気な歌い方が僕としてはたまらなく心に刺さり「歌ってみたも出してくれー!!」と心の中で懇願していたし、SNSでも呟き続けていた。

そこにこの投稿。そのとき仕事で執筆していた記事を即座に中断。ニコニコ動画へ駆け込んで再生ボタンを押した。

歌い出しは予想だに反して可愛らしい歌い方、ダーリンダンスという曲には合っているが、Adoにしては新鮮だ(かわいい)。

サビに入っても可愛らしい歌い方は続く。Adoの新しい魅力が垣間見えたことに満足しつつも、どこか心の奥で物足りなさを感じていた。

ところがサビに入ってワンフレーズが終わった頃の1:10辺りから変化が起こった。

「ダ・ダ・ダーリン!」
きた。いつものパワフルでがなり声だ。たまらない。ニコニコも「おかえり」というコメントで溢れていた。

サブリミナルadoってなんやねん

この後も可愛らしい声とパラフルな歌声が交互に入り混じり、最後はパワフルに歌い上げて締める。耳福。素晴らしい。

曲についての感想はこれくらいにして、次に主旨について書きたいと思う。

「歌ってみた」をやめない理由を勝手に考察する

Adoといえば今や知らない人はほとんどいないと言っても過言ではない知名度だ。※追記:2022年には映画「ワンピース フィルムレッド」の主題歌も務め、正真正銘国民的アーティストになっま。

音楽や流行りに疎いオジサンも「うっせぇわの人」くらいには認識しているだろう(もっと沢山聴いてほしい)。

2021年10月にはドラマタイアップ曲【阿修羅ちゃん】をリリースし、その後もファーストアルバム「喜劇」発売や有観客でのワンマンライブなど、アーティストの一線で活動している。

だが彼女(性別を公表していないが、便宜上そう呼ばせていただく)は今でも定期的にボカロ曲の「歌ってみた」を投稿している。

同じく今では誰もが知るアーティストである米津玄師も、同名義で活動を始めてからはボカロPとしての活動名ハチ名義での曲は【砂の惑星】くらいしか投稿していない。

彼女もアーティスト活動だけで十分忙しいであろう。ではなぜ彼女は今も歌ってみたを投稿するのだろうか。

それは、ただならぬボカロ、ニコニコ文化への文化への愛にほかならない。
(と勝手に思っている)

生放送やインタビューでいつもボカロやニコニコ文化への愛を語っている。小学一年生の頃に父のパソコンでボーカロイド曲を聴き始めたのがきっかけで歌い手に興味を持つ。

それから自分でも歌ってみたの投稿を始めた。いわば彼女のアーティストとしての原点に近いものがボカロやニコニコ文化だったのだろう。


ちなみに初投稿は2017年に投稿された【初投稿】君の体温 歌ってみた【Adovance】だ。今よりだいぶ荒削りな歌い方だが、それがまた良い。ぜひ聴いてみてほしい。


一夜限りのパーソナリティを務めたラジオ【Adoのオールナイトニッポン0(ゼロ)】では、ミリしらをコーナー企画に持ってくるほどニコニコ文化に親しみを持っているが伺える。

ちなみにミリしらとは、投稿主が一ミリも知らない動画に初見でアフレコするという動画シリーズのことだ。
※彼女はムーミンのミリしら動画が好きらしいが、今は削除されてしまっていることを嘆いていた。

話が脱線してしまったが、彼女が今も歌ってみた動画を投稿しているのは、自分を育んだ歌い手やボーカロイド、ニコニコ動画の文化にただならぬ愛と感謝を抱いているのではないだろうか。

彼女のラジオやトークを聞いていると、好きなことを続けていたらいろんな機会に恵まれ、世間に努力と才能を認めてもらったというような謙虚さを感じる。

いろいろな機会に恵まれて手に入れた名声を使って自身がボカロやニコニコ文化を広めることによって、自分を育んだ文化へ恩返しをしようとしているのではないだろうか。

溢れ出る「ニコニコ愛」

ボカロも歌ってみたもニコニコ文化も廃れてはいない。だが前述のハチの【砂の惑星】が物議を醸したように、「あの頃のニコニコは良かったな」という考えを持っている人もいるのも事実だ。

補足すると【砂の惑星】は米津玄師としてトップアーティストに躍り出た彼が古巣であるニコニコ動画、ボーカロイドの世界に帰って久々に投稿した曲であり、歌詞と動画の内容は明らかに投稿当時のニコニコの様子を表現していて「今のニコニコは砂漠みたいだ」という意味に取ることができ、激しい賛否両論が飛び交った。

そして、おそらくAdoも同じことを思っているのではないだろうか。
今は音楽サブスクサービスが乱立し、動画もTikTokやYouTubeが主流であることは否めない。事実今多くの若者から支持を得ているボカロ曲はTikTokで流行ったChinozoの【グッバイ宣言】だろう。

ボカロPであるayaseをコンポーザーとするYOASOBIやボカロPとして人気を博したn-bunaが作曲を務めるヨルシカ、そして紅白出場を果たしたまふまふなど、むしろニコニコを飛び出してメジャーシーンの一線で戦っているアーティストは沢山いる。

だがそのほとんどは、ボカロPや歌い手としてではなく、アーティストとして活動している。(ayaseは2019年に東京幽霊というボカロ曲を投稿している。素晴らしい曲だしセルフカバーも行っていて聴いた時は思わず
「お前歌えるしカッコいいのかよ!」とツッコんでしまったのを覚えている)

前述のニコニコやボカロと関わりの深いアーティストの中でも、Adoは現在最も「ニコニコ色」を色濃く残しているアーティストである。
そして、今でも「歌い手」と名乗ってるのもAdoだけだろう。

おわりに

Adoの活動の背景には自分を育み、アーティストを志すキッカケをくれたニコニコ文化への恩返し、ひいてはまた昔のように盛り上がって欲しいという切なる願いがるのだろうと勝手に感じ取り、興奮しながらまとまりのない文章を書き散らしてしまった。

ここまで書いた時点でダーリンダンスを100回近く聞いている。
興奮のあまり全然使い方の違うであろう「ルネサンス」なんて言葉を使ってしまったのも反省しているが、語感が良いのでそのままにさせてもらう。

この辺で筆を置くと共に、素敵な興奮を届けてくれたAdoかいりきベアに拍手を送らなければならない。

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